これまでデジタル活用が遅れているといわれてきた生協。しかし2020年3月、日本生活協同組合連合会(東京都:以下、日本生協連)主導のもと、全国の地域生協のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進するプロジェクト「DX-CO・OPプロジェクト(以下、DXコーププロジェクト)」をスタートした。開始から約1年半が経過した現在の進捗と、今後の生協陣営のDX戦略を取材した。
アフターデジタルを見据えて組織を変革する
日本生協連が立ち上げた「DXコーププロジェクト」は、コープ東北サンネット事業連合(宮城県)、コープデリ連合会(埼玉県)、東海コープ事業連合(愛知県)との4者共同で、組織横断的に生協のDX推進に取り組むプロジェクトだ。構想が生まれたのは2019年末、20年6月に採択される日本生協連の中期ビジョン「日本の生協の2030年ビジョン」策定に向けて、全国の生協や組合員で議論を交えていたなかでのことだ。当初の案では、デジタル領域の内容は「ICT(情報通信技術)の高度活用」という表現しか盛り込まれていなかったという。これに危機感を抱いた現DXコーププロジェクトプロジェクトリーダーであるコープ東北サンネット事業連合常務理事の河野敏彦氏が問題提起したことがきっかけとなった。河野氏は「生活のあらゆる体験がデジタルに包含される“アフターデジタル”の世界ではICTやデジタル化は手段にすぎない。DXという概念のもとそれら手段による事業革新に取り組まなければ生き残っていけない」とDXの重要性について説明する。
これを重く受けとめた日本生協連が同プロジェクトを始動。2030年ビジョンには、5つの目標の1つ「生涯にわたる心ゆたかなくらし」に向けた具体策として「ICTによる事業活動でのデジタル変革の推進」が盛り込まれることとなった。この実現を使命にDXコーププロジェクトは活動している。
組織体制は、日本生協連の職員のほか、コープ東北サンネット事業連合をはじめ協働する3つの事業連合からのメンバーなど約20人で構成する。現在、10以上の具体的施策を同時並行で進めており、すでに実証実験を開始し成果が出始めているものもある。各施策は「パートナー」と呼ぶ最先端技術の専門家やスタートアップ企業とも連携し推めている。
レシピの食材を一括注文!「コープシェフ」の導入拡大
「DXコーププロジェクト」がDXを進めるうえでとくに重視したのが、
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