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【特別レポート】Amazonが顧客の期待値を上げる小売業界の未来とは

顧客体験を革新するテクノロジーの活用が急務

 「顧客価値の最大化」や「顧客体験の創造」をキーワードに、小売業にデジタルトランスフォーメーション(DX)化の波が押し寄せている。顧客の変化や小売業のデジタル変革にどう対応していくかがの今後の課題だ。セールスフォース・ドットコムはこのほど、世界の消費財メーカーのリーダー500人へのアンケート調査を基にしたレポートを発表した。

Amazonが顧客体験の基準を作り変える

小売市場を大きく変化させたのが、Amazonの台頭だ。消費財メーカーのリーダーの61%が、リピート購入と配送に関して「従来の小売業者をAmazonが駆逐しつつある」と感じ、68%は「消費者は個々のブランドよりもAmazonのマーケットプレイスを選択する傾向が強い」と回答した。しかも「消費者の期待への対応に関して、求められるレベルをAmazonが引き上げている」とするリーダーは79%にも達している。Amazonが顧客の要求に的確に対応していることで、顧客や市場自体が変化している。

小売業との関係性の拡充が成長のカギとなる

 消費財メーカーが売上を伸ばすうえで欠かせないのが、小売業との関係性の拡充だ。アンケートでは「在庫の可視性」と「分析にもとづく対策の実施」に満足しているリーダーはともに55%、「新規SKUへのアップセル」に関しては38%と満足度は高くない。
こうした小売業との関係性の中で、消費財メーカーが「障壁」として考える課題は、「閉店、売価に関する圧力」と回答した企業が42%、「プライベートブランド商品がビジネス上の脅威」は49%に達している。
アンケートではB2C、直販(D2C)への投資を優先事項と考えているリーダーは99%に上る。誰もがECを利用する中で、D2Cによる売上高への貢献は非常に大きくなっている。調査では米国のオンライン市場は5%に過ぎないものの、売上増大要因の40%を占める。そのためD2C専用の商品開発などを手掛ける大手企業も増えている。


顧客と直接つながるD2C参入の課題とは

 しかしD2Cへの参入が成功につながるわけではない。D2Cに反応する消費者が不可欠。消費者は商品にもサービスにも期待以上を望んでいる。D2Cには、よりシームレスな購買体験を期待している。
 しかし、これまで直接に消費者とつながっていない消費財メーカーにとって、“文化を変革する”くらいの社内改革が必要になる場合もある。「顧客との直接の関係構築を阻む障壁の範囲」に関する調査では、「きわめて大きな障壁、重大な課題」として挙げられたのは「顧客が寄せる期待の上昇」(27%)、「小売業者から得られる顧客データの不足」(25%)、「データから知見や実践可能な情報を得ることの難しさ」(24%)、「共同作業や効率的なデータ交換を進めようとしない部署間の縦割り意識」(24%)、「社内に存在する異種システム」(20%)など。これらを解決しなければ、D2Cでの成功は覚束ない。
 未来に向けて消費財メーカーには進化が求められている。デジタルでの顧客サービスの向上やサポートに投資する計画を持つ企業は80%超と多い。その一方で電話やテレビ、ダイレクトメールへの投資を削減する傾向が出てきた。
 また、自社のブランドに関して「訴求力のあるブランドストーリーを物語ることは難しい」とする回答も50%超を占めている。
Amazonが基準を作り変える顧客の変化は確実に進行している。小売業、消費財メーカーは今後、どのように対応していったらよいのか。その詳細は特別レポートで紹介している。

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