売場に楽しさや賑わいを創出する新商品は店頭に欠かせない存在だ。本企画では2025年上半期の新商品群の中から、ヒットが期待されるアイテムをピックアップ。商品の特長とともに今期のトレンドを探っていく。
【抽出方法】全国18社SM/GMS企業がアンケートに回答。アンケートは、カテゴリーとして①加工食品②日配食品③菓子類④飲料・酒類⑤その他食品に分類し、25年上半期(1月~6月)に発売される新商品の中から、販売に期待している商品をカテゴリーごとに回答。
回答者は商品部担当者、回答方式は記名式。上記回答結果に、有識者および本誌編集部による投票を加味し、各カテゴリーの中から回答が多かった商品を選定
ロングセラーブランドの
エクステンションに期待
新商品はトライアルを促進しカテゴリーに新たなユーザーを呼び込む大切な役割を担っている。本企画ではSMおよびGMSの商品担当者が、「加工食品」「日配食品」「菓子類」「飲料・酒類」「その他食品」の各カテゴリーの注目商品を自由回答。「加工食品」部門では10アイテムが選出された。
エスビー食品の「粗きざみ やくみミックス」は、しょうが、みょうが、しその3種をバランスよくブレンドしたチューブタイプの調味料。3つの素材を異なる粒感でブレンドしており、噛んだ際のフレッシュさと食べ飽きない食感を実現している。どの食材も薬味の定番なので味のイメージがしやすく、バイヤーからの前評判が非常に高い商品だ。
ロングセラーブランドのエクステンションも多く選出されている。日本ハムは1985年から続くロングセラー「シャウエッセン」から「ほそびきウインナー なめらかfeat.シャウエッセン」を発売。スープ類との相性がよく、スープやクラムチャウダーなどの煮込むだけの簡単調理で、肉の旨みがプラスできることを訴求していく。
ヘルシー志向の商品も選出
キユーピーは定番の「深煎りごまドレッシング」から春夏限定の新商品として唐辛子や豆板醤のキレのある辛味が特長の「同 旨辛ラー油」を発売。ハウス食品はファストフード店の味わいを再現したペースト製品として、甘酸っぱさとクリーミーさが特長の「マスタードソース」を発売した。
味の素の「Cook Do 極」シリーズは、大人が楽しめる“でき上がりのビジュアル”と味わいにこだわり抜いた中華合わせ調味料。今春は新味として特製辣油や花椒油などの鮮烈な辛さと、中華醤のコク深さが味わえる〈極 麻辣回鍋肉用〉がラインアップに加わった。
ハウス食品はルウハヤシのロングセラーブランド「完熟トマトのハヤシライスソース」からほどよい辛さと香ばしくて深みのある味わいが楽しめる〈香ばしスパイシーハヤシ〉を発売した。
東洋水産はチルド麺の定番である「マルちゃん焼そば」の味わいを再現したカップ入り即席麺「マルちゃん焼そば」を発売。なめらかでモチモチ感のある麺に、スパイスを利かせた粉末ソースがマッチする。創味食品「あえるハコネーゼ」はツインパックの新包材を採用し、外装袋を廃止することでソース自体のクオリティを追求したブランド。今春は〈昔ながらの喫茶店風ナポリタンソース〉をラインアップに加えた。
健康意識の高まりを背景に、ヘルシー志向の商品も選出されている。ヤマキでは24年に40周年を迎えた「ストレートそうめんつゆ」の姉妹品として、塩分を30%カットした「お塩ひかえめストレートそうめんつゆ」を新発売。昭和産業は粉をまぶし、レンジでチンしたあとフライパンで焼くだけで揚げたようなカリッとジューシーな食感のから揚げが作れる「もう揚げない!!焼きからあげの素」を発売。少量の油で調理できる簡便性の高さを訴求する。
酒類売場を盛り上げる
ビールやRTDに新ブランド
「飲料・酒類」部門については既存品にはない価値で、新規ユーザーの獲得をめざす新商品が選出された。
サッポロビールは繁盛店で長年親しまれてきたサワーブランド「氷彩」からRTD「サッポロサワー 氷彩1984」を発売。ほのかな甘みを持つくせのないプレーンな味わいが特長で、同時に発売するRTS「サッポロサワー 氷彩1984 素」とともに、食中酒の新たな定番として売場を盛り上げていく。
新ブランドや期間限定品も
アサヒビールは、スタンダードビールとして7年ぶりとなる新ブランド「アサヒ ザ・ビタリスト」をリリース。爽快な苦みとすっきりとした後味が特長で、ビールの味わいの一つである“苦み”を求めるユーザーに向けて訴求する。
ネスレ日本は、アイスコーヒーのおいしさを追求して開発したアイスコーヒー専用品「ネスカフェ アイスブレンド」を発売。冷たいミルクや水に溶かしやすく、濃さも調整しやすくなっている。
カゴメは「野菜生活100」ブランドから期間限定品として「贅沢3種の桃ミックス」を発売。白桃と黄桃とネクタリンによるまろやかな甘さで、アレンジメニューとしてサイダーとバニラアイスクリームを使ったカラフルクリームソーダを提案する。
健康感とおいしさを
両立する洋日配
「日配食品」部門では4アイテムが選出された。カゴメは「アーモンド・ブリーズ」の内容・品質を日本人の味覚に合わせてリニューアル。大人の健康・美容をサポートする低糖質アーモンドミルクとして健康意識の高い生活者に向けて訴求する。
ヤクルト本社は、ストレスの緩和、睡眠の質向上に効果のある機能性表示食品「Y1000」から甘さ控えめですっきりとした味わいの「Y1000糖質オフ」をラインアップに加えた。雪印メグミルクはミルクのおいしさにこだわった創業100周年記念商品「スノーミルクヨーグルト」を発売。ヨーグルトに対し健康感よりもおいしさを求めるユーザーに向けてアピールする。
ロッテはロングセラーブランド「雪見だいふく」から、チルドスイーツタイプの「生雪見だいふく」を1年ぶりに発売。伸びのある薄いもちで、ふわふわ食感のクリームをたっぷり包み込んでいる。
コロナ禍以降、需要が拡大している「冷凍食品」部門。ニチレイフーズの「たっぷり卵のえび炒飯」はふっくらとした食感の大きな卵が入っており、隠し味として自家製えび香味油を使用することで、奥深い味わいに仕上げている。
その他、「菓子」部門では不二家「146g ホームパイ(アーモンドクッキー)」が選出されている。