流通先進国の米国では、大手テック企業からスタートアップまでさまざまなプレイヤーが、小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するテクノロジーを提供している。2023年1月に開催された世界最大規模の小売展示会、「NRF2023 Retail’s Big Show(以下、NRF2023)」でも、多くの新技術が展示されていた。本稿では23年にさらなる拡大が期待される注目企業のテクノロジーについて、米国流通の最新動向に詳しい日商エレクトロニクスUSAの門馬崇氏に解説してもらった。
※本稿は2023年3月1日発行の別冊「流通テクノロジー」で掲載された記事です。取材内容や所属などは発行日時点のものです。
NRF20233つのキーポイント
参加者3万5000人超と、今年も大盛況のうちに終了したNRF2023 。今年のNRF2023全体の所見として日商エレクトロニクスUSAの門馬氏は、
①アフターコロナにおける店舗の活用方法に進化が見られた点
②リテールメディアが引き続き注目されている点
③サプライチェーン全体で戦略的にサステナビリティの実現に取り組む動きが見られた点
の3つをキーポイントに挙げる。
①では、「体験」にフォーカスした店舗レイアウトやデザイン、店舗戦略──とくに顧客とのタッチポイントをどうデザインするかが重要視されていた。②では、オフライン広告のリテールメディア化が具体的な課題として挙げられ、③では、再生可能エネルギーの利用や素材の見直しを行う企業が増加し、工場を含むサプライチェーン全体を通した戦略や消費者への訴求の必要性が訴えられていた。
こうした大きな流れがあるなか、テクノロジーという点では、「インストアテック」「EC」と大きく2つの領域について、注目すべき企業が見られた。以下、NRF2023で紹介された注目スタートアップとその技術をテーマごとに見ていこう。
インストアテック
AIの活用でさまざまなリスクヘッジが可能に
まず注目したいのは、
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