[7日 ロイター] – 米決済大手ペイパル・ホールディングスは7日、後払いサービスのペイディ(東京・港)を3000億円で買収すると発表した。買収は現金で行う。今年10─12月までに完了させる予定。
ペイパルは、今回の買収により、世界3位の電子商取引市場である日本で国内決済事業を強化し、既存の国際電子商取引事業を補完できると表明した。
投資家向けのプレゼンテーションで、日本のネット通販市場は過去10年間で3倍以上拡大し約2000億ドルに達したが、全購入額の3分の2以上はいまだに現金で支払われていると指摘した。
ペイパルは今回の買収に伴う2022年の調整後1株利益の希薄化は最小限にとどまると表明した。
ペイディの創業者であるラッセル・カマー会長と杉江陸社長兼最高経営責任者(CEO)は留任する。
ペイディは600万人以上の登録ユーザーを持つ。ソロス・キャピタル・マネジメント、ビザ、伊藤忠などが出資している。ペイパルによる買収後も既存の事業を継続しブランドも維持する。
BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」と呼ばれる後払い決済サービス分野では、米決済サービス大手スクエアがこのほど、豪アフターペイを290億ドルで買収すると発表している。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は8月、ペイディが上場を検討していると報じていた。
BNPLの事業モデルは、米連邦政府の新型コロナウイルス給付金支給を背景に、大きな成功を収めており、消費者信用市場のあり方を一変させている。
BNPL事業者は、小売店(加盟店)に立て替え払いをし、手数料を請求。消費者は、事前審査なしに無利子の分割払いで返済する。
一部報道によると、アップルやゴールドマン・サックスも参入を準備している。
日本総研の主任研究員、谷口栄治氏は日本の消費者は伝統的に現金を好むが、こうした傾向はここ数年都市部を中心に変化していると指摘した。
同氏によると、日本のBNPL市場が欧米と大きく異なる点は大半のユーザーが月末までに未払い金を一度に清算するところで、日本人は債務が増えることを嫌うという。
ペイパルの金融アドバイザーはバンク・オブ・アメリカが、ペイディーはゴールドマン・サックスがそれぞれ務めた。