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漬物・キムチ市場、料理素材としての魅力を訴求し メニュー提案でユーザー拡大を

漬物・キムチのカテゴリーは世帯人数の減少や食の洋風化による米食の減少に加え、天候不良による原材料不足や米の価格上昇もあり、厳しい状況が続いている。

今後ユーザーを広げていくには料理素材としての魅力を訴求することも有効となる。

天候不良による原材料不足が大きく影響

 KSP-POSデータによると、2024年8月から25年7月の漬物カテゴリー全体の期間通算金額PIは対前年同期比0.6%減の2万1862円、数量PIは同2.5%減の100.8となった【図表】(次ページ)。月別金額PIの推移を見ると、24年8月から10月までは微減、11・12月で前年並みに回復したものの年明け以降2月を除き微減で推移し、6月以降は前年並みに戻っている。

漬物・キムチのカテゴリーは世帯人数や米食の減少、天候不良による原材料不足や米の価格上昇もあり、厳しい状況が続いている(i-stock/Yuuji)

 サブカテゴリーごとの金額PIを見ると、「梅干し」「その他漬物」は前年に対し微増で着地したものの、「たくわん」「浅漬け」「酢漬け・らっきょう漬け」「しょうゆ漬け」は前年割れ。とくに「浅漬け」は昨今の天候不良による原材料不足も大きく影響し、金額ベースで4.3%減、数量ベースでは6.3%減と落ち込んだ。

 一方、漬物カテゴリーで大きなウエートを占める「キムチ」カテゴリーの期間通算金額PIは0.7%増の6346円、数量PIは1.5%減の27.1となった。月別の金額PIの推移を見ると、24年は前年割れが続いたが12月に回復。年明けの25年1月は前年を割り込んだが、2月以降は前年を上回り推移している。

 食品需給研究センターの「食品製造業の生産動向調査」によると、2024年の漬物の生産量は対前年比7.7%減の74万265トンと2年連続の減少となった。

 サブカテゴリー別では、前年に対しプラスだったのは「しょうが漬」(1.8%増)のみで、ほかはすべて前年割れとなった。中でも「福神漬け」や「野菜刻み漬け」「みそ漬け」は10%以上、「奈良漬」「その他の粕漬」は20%以上の大幅減となっている。

アレンジレシピの提案で若年層の興味をひく売場へ

 漬物はご飯のお供のイメージが強いが、おにぎりやチャーハン、炒め物の具材など、料理素材としての魅力もある。マルハチは「山形のだし」を燻製風味にした「がっこだし」を新発売。ご飯にかけても、チーズと合わせたおつまみメニューにも使いやすく、燻製の香りと独特の食感が楽しめる。

 またキムチについては白菜だけでなく、「オイキムチ」や「カクテキ」など原材料によるバリエーションもあり、キムチ鍋や肉野菜炒めなど汎用性の高さで、ファミリー層に支持されている。

 東海漬物では基幹ブランド「こくうまキムチ」をリニューアル。かつお魚醤とイカごろの使用量をアップしたほか、「超特選丸大豆醤油」を新たに使用し、よりご飯に合う味わいに仕上げた。さらにエリア限定品として展開していた「辛くなくて食べやすいこくうま」を今秋より全国展開に切り替えて新発売する。

 現在、中高年層のユーザーが多くを占める漬物類だが、今後、カテゴリー全体を再活性化させていくためには、若年層が手に取るきっかけを増やすことがポイントとなる。また漬物の塩分を気にする消費者も増えているが、近年は減塩タイプの商品も出ているので、POPなどを使用し気付きを与えることも有効だろう。

 ご飯のおかずとしての定番商品のラインアップに加え、季節商品の紹介やレシピ提案を行うことで若年層を含めたトライアルを獲得していきたい。

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