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関西新店の新MDは関東で受け入れられるか!? 「ロピアおおたかの森コトエ店」売場レポート

ロピア(神奈川県/高木勇輔代表)は4月21日、千葉県流山市のニュータウンの一角に、「ロピアおおたかの森コトエ店(以下、おおたかの森店)」をオープンした。首都圏では10カ月ぶりの新店となる同店ではどのような売場づくりをしているのか。前編では、同店の青果・鮮魚・精肉部門をレポートした。後編では、総菜、日配、加工食品などの売場を見ていこう。
調査日=4月27日、5月17日 ※本文中の価格はすべて本体価格

ロピアおおたかの森コトエ店の外観

道場六三郎氏の監修商品が登場!

 総菜は精肉と連動させるかたちで売場を展開する。店舗奥側壁面12尺のスペースに冷蔵ケースを配置し、「ミルクゼリー」「ショコラケーキ」「シュークリーム」などのデザートのほか、隣の6尺では「お母さんのポテトサラダ」など冷総菜も扱う。全体的に、グループ会社の利恵産業が製造する商品が目立つ。

ボリューム感あふれる同商品は、利恵産業が製造する「沖縄風本格ソーキそば」(599円)

 横18尺縦6尺の平台では、弁当やフライ類、焼鳥、ピザなどを陳列している。弁当では店内製造「絶品ハンバーグと照り焼き弁当」(799円)、「三元豚極みロース重」(399円)のほか、「道場六三郎監修 厚切り牛たん炙り焼き弁当」(1000円)なども販売する。

 ちなみにロピアは2021年12月に道場六三郎事務所を子会社化し、グループに迎え入れている。おおたかの森店で登場した、この「道場六三郎監修 厚切り牛たん炙り焼き弁当」は、その名のとおり、かつて有名テレビ番組に多く出演した料理人・道場六三郎氏とのコラボ商品となる。肉総菜を得意とするロピアの総菜売場だが、今後は同氏監修メニューが増えていくことになるのかもしれない。

道場六三郎氏監修の「厚切り牛たん炙り焼き弁当」(1000円)

 そのほか総菜売場の一角には、中原商事が運営する中華総菜コーナー「上海厨房」もある。弁当や総菜など扱い品目が多く、価格も値ごろ感があり、品揃えをうまく補完している。

冷凍食品・アイスクリームはロングセールを実施

 日配売場は、正面壁面36尺で乳製品、隣の32尺で漬物・佃煮・豆、さらに隣の冷蔵リーチイン8尺で牛乳を販売。右壁面96尺はヨーグルトやスイーツ、チルド飲料を配置する。平場では、麺、豆腐、納豆を配置し、その背面にアイスクリームと冷凍食品を展開。アイスクリームは20尺と品揃えを絞っているようだ。

 調査期間中は、8月31日まで冷凍食品の6割引、6月30日までアイスクリームの半額セールと、長期販促を実施していた。競合店は対策に苦慮することだろう。

 ゴンドラゾーンは加工食品の売場を展開する。全体に品揃えを絞り込んでおり、調味料ではグループ会社の丸越醸造の商品が以前よりも存在感が増しているのを感じた。

 そのほか特徴的だったのはここ最近の新店で導入している韓国食材をコーナー化していた点だ。18尺のスペースで即席麺と調味料」をメインに、約170SKUを扱う。

「クラフトビール」が充実!

 同じく売場中央で展開する菓子売場も商品を絞っている。こちらでも韓国産の商品の提案に力を入れており、スナックやグミ、クッキーなど韓国菓子41品目をラインナップする。そのほかエンドでは、ロピア定番のオリジナル商品、トルコから直輸入の「フュージョンチョコレートビスケット」を大きく訴求していた。

クラフトビールコーナーでは地元・千葉県産の商品もラインナップする

 酒類では、クラフトビールの豊富な品揃えが目を引いた。18尺6段のスペースで地元・千葉県産の「柏エール」「九十九里オーシャン」「安房麦酒」など13品目を扱う。そのほかにも、国産11品目、米国を軸とした海外クラフトビールを355mℓ62SKU、約500mℓのロング缶76品目を揃える。価格は若干高めではあるものの、ビール好きを唸らせるような魅力ある品揃えだ。

関西の店舗で導入中の新MDが随所に!

 首都圏では久しぶりの新店ということもあって、今回は期待をもって売場を調査した。

 おおたかの森店では、今年3月開店の「兵庫三田店」(兵庫県三田市)で導入した刺身の対面コーナー、昨年9月開業の「大和郡山店」(奈良県大和郡山市)でスタートした寿司の対面バラ売りなど、関東では初導入となる商品政策が見られた。

 そのほかにも、21年11月オープンの「京都ヨドバシ店」(京都府京都市)で導入した冷蔵のクラフトビールや韓国食材、全国の醤油を集めた「職人醤油」コーナーなど、関西地区の新店で取り組んでいる新たな試みが随所で見られた。これら関西でのチャレンジが、首都圏ではどれだけ受け入れられるかが当面はポイントになるだろう。

韓国食材コーナーも関西で始まった試みの1つだ

 もう1つ注目したいのは、売場から感じる雰囲気が既存店とは少し異なっていた点だ。感覚的な話になるが、おおたかの森店は肩に力が入っていない、“自然体”での売場づくりがなされているように感じた。従来のロピアの売場は競合店を意識した強気の対応が前面に出ているが、このおおたかの森店は「地域にどう溶け込むか」が重視されているようだ。

 豊かなマーケットではあるものの、ロピアはおおたかの森店の商圏を慎重に考えているのかもしれない。とくに、平日と週末の落差が大きいと踏んでいるようで、週末こそ「量感」を追求した売場演出がみられたが、平日は商品の陳列量も少なく、客数に応じて商品展開を変えているようだ。そうした柔軟な対応が取れるのも「個店経営」を標榜するロピアの強さであるかもしれない。

(店舗概要)
開店日 2022年4月27日
所在地 千葉県流山市おおたかの森1-15-3
売場面積 約500坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車場 679台(SC全体)