ロピア(神奈川県/高木勇輔代表)は3月15日、兵庫県3店目となる、「ロピア兵庫三田店」(兵庫県三田市:以下、三田店)をオープンした(ロピア5月に「新長田店」を出店しているため、本記事公開時点の兵庫県の店舗数は4店舗となっている)。前編では、同店の青果・総菜・鮮魚・精肉売場をレポートした。後編では日配・加工食品・酒類などの売場を見ていきたい。
調査日=3月19~20日 ※本文中の価格はすべて本体価格
日配は利益重視の堅実な商品構成
和日配は正面壁面72尺のスペースを使って、「サラダ食材」「中華」「佃煮」「納豆」「練物」「揚げ・豆腐」「「水物」「漬物」「麺」の並びでそれぞれコーナーを展開する。
特徴的だったのは、開店時であるにもかかわらず広告商品がなく通常の定番商品で対応していた点だ。納豆では「タカノフーズ・まろやか旨味ミニ45g×3」(67円)を軸に、売れ筋の「タカノフーズ・極小粒ミニ50g×3」(59円)は競合にあわせた価格設定であるようだ。
豆腐も定番中心のラインナップで「山食・絹豆腐350g」(59円)をメインに、こだわり商品として兵庫県川西市のメーカー「藤田食品」の「兵庫県こうのとりの郷生とうふ絹400g」(229円)などを扱う。麺は8尺と絞り、「イシメン・うどん200g」(59円)、「東洋水産・マルちゃん焼そば3袋」(159円)などをラインナップ。全体的に利益を重視した堅実な対応である印象だ。
洋日配は正面壁面中央36尺のスペースで売場を展開。こちらも売れ筋をベースとしたオーソドックスな売場で、開店目玉商品もそれほどみられなかった。
冷凍食品・アイスクリームは、66尺2列のオープンケースと60尺リーチイン&オープン什器を使って売場を展開。ほかの店舗と比べるとややスペースを縮小しているようだ。
ロピアの新規開店の際は、アイアクリーム5割引セールを長期間行うのが恒例だが、今回は行われていないようだ。ただ、アイスクリームの個食タイプは多くの商品を78円で販売するなど5割引に近い価格で提供。「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」シリーズも198円と目玉価格で販売する。冷凍食品も割引率の表示こそないものの、売れ筋の「味の素冷凍食品・ギョーザ12個入」は159円で販売するなど価格訴求は徹底されている。
「標準スタイル」の加工食品売場
京都ヨドバシ店では「韓国食品コーナー」「全国ミニ醤油コーナー」を、「神戸岩岡店」(兵庫県神戸市)では「エスニックコーナー」導入するなど、直近の新店で加工食品の新たな挑戦が見られたロピア。三田店では「韓国食材」「台湾食材」「エスニック」を一体化させ、新たなカテゴリーとして通常棚の中で売場を展開していたのが目を引いた。
また、調味料では系列の丸越醸造の商品展開が増えているように感じた。とくに「スンドゥブの素500ml」(599円)、「トリュフソース360ml」(399円)などがよく売れているようだ。
京都ヨドバシ店、神戸岩岡店では、即席麺をレジ前や催事売場で扱い、商品も売れ筋に絞っていたが、三田店はゴンドラゾーンで売場を展開しており、カップ麺20SKU、丼麺50SKU、焼そば15SKU、袋麺15SKUをラインナップ。「日清食品・カップヌードル」(129円)や「東洋水産・マルちゃん正麺5袋」(299円)のほか、ご当地ラーメンの扱いもあった。
陳列もディスカウントストア型ではなく一般的な食品スーパーでみられる標準的なスタイルに変化しているようだ。その結果、管理がしやすくなっているのか、欠品は少なく、フェースアップもよくできており、購入するお客の目線で見ると、「この商品が買える」という“安心感”のある売場になっている印象だ。
クラフトビールは圧巻の品揃え!
酒類はスペースを割いて売場を展開する。レジ横約70尺のスペースはビール系飲料をまとめている。注目は京都ヨドバシ店でも導入した冷蔵ケース24尺「クラフトビール」コーナーで、「六甲ビール」「明石ブルワリー」など地場商品を含めた瓶ビール27品目を揃える。缶は国産と米国産をベースのラインナップとなっている。全体的に価格は多少高めだが、これだけの品揃えの店舗は専門店含めて近隣にはないだろう。
ワインは約11坪(歩測)のスペースで、売場を展開。価格は「よりどり2本1500円」や299円コーナーなど幅広く、とくに500円~1000円の価格帯を充実させているようだ。国産ワインコーナーでは、上段に「神戸ワイン」「河内ワイン」「丹波ワイン」など1500円前後の地場ワインを揃えるなど、幅を持たせた商品構成となっている。
続いて菓子売場。京都ヨドバシ店と神戸岩岡店は菓子売場が変則的で、やや落ち着かない印象だったが、三田店はゴンドラゾーン20尺6本でゾーン状に売場を展開している。「大袋菓子」は6段什器60尺のスペースで、115品目を扱う。「ロッテ・チョコパイ9個」(239円)、「不二家・カントリーマアムバニラ&ココア20枚」(184円)、「ロッテ・パイの実133g」(184円)など、一律の価格ではなく、価格が個々で異なるのも新たな試みだろうか。陳列料も多く、欠品の心配もなさそうだが、価格訴求がやや迫力に欠けるように感じだ。
神戸岩岡店で、大規模な日用雑貨売場を導入したロピア。神戸岩岡店では、キッチン用品・雑貨のほかヘアケア、オーラルケア、ペットフード、洗濯用品など品揃えに幅を持たせたが、三田店ではレジ前のゴンドラ5列のスペースで品揃えはキッチン雑貨に絞っているようだ。売場で目を引いたのは「アイリスオーヤマ」の「前開き冷蔵庫60L」(1万9999円)をはじめ「炊飯器」「プレート」などのキッチン家電である。日用雑貨を強化するチェーンはあるものの、家電までラインナップするのはあまりほかのチェーンには見られない試みだ。
開店時に見られた“落ち着き”
今回の調査は、開店して初めて迎える週末に店舗を訪ねた。筆者はこれまで何度もロピアの新店開店時に店舗を訪れているが、それらと比較すると三田店の混雑ぶりはやや落ち着いているような印象を受けた。開店前からお客は並んでいるものの入場制限が実施されるほどではなく、店舗奥側主通路に達するほどのレジ待ち行列もなかった。
ロピアもこうした状況を想定していたかどうかは不明だが、調査時は今年1月開業の神戸岩岡店のオープン時に見られたような超特売はなく、菓子の人気商品「カルビー・じゃがりこ12個入」(699円)、「森永乳業・チョコモナコジャンボ10個入」(500円)などはケース特売を実施するなど、販促スタイルに変化が見られた。前述のとおり大袋菓子も均一価格ではなく、個別対応型の販促を行うなど、非生鮮の販促の考え方が変わってきているようだ。
ロピアの販促に慎重さが見られた背景には、周辺の競合状況もあるのかもしれない。ロピアが入る近隣型ショッピングセンター内には「業務スーパー三田けやき台店」が至近にあるほか、道路を挟んだ向かいにはショッピングモールの「イオン三田ウッディタウン店」がある。さらに約300m先には「万代三田店」があるなど、三田店周辺は狭いエリアに有力チェーンがひしめく激戦区となっている。そうした事情もあってか、最近のロピア新店の開店時間は10時が多いが、三田店は競合にあわせて9時開店にしているなど、競合対応も見られた。
今後、店数が増えていく中では、競合は避けられない。足元では原材料高が続き、値上げ圧力も働いている。これまでのような強烈な価格訴求が打ち出しづらくなっている中で、ロピアはどのような価格政策を展開していくのか。この先の新店でも、開店セールの動向に注視してみたい。
(店舗概要入る)
開店日 2022年3月15日
所在地 兵庫県三田市けやき台1-7
営業時間 9:00~19:00
売場面積 980坪(歩測)