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米政府、ハイテク大手への独禁法調査に向け準備

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6月3日、米政府は大規模な市場支配力を有するアマゾン、アップル、フェイスブック、アルファベット傘下グーグルへの調査準備を進めている(2019年 ロイター)

[ワシントン 3日 ロイター] – 米政府は大規模な市場支配力を有するアマゾン・ドット・コム、アップル、フェイスブック、アルファベット傘下グーグルへの調査準備を進めている。関係者が3日、ロイターに明らかにした。ハイテク大手に対する前例のない広範な調査につながる可能性がある。

関係者2人によると、国内の独占禁止法執行を担う米連邦取引委員会(FTC)と司法省が4社に対する監督を分担し、アマゾンとフェイスブックはFTC、アップルとグーグルは司法省の監視下に置かれるという。

司法省とFTCは今後、正式な調査を開始するかどうか判断することになる。FTCが過去に実施したグーグルに対する調査は2年以上かかった経緯があり、調査が行われた場合は長期に及ぶ可能性が高い。

ハイテク大手を巡っては、その過大な支配力により、ユーザーや競合他社に悪影響を及ぼしているとの見方が浮上。米国内のみならず、世界中でハイテク大手に対する反感が高まっている。

トランプ米大統領は、ネット上で保守層の意見を抑圧しているとしてソーシャルメディア企業やグーグルへの監視を強めるべきとの考えを示したほか、米郵政公社(USPS)に非常に安い料金で商品を配送させているなどとして繰り返しアマゾンを批判しているが、いずれも根拠は示していない。

米与野党の有力議員は、ハイテク大手への調査の可能性を歓迎する立場を示した。

上院司法委員会のグラム委員長(共和党)はロイターに対し、グーグルやフェイスブックなどのビジネスモデルは監視が必要だと指摘し、「非常に大きな支配力を持ちながら、規制されていない」と述べた。

民主党のブルーメンソル上院議員もツイッターで「これらの企業の搾取的な権力掌握に対しては厳格な調査や反トラスト措置が必要だ」との見方を示した。

これとは別に、下院司法委員会は3日、デジタル市場の競争について超党派の調査を開始したと発表した。

ハイテク大手を巡っては5月31日、グーグルのオンライン事業の運営が独占禁止法に抵触していないか司法省が調査する準備を進めていると伝わった。

また、1日付の米紙ワシントン・ポストは、アマゾンがFTCの監督下に置かれると報じた。

グーグルとアマゾンは3日、コメントを控えた。

関係筋によると、司法省とFTCはこれまでのところ調査についてグーグルやアマゾンに接触しておらず、両社幹部は当局がどのような問題に目を向けているか把握していないという。

アップルとフェイスブックは現時点でコメント要請に応じていない。

ハイテク大手4社に対しては各国の規制当局が懸念を示しているものの、米司法省とFTCがどのような問題に焦点を当てる方針かは不透明だ。

アマゾンは通販サイトに出店する外部の事業者に対する支配力を巡り批判の対象となっているほか、米議会では同社の低価格が実店舗を持つ小売業者に打撃をもたらしているとの指摘もある。

アップルは、アプリ配信サービスで独占的な地位を利用していると主張するスポティファイの申し立てを受け、欧州連合(EU)の調査対象となっている。

フェイスブックは利用者情報を英政治コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカと共有した問題ですでにFTCの調査を受けている。誤解を招く投稿や「偽ニュース」への対応策を巡っても批判にさらされている。

グーグルはウェブ検索やネット広告での支配的な地位などを巡り批判されてきた。FTCと2013年に和解したほか、EUの欧州委員会からは複数回、制裁金支払いを命じられている。

法律の専門家は、米当局がハイテク大手の分割を求める可能性は低いとみているが、スタンダード・オイルやAT&Tなど前例もある。ただ、米国の独禁法調査は事業慣行見直しでの合意という結果になる場合が多い。