冷凍パスタといえば女性の購買層が中心だが、近年は男性ユーザーも増えている。日清製粉ウェルナは、男性が満足できるボリュームと味わいを両立させた大盛り冷凍パスタ「マ・マー 特盛りスパゲティ」を2025年6月に新発売した。これまでにないボリューム感と視認性の高いパッケージにより、発売から順調な滑り出しとなっている。
420gの満足感、容量と味を追求

〈ナポリタン〉〈ペペロンチーニ〉〈カルボナーラ〉の3品をラインアップ
大盛り冷凍パスタは若年男性を中心とした需要はあるが、「味が物足りない」「量も満足できない」という声が存在した。そこで日清製粉ウェルナは、「ボリューム感と味の満足度を両立させた商品があれば、男性ユーザーの心をもっとつかめる」と考え、これまでの常識を覆す商品開発に着手した。その担当に選ばれたのは、意外にも大盛り冷凍パスタのターゲット層ではない女性社員だった。
「味わいや容量については、ターゲットとなるさまざまな男性の意見を取り入れました。自分では想像できない感覚を知ることが、商品づくりに役立ちました」と、商品開発本部 第三部ディレクショングループ中村 そよ香氏は振り返る。
容量は現在販売されている冷凍個食パスタの中で最重量級※となる420g(ペペロンチーニは400g)に設定。男性でも満足できる量を、試作を繰り返して決めた。また、最後まで飽きずに食べきれる味わいの追求も重要だった。既存の大盛り冷凍パスタは「味が薄い」という意見が多かったことから、濃く、やみつきになる味わいを追求した。
※同社調べ
メニューごとに工夫も凝らした。ソーセージとピーマンをトッピングした〈ナポリタン〉は、甘みとコクのある濃厚ソースににんにくを効かせ、ソーセージ入りの〈ペペロンチーニ〉は、たっぷりのにんにくと赤唐辛子でパンチを強調。ベーコンをトッピングした〈カルボナーラ〉は、濃厚チーズに黒胡椒を効かせるなど、どのメニューも「一度食べたらまた食べたくなる味」をめざした。
味と量を兼ね備えた冷凍パスタが流通からも消費者からも受け入れられた。
女性が“ジャケ買い”!新しい購買行動の可能性
ボリューム感を伝えるため、ネーミングにもこだわった。当初「メガ盛り」や「ギガ盛り」などの案が挙がったが、インパクトのある漢字2文字「特盛」が採用された。パッケージはビビッドな色使いで、照明に映えるキラキラ素材を使用。パッケージ全面に「特盛」を表示し、容量も大きく明記した。
さらに、通常の冷凍パスタはシズルが全面に掲載されたものが多いが、同商品はフォークに巻き付けたパスタを中央に配置することで立体感を演出し、売場で目を引くデザインにした。パッケージサイズも通常より大きくして解凍ムラを防ぐ工夫も盛り込まれている。
中村氏は「男性向けの商品でも、家族のために購入する女性の割合も多い。だからこそ、女性でも手に取りやすいデザインにしました」と話す。そのねらい通り、女性が“ジャケ買い”するケースも増えており、冷凍パスタ市場に新たな購買行動の可能性が見えてきた。
味わいの評価も非常に高く、すでに「何度も購入している。自分向けの商品」というリピーターが続出。若年男性を想定していたボリューム感と濃厚な味は、若年男性に加え、たくさん食べたい若い女性からも支持されているほか、シニア夫婦が分け合って楽しむケースも想定されるなど、幅広い層に受け入れられている。
日清製粉ウェルナは、この新しい大盛り冷凍パスタブランドを育成し、市場に新たな価値を提供する挑戦を続けていく。