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東京・恵比寿に登場! ライフの首都圏セントラルスクエア2号店を徹底解説

ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長:以下、ライフ)は4月15日、東京都渋谷区に「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店(以下、恵比寿ガーデンプレイス店)」をオープンした。出店地は複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」の地下2階、2021年2月に営業終了した「三越恵比寿店」の跡地。都内屈指の好立地への出店となった同店ではどのような売場づくりをしているのか。

東京・恵比寿、「三越恵比寿店」の跡地に出店!

 ライフが4月15日にオープンした恵比寿ガーデンプレイス店は、JR「恵比寿」駅から徒歩8分の場所にある。同店が入居する「恵比寿ガーデンプレイス」は商業棟のほか、ホテルやオフィス、住宅、文化施設からなる複合施設で、旧サッポロビール工場の跡地を開発して1994年に開業した。

 同施設を管理・運営するサッポロ不動産開発は2022年2月、恵比寿ガーデンプレイスの商業棟を新名称の「センタープラザ」として2022年秋にリニューアルオープンすることを発表した。これに先駆けるかたちで22年4月、地下2階の食品と生活雑貨のフロア「フーディーズガーデン」がオープン。この目玉テナントとなるのが、恵比寿ガーデンプレイス店だ。

 なお、フーディーズガーデンには同店のほか、高質スーパーの「明治屋ストアー」、ドラッグストアの「トモズ」、輸入食品専門店の「カルディ」などが入る。

首都圏2店舗目のセントラルスクエア

 ライフが旗艦店と位置付ける「セントラルスクエア」屋号での出店となった恵比寿ガーデンプレイス店。首都圏では15年12月開業の「セントラルスクエア押上駅前店」(東京都墨田区)以来、2店舗目のセントラルスクエアとなる(近畿圏を含めた全体では7店舗目)。
 
 1km圏内に約9万人のオフィスワーカーがいるとされる同店の周辺は、ライフのドミナント戦略という観点からも非常に重要なエリアだ。近隣には「中目黒店」、「渋谷東店」、「東五反田店」、「武蔵小山店」(いずれも「ライフ」屋号)など7店舗がすでに店を構えており、ライフ岩崎社長によれば、1日当たり平均約3万人、年間で延べ約1000万人が来店し、7店舗合計の年商は約200億円に上るという。

 店舗から1km圏内に1万4164世帯/3万1018人が居住するなど足元のマーケットも分厚いが、ライフとしてはセントラルスクエア既存店の商圏が10kmまで広がっている実績も踏まえ、広域集客をねらう考えだ。都心では珍しく約460台(施設全体)の駐車場を備えているのもポイントだ。

534坪に約2万品目! 日用雑貨の扱いに注目

 売場面積は1765㎡(約534坪)と、セントラルスクエアとしてはやや小ぶりな店舗だが、取り扱う商品数は1万9870と、一般的な同規模のスーパーと比較してかなり多い。内訳は、農産が1000、水産が500、畜産が500、総菜が300、ベーカリーが60、加工食品(菓子含む)が9600、日配が3050、生活関連用品が4860となっている。

 注目したいのは生活関連用品、いわゆる日用雑貨の扱いで、恵比寿ガーデンプレイス店では、売場面積の制約もあって、日用雑貨売場のスペースはゴンドラ30本強ぶんと、生活な必要な商品をすべてラインアップするにはやや狭い。一方で、近隣住民、そしてネットスーパーで日用雑貨のニーズが高いと想定されることから、売場に並ばない商品約3000品目をバックヤードに揃えている。前述の生活関連用品の4860品目はバックヤードの約3000品目を含んだ数値となっている。

店頭に並んでいない商品は売場に配置されたパンフレットで注文する

 このバックヤードの日用雑貨は、オープン時は売場に配置したパンフレットを見て注文すると、スタッフがバックヤードから商品を持ってくるというオペレーションとしていたが、今後は売場に配置したタブレットやスマホから注文できるようにする予定だという。
 
 ライフはこれまでも、「限られたスペースの中で売場の魅力を最大化する」という考えのもと、既存店で非食品の扱いに力を入れてきた(参考記事)。今回のこの試みが集客や売上にどう影響するかに注目だ。

「松竹梅」のさらに上、「寿」のMDとは

 年商42億円と、店舗規模だけを考慮すると強気な目標を設定する恵比寿ガーデンプレイス店。部門別の詳しい商品政策は『ダイヤモンド・チェーンストア』5月15日号で詳報するが、岩崎社長の「『松竹梅』の上を行く、『寿』の商品を導入した」との言葉どおり、恵比寿という豊かなマーケットにあわせたハイエンドな商品提案が目を引いた。

 たとえば導入部の農産売場では、カットフルーツコーナーと店内製造のサラダコーナーを広くスペースをとって展開。メロンをはじめとした各種フルーツを贅沢に使用した「メロンドーム」(5980円)、「黒トリュフ」(3980円)など、ライフ既存店では見られないアッパークラスに向けた商品を販売していた。

農産売場で販売していた「メロンドーム」

 水産売場では、対面売場に生け簀を導入し、新鮮な丸物を提供するほか、主通路にはアイランド型の作業場兼売場を設け、鮮魚部門運営の「うお鮨」を展開する。作業場はガラス張りとなっており、中で調理・加工している様子が見えるようにしている。取材時は、ケーキの容器に入れた「ケーキ鮨」などユニークな商品が見られた。

“鮮魚寿司”の「うを鮨」はアイランド型の作業馬兼売場となっている

 畜産売場では、対面の「YEBISU MARCHE」コーナーを設け、「松坂牛」をはじめとしたブランド牛肉を量り売りで提供する。総菜でも、「国産牛めし二段御膳」(1580円)、「鰻まぶし飯の二段御膳」(1380円)などアッパークラス向けの商品を販売する。

総菜売場でも1380円、1580円とライフ既存店では見られない高価格帯の商品が目を引く

 さて、ライフは恵比寿ガーデンプレイス店を「SUPERMARKET4.0」と位置付ける。ライフが定義する「SUPERMARKET4.0」とは、

SUPERMARKET1.0 ……1953年から始まったセルフサービス方式
SUPERMARKET2.0 ……2000年代から大手チェーンがスタートしたネットスーパー
SUPERMARKET3.0 ……2010年代から始まったチェーンストアでのオーガニック拡大

の次のフェーズにあたる、新たなかたちのスーパーマーケットだ。恵比寿ガーデンプレイス店では、自然派・オーガニック商品を扱う「BIORAL(ビオラル)を併設するほか、自社の直営ネットスーパーとアマゾンとの協業によるネットスーパーサービスを展開する予定だ。従来のスーパーマーケットとこれらをデータでつなげることで、お客1人ひとりに対して最適な提案を行う、というのがライフがめざす「SUPERMARKET4.0」だ。

 オープン時の記者会見で、岩崎社長は「購買データの蓄積は今日から始まる。これからの半年、1年間で『SUPERMARKET4.0』を実現していきたい」と述べた。1年後、データ連携が完了した恵比寿ガーデンプレイス店がどのような姿になっているのかに期待したいところだ。

(店舗概要)
店名 セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店
住所 東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイス センタープラザB2
開店日 4月15日
店長 松原雅昭
営業時間 9:30~21:30
売場面積 1765㎡
取り扱い商品数 1万9870
年商目標 42億円(2年目)
従業員数 177人(社員30人、パートナー147人)
レジ台数 19台
駐車台数 463台(施設内一般)