ヨークベニマル(福島県/真船幸夫社長)は2月10日、栃木県宇都宮市に「ヨークベニマル今泉店」(以下、今泉店)を出店した。「宇都宮」駅の近くに出店した同店の売場面積は、同社標準の約半分となる389坪。ヨークベニマルにとって都市型小型フォーマットの位置づけの店舗とみられる。“宇都宮ドミナント”を埋める今泉店はどのような店なのか。
「宇都宮」駅周辺のドミナントを強化!
ヨークベニマルが2月10日に出店した今泉店は、東北新幹線、JR東北本線などが乗り入れる北関東の交通の要所、「宇都宮」駅から直線距離で約1.2kmの場所にある。「宇都宮」駅から北に向かって歩いた先、「錦中央公園」のすぐそばにある店舗で、周辺は住宅街が広がる。
ヨークベニマルが公表している資料によると、店舗から半径1km圏内には、8220世帯/1万7709人が居住する。ヨークベニマルの既存商圏と比較すると、豊かなマーケットと言える。首都圏からの単身赴任者が非常に多いエリアであり、世帯別人口構成では、1~2人世帯が全体の66.7%を占め、平均世帯人数は2.1人となっている。
「宇都宮」駅周辺は、ヨークベニマルがドミナント構築に力を入れるエリアで、今泉店の東1.7km離れた場所に「泉ヶ丘店」、西2kmに「ヨークベニマル戸祭店」、南約2.3kmには「簗瀬店」がある。今泉店の出店により、「宇都宮」駅周辺のドミナントをいっそう強化する構えだ。
競合店としては、約400m離れて1階に食品売場がある「福田屋百貨店FKD宇都宮店」があるほか、約1km離れて「フードオアシスOTANI宇都宮駅東店」、約1.3km離れて「たいらや今泉新町店」がある。
栃木県32店舗目、宇都宮市内には11店舗目の出店となった今泉店の最大の特徴は、なんと言っても店舗サイズだ。ヨークベニマルが売場面積600坪~750坪ほどの店舗を標準としているのに対し、今泉店は389坪。2018年11月に仙台市街からほど近い場所に出店した「ヨークマルシェ大和町店」(売場面積301坪)を連想させる、都市型小型フォーマットの位置づけの店と見られる。
“生鮮・デリカ一体型”の売場配置を採用
売場づくりにおいても、ほかの店舗では見られない試みが見られた。
ヨークベニマルの既存店舗では、入口から続く主通路に青果・鮮魚・精肉・総菜・インストアベーカリーという順に売場を展開しているケースが多いが、今泉店ではメーン入口から続く広めのコンコースに青果と総菜、インストアベーカリーを並べ、和日配を挟んで奥側壁面に鮮魚と精肉を配置(売場フロア図参照)。首都圏のチェーンの新店でも見られる、“生鮮・デリカ一体型”の売場配置を採用している。
正面から見て店舗左側で展開する“生鮮ゾーン”では、平台を多用しており、総菜・鮮魚・精肉のガラス張りのオープンキッチンとも相まって、開放感あふれる売場となっている。コンパクトな売場でも、強みとする生鮮食品を前面に打ち出したいというねらいが垣間見える。店舗右側では、冷凍食品や酒類、洋日配などの売場を展開する。
商品政策においては、ヨークベニマルが得意とするきめ細やかな地域対応が随所で見られ、青果売場では平台エンドで「栃木県産生椎茸」を大きくアピール、精肉売場では同社オリジナルの「前日光和牛」を訴求するほか、和日配では「栃木の豆腐」「栃木の納豆」などのコーナーを設けている。総菜売場でも、栃木県で親しまれている「いもフライ」などをラインアップするなどの対応も見られた。
近年のヨークベニマルの動向を見ると、茨城県や栃木県への出店が目立つ。なかでも、今回の宇都宮地区、茨城県のつくば地区など人口が集中するエリアでのドミナント形成に注力している様子が窺え、そうした戦略の中では、今泉店のような、機動的な出店が可能な都市型小型フォーマットが重要となる。生鮮・デリカ一体型の売場づくりに挑戦した今泉店は、ヨークベニマルの多くの既存店舗と同じようにお客の支持を集めることができるか。いずれにせよ、この今泉店が2021年の注目店舗に名を連ねるのは間違いなさそうだ。
(店舗概要)
店名 ヨークベニマル今泉店
店長 近藤圭一
営業時間 9:30~21:30
敷地面積 5928㎡(1793坪)
売り場面積 1287㎡(389坪)
構造 鉄骨造・平屋建て
駐車台数 50台
駐輪台数 36台
年商見込 10億円
従業員数 100人(正社員7人、地元採用者93人)