ニトリホールディングス(北海道/白井俊之代表:以下、ニトリ)は、現在からさかのぼること20年以上前、紙伝票のデジタル化を皮切りに、あらゆる業務のデジタル化に取り組んできたITの先進企業だ。同社が現在力を入れるのが、長期目標で掲げる壮大な店舗数・売上高目標を実現するための、IT人材の採用だ。ニトリはどのようにIT人材の内製化を進めているのか。ニトリで執行役員 最高情報責任者(CIO)を務める佐藤昌久氏を直撃した。
※本稿は2023年3月1日発行の別冊「流通テクノロジー」で掲載された記事です。取材内容や所属などは発行日時点のものです。
壮大な目標に向け開発を推進中
ニトリは中長期ビジョンに「2032年3000店舗・売上高3兆円」の達成に向けた経営戦略を推進中だ。22年2月期のグループ売上高は約8115億円、店舗数は801店舗であり、3000店舗・3兆円と数字は、店舗数・売上高ともに3.7倍の規模となる。
この壮大な計画について、ニトリ執行役員CIOの佐藤昌久氏は、「これは決してスローガンではなく、各部署が設定した課題を解決しながら、目標を達成しようとしている」と語る。
その取り組みを支えるのが、システム開発部門である「情報システム改革室」だ。同室は現在、「フォーマットの拡大」「グローバル化」「売上規模の拡大」という3つの成長に対応できるシステムの改進に取り組んでいる。
同グループは、家具・インテリア総合小売チェーン「ニトリ」をはじめ、インテリア雑貨の「デコホーム」、衣料の「N+(エヌプラス)」、20年に経営統合したホームセンター「島忠」と国内だけでも4つのフォーマットを展開する。これら異なるフォーマットを支えるシステムへの更新が求められる。
現在、台湾、中国、マレーシア、シンガポールなど海外でも店舗展開するニトリは、規模の拡大をめざして今後さらにグローバル化を進めていく。これまで国ごとに異なる経営課題に対応したシステムに調整してきたが、言語、あるいは通貨、商慣習が異なる国への進出が増えれば、システムの標準化が欠かせなくなる。
そして、何より売上高が4倍近くになるのに備え、それだけの規模に耐えられる基幹システムに更新しておかねばならない。
こうした3つの観点から、IT領域では現在、数億~数十億円規模の投資が必要な大規模プロジェクトだけでも十数件が並行して進んでいるという。ニトリではすべてのプロジェクトを25年までに完了させる計画だ。
システムを内製化する2つのアドバンテージ
ニトリは
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