ダイヤモンド・リテイルメディアでは、小売業の経営・情報システム・デジタルトランスフォーメーション(DX)などの担当者に対し、情報システムおよびIT整備の重点分野、投資動向、DXの基本政策と進捗状況、組織構成などに関するアンケート調査を実施。35社より回答を得た。アンケート結果からはIT活用に関する実態と変化、小売業において加速度的に進むDXの現状と課題が見えてくる。
回答企業一覧(35社)アスクル、イオン九州、イオン北海道、イオンリテール、イズミ、いちやまマート、エイチ・ツー・オー食品グループ、オークワ、北雄ラッキー、コープ東北サンネット事業連合、コメリ、サミット、サンデー、ジャパンミート、生活協同組合コープこうべ、西鉄ストア、セブン&アイ・ホールディングス、天満屋ストア、東武ストア、原信ナルスオペレーションサービス、パルコ、パルシステム生活協同組合連合会、ハローデイ、福井県民生活協同組合、フレスタホールディングス、マックスバリュ西日本、丸久、万代、ミスターマックス・ホールディングス、ミニストップ、ヤオマサ、ヤマナカ、ヨーク、ライフコーポレーション、ワークマン(五十音順)
※本稿は2023年3月1日発行の別冊「流通テクノロジー」で掲載された記事です。取材内容や所属などは発行日時点のものです。
情報システムの現状とIT導入・活用の課題
昨年に引き続き人材の確保が課題に
情報システムの現在の課題(図表❶)については、前回調査と同様に「老朽化したシステムのリプレース」「情報システム部門スタッフの育成」が上位(60%)となった。加速度的に進化しているデジタルソリューションやデータシステムを適切に管理し、業務に生かすことができる人材は、どの業態においても貴重である。とくにコロナ禍を経てデジタル化が一気に進む小売業においては、オンラインおよびオフライン上でのシームレスな買物行動が求められるなど、顧客のニーズが多様化していることから、顧客満足度を向上させるためにもIT人材の確保や育成は喫緊の課題となっている。
次位は「情報セキュリティ・内部統制への対応」(54.3% )となっており、前回(35.7%)より、ポイント(pt)が増していることから、必要性がより高まっていることがわかる。ECの導入やデジタル化の進展に伴い、顧客データや個人情報の管理強化、サイバー攻撃などへの対応などセキュリティ強化が必要となってきた。そのため、システムの入れ替えなど、比較的大きな投資が必要となっていることがうかがえる。
生活様式や買物行動の変化に伴いECやネットスーパーの導入なども進む中、日々取得できるデータは膨大になっており、さらに、システムやツールの導入なども増えてきていることから「複雑化したITの簡素化」(22.9%)も、前回(17.9%)から増加している。これには、DXに伴うツールやデータの取捨選択、導入と廃止をスムーズに行うことの難しさが表れている。
情報システム整備によって
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