千葉県内で14店舗の食品スーパー(SM)を展開するナリタヤ(菊川一平社長)は7月26日、同県旭市に「カメリアモール ナリタヤ旭萬力店」(以下、旭萬力店)を開業した。店舗面積は同社最大の約2150m2で、ナリタヤが「次世代型」と位置づける店舗だ。
イートインスペースにバイオーダー式のカフェを初導入!
旭萬力店は、JR総武本線「干潟」駅からクルマで約5分、広域農道と県道が交わる交差点の一角にある。同日開業の近隣型ショッピングセンター「カメリアモール」への出店だ。旭萬力店はナリタヤが「次世代型」と位置づける店舗で、入念な市場調査の結果を基に商圏に最適な売場づくり、品揃えを行っている。
具体的には、同店の周辺に「スーパーセンタートライアル旭川口店」や「タイヨービッグハウス旭店」などディスカウント系の競合店があるため、価格ではなく価値を打ち出した商品政策を導入することで差別化を図った。ここからは、旭萬力店で初導入した取り組みを写真とともに解説したい。
まず、メーン出入口そばのイートインコーナーに初導入したのが、バイオーダー式のカフェ「Café de TSUBAKI」だ。朝7~10時のモーニングメニューでは、おにぎりやサンドイッチ、サラダや淹れたてのコーヒーなどを提供。10~18時のグランドメニューでは、有機トマトソースを使ったパスタや、精肉売場で販売している千葉県産の「北総豚」を使用したカツカレー、新鮮なネタを使った海鮮丼など、素材とおいしさにこだわった料理を取り揃えた。
また、イートインを地域コミュニティのための場所と位置づけ、メニューだけでなく居心地の良い空間づくりにも注力した。レンガ調の落ち着いた雰囲気の内装に加え、音楽も売場とは異なるものを使用。ピアノを基調とするゆったりした楽曲を流し、リラックスできる場所をつくりあげた。
さらに、イートイン奥にはキッチンを備えた料理スペース「キッチンスタジオCamellia(カメリア)」を設置した。ここでは、気軽に参加できるイベントとして、料理教室やソムリエによるワイン講習会などを定期的に開催する。また、毎月第2・第4水曜日を「地域コミュニティの日」とし、イートインスペースを地域の集まりや小規模のパーティーなどに使える場所として提供する。地域交流のための場所として貸し出すことで、地域密着に磨きをかける考えだ。
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価値ある商品を売場全体で提案
総菜・ベーカリー売場を拡大!
総菜・ベーカリー売場は、市場調査の結果需要が高いことが判明したため、売場面積の比率を標準店の約3倍に当たる6.6%に拡大。アイテム数も、従来の約2倍の478アイテムに拡充した。それに合わせて新商品も多数導入している。たとえば、「棒ヒレカツ」(299円、以下税抜)や「有頭甘海老唐揚げ」(100g当たり259円)、「生姜香る鶏もも特製唐揚げ」(100g当たり169円)など、揚げ物を中心に種類を増やした。
鮮魚部門の新鮮な素材を使った魚総菜コーナーを新設
総菜売場横の鮮魚売場では、鮮魚部門の素材を使用した魚総菜のコーナーを新設。「素材が美味しい鮭弁当」(499円)や「具たくさんおにぎり(明太子)」(199円)などの弁当やおにぎりのほか、新鮮なネタを使った寿司や海鮮丼も提供する。そのほか、特許を取得した専用の機械を用いて製造した、鯖やカマス、アジなどの一夜干しもコーナー化した。
加工食品売場に冷蔵ケースを設置
このほか加工食品売場では、味噌やパスタ、ドレッシングといったカテゴリーに冷蔵ケースを設置。これまでチルド売場で別展開していたものを1カ所にまとめ、常温と冷蔵の2温度帯で商品を陳列できるようにした。有機商品などこだわりのものも多数揃え、選ぶ楽しさを提供する。とくにパスタ売場では、生パスタを中心にモッツァレラチーズやパスタソース、オリーブオイルを集中配置してコーナー化し、「イタリア料理」を軸にした商品提案を行っている。
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旭萬力店で初導入したこれらの取り組みには、ナリタヤが価格一辺倒ではなく価値ある商品を売場全体で提案するということへの本気度が伺い知れる。そのうえで、ただモノを売るだけではなく、地域コミュニティの拠点としての機能も高めるというのが、ナリタヤが描く「次世代型店舗」の姿なのである。