コンビニエンスストア(CVS)大手の月次売上、ファミリーマート(東京都/細見研介社長)は、以前は常に厳しい立ち位置だった。ところが、2021年4月以来、その状況は一変。同社が最も華々しく業績を伸長させている。その理由について、ブランディングとその成果指標の観点から論じてみたい。
ブランディングの成果指標は「話題性」である
ファミリーマート復活の要因として、20年10月にCMOとして着任した足立光氏の手腕が大きいとみる業界関係者は多いだろう。もちろん大きな主要因の一つとして考えられるがそれだけではない。マーケティングの基本に立ち返って考えていきたい。
小売業界の変革のために、継続的に具体的な提言を行っている横浜国立大学の寺本高教授は19年、その著書『スーパーマーケットのブランド論』で、「流通業界の社会的地位向上のためにも、小売業は、ブランディングに取り組むべきである」と提唱し、その際に成果指標として「話題性」を採り入れるべきであると提言している。
「ブランディング」というと、とくに流通業界では広告宣伝活動やロゴマークの刷新くらいに思われることが多いのが実情だが本来的には企業活動の根幹にかかわる。しかも寺本教授の提言でさらに重要なのは、「成果指標の導入」である。実は成果指標をもって数字を追わないとブランディングはただの「掛け声」で終わるのが常なのである。
さて、ファミリーマートをブランディングと話題性を通したレンズで見ていきたい。以前、足立氏はファミリーマートについて、「お茶目でいたずらっ子」という立ち位置や性格付けをねらっていると語っていた。このキャラクターの上にブランディングを位置付け、話題性を持たせるように施策を回している、と理解すると最近のファミリーマートがくっきりと見えてくる。
ファミリーマートは意図的に「話題性」を増やしている
「ファミリーマートのニュースが最近よく目に付く」と感じている人は多いだろう。そこで
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