流通・小売業界は少子高齢化や人口減少、ネット販売の台頭などの影響を受け、競争が激化している。その中で、店舗にどのように顧客を誘導し、そして購買につなげるか。これが流通・小売店舗の生き残りのための課題だ。それを解決するためにAI、IoTといった最新テクノロジーを活用し、ビッグデータから最適解を導き出すマーケティング手法が注目されている。なかでもネットワークカメラの映像ソリューションを用いて顧客の購買行動を分析するマーケティングによって、戦略的な店舗づくりを実現することが可能になっている。
映像ソリューションとAI、IoTの連動で一歩先を行くマーケティング
AI、IoTがデジタル化のキーワードになっている。小売業のマーケティングも“経験とカン”だけに頼る時代ではなくなった。様々なデータを分析することで市場の動向を可視化し、売上アップにつながる施策を展開する。従来のPOSデータやCRMのデータなどを活用して可視化・分析するだけでなく、リアルな状況を把握するために店内に設置された監視カメラをマーケティングにも活用する映像ソリューションを導入して可視化の領域を広げることも不可欠だ。
こうしたニーズに対応し、キヤノンマーケティングジャパンは様々な映像ソリューションを提供している。特に注目されるのは、映像による来店者分析だ。店内に設置したカメラに最先端のアプリケーションを組み込むことで、映像で来店者の数をカウントできる。
そしてPOSデータと連携すれば、そのうちの何人が商品を買ってレジを通過したかがわかる。つまり購買率を容易に把握できるわけだ。さらに、カメラの映像情報から来店者の性別や年齢層などの属性を推定することも可能になっている。
また、退店までの来店者の行動を映像で分析することで、来店客がどの商品の棚でじっくりと商品を選んでいたか、ということや買い物客が何で迷っているのかということも推測できる。
接客のレベルアップなど顧客満足度の向上にも一役
そうした顧客の購買行動を可視化し分析することで、店舗のレイアウト変更といった改革であったり、品揃えの強化、あるいは店内のスタッフによる接客の向上という施策の展開につなげたりという次の一手が打てる。
ネットワークカメラの映像をベースにビッグデータを分析するという映像ソリューションを活用することで、新たな商品展開や顧客満足度の向上に役立つデジタルマーケティングが可能になる。POSデータでは把握しきれないこともリアルな映像で可視化することで、効果的な施策を打つことが可能になる。
“映像”を軸に様々な施策展開が可能
犯罪を防止するために、ネットワークカメラで常時店内の映像を撮影する。万引き常習者対策として、ブラックリストをもとに顔認証で識別し、アラートを発することもできるようになっている。
こうした機能は犯罪を抑止するという裏返しで、優良顧客が来店したら顔認証でチェックしスピーディに対応するということも可能になる。そうした対応を迅速に行うことは顧客満足の向上につながり、来店者増と売上アップも期待できる。
レジに設置されたカメラなら、チェッカーの不正を暴くだけでなくレジ待ちが長くなっていることを把握して、他のレジのレーンを開けたるといった対応をスピーディに行うことで店舗の信頼性や品質向上にも貢献する。
万引き犯の監視から抑止効果への期待が高まる
本来、ネットワークカメラは防犯・監視目的で設置されるケースが多い。ショッピングセンターやコンビニといった商業施設やオフィスから空港、駅、街頭までネットワークカメラが設置され防犯・監視に活用されている。とくに2020年の東京オリンピック/パラリンピックを控えて、テロなど組織的犯罪の防止目的や抑止効果を狙いカメラの設置が活発化している。
監視カメラの設置は流通・小売業でも当たり前になっている。店舗内を監視する目的の第一は「万引き」など窃盗犯の捕捉。警察庁によれば2016年の万引き認知件数は11万2702件。近年では2009年の約15万件をピークに減少傾向にあるものの、未だに年間10万件以上の認知件数にある。
小売店舗を舞台にした窃盗事件は、外部からの犯人によるものだけではなく、内部の犯行も少なくない。例えば店員が故意にレジの釣銭を抜いたり、店舗の商品を持ち出したりする行為だ。こうした場合でも、監視カメラを設置していることで店員による犯行を見つけられるだけでなく、レジ上に監視カメラを設置していることで不正行為を抑止することにつながる。こうした場合、従業員を疑うということではなく、逆に従業員も「見られていることで疑われずに安心できる」という感覚につながるという。
万引きや内部スタッフによる不正行為を撲滅することは、店舗運営の健全化と売上に与える窃盗による影響を無くすことが可能となる。マーケティング効果と犯罪抑止効果という2つの効果が期待できる。
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