顧客とのエンゲージメント強化・LTV向上を実現するCRM戦略
デジタルを活用した顧客体験の革新、顧客価値の創造がカギ
デジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流は、小売業の大変革を加速する大きな要因だ。消費者は店舗に訪れるだけでなく、ブランドサイトやオンラインマーケットプレイスなど複数のチャネルを利用し、自分にとってもっとも購買意欲を高めてくれるチャンスを求めている。店舗が購買チャネルの主役であるためには、顧客体験の革新や顧客価値の創造に注力する必要があるだろう。
店舗にとって新たな顧客体験や顧客価値を提供することが差別化のカギになる。そのため最新のリテールテクノロジーを活用した無人店舗やキャッシュレス、オムニチャネルのような顧客接点の拡大に向けて、小売業は様々な改革にチャレンジしている。その根底には常に最適なサービスをどのように構築し顧客に提供できるかという課題がある。
その一方で、オーバーストアと言われる状況や慢性的な人手不足の中で、どのように生産性を向上させるかは喫緊の課題となる。そこで顧客体験の革新や顧客価値を創造する「顧客エンゲージメント」向上と同様に「従業員エンゲージメント」向上を描く視点が求められてくる。最前線で顧客体験の創造を担う従業員の業務課題の洗い出しや改善を図るPDCAサイクルを円滑に回し、最適な働き方の実現を支援する仕組みづくり、快適な職場環境づくりが小売業の競争力の強化につながってくる。
顧客との関係性を深め、パーソナライズで顧客を理解する
そこでセールスフォース・ドットコムが注目しているのが顧客関係管理ツール、つまりCRMだ。同社独自のアンケートによれば「正規のサービスと同等に“体験”を重視している」とする回答は79%。「“体験”にもっとお金を払ってもいい」という回答も63%に達したという。これは顧客にとって“体験”が重要であり、かつ“体験”に対する満足度はまだ向上の余地があるということ。
今後、小売業が顧客体験を変えるサービスを提供するためにはCRM戦略の進化が求められてくる。そのポイントは、増え続ける顧客とのタッチポイントを一元化することによって顧客理解を深めると同時にシームレスに連携させること、そして様々なタッチポイントに関わらず1人ひとりの顧客の立場に立ったパーソナライズされたサービスを提供していくことである。これができれば、顧客との信頼関係を深め、長期的な関係を構築し、顧客エンゲージメント及びLTV(顧客生涯価値)の向上につなげていくことができる。
消費者はリアル店舗であれウェブであれ、自分にとってアクセスしやすく快適な購買チャネルを選択する。その中で店舗を継続して発展させていくためには、顧客の状況を把握するためのデータを取得し、それを分析し最適なリコメンドや接客といった新たな顧客体験を創造することが重要になってくる。「顧客の時代」に小売業が勝ち残るためには新たなCRM戦略が求められている。
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