そう話すのは、ヨークベニマル取締役専務執行役員の橋本孝氏だ。
言うまでもなく、小売業界の事業環境は厳しさを増している。ヨークベニマルが店舗展開する東北~北関東エリアも例外ではなく、人口減少に伴いマーケット縮小に歯止めがかからない。
閉店・撤退に追いやられる同業他社も多い中、橋本専務は「『選択と集中』というのは正しい考え方」としたうえで、「しかし、毎日お客さまが来ていただいているお店はたとえ赤字であっても潰せない」と話す。
橋本専務は続ける。「人減らしをした会社は絶対に潰れる、とわれわれの業界ではすでに証明されている。メーカーさんでは人員削減で業績がV字回復ということがありえるかもしれないが、小売では聞いたことがない」
そんなヨークベニマルが力を入れるのが、従業員が働きやすい環境づくりだ。11月中旬にオープン予定の最新店では、総菜作業場の配置を見直すという。人員が限られるなかでいかに効率を上げていくか。新たな挑戦だ。
「やっぱり人ですから」――。
全国の業界関係者から注目される同社。なぜ、ヨークベニマルは強いのか。橋本専務の言葉にその答えが集約されているように感じた。(小野)