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インフレ下でも100円貫くセリア ヒット連発の背景に「単機能化」が あった

原料コストの高騰を背景に“脱100円” の動きが各社で広がるなか、「100円堅持」を掲げるセリア(岐阜県/河合映治社長)。同社の商品はその安さだけでなく、SNSを度々にぎわせるようなヒット商品を連発する、開発精度の高さも大きな武器となっている。100円という売価を維持しつつ、顧客の多様なニーズをすくい取る商品をどのように開発しているのか。その舞台裏に迫った。

原価引き下げのため商品の「単機能化」を推進

 原料コストの高騰から、100円ショップ業界では価格帯拡大の動きが広まっている。こうしたなか、唯一100円価格を維持しているのがセリアだ。

 セリアは2万8000の商品を取り扱っており、毎月500~700アイテムの新商品を投入。そのなかで、ヒット商品を続々と開発している。

 同社は100円価格を維持しつつ、どのようにヒット商品を生み出しているのだろうか。

 セリアの商品部は9名で構成されており、全員が1~3年店舗での業務を経験したのちに、商品部へ配属されている。それぞれカテゴリーごとに分担を決め、商品開発を行っている。

 商品部では、原価高騰を受けて、原材料費の引き下げを主目的とした商品設計の変更に取り組んでいる。とくに注力しているのは、キッチン用品カテゴリーにおける多機能商品の「単機能化」だ。セリアでは、原材料費高騰以前は多機能商品を多く開発していたが、現在は機能を一つに絞り込んだ商品の開発に注力することで原材料費を抑えている。

 商品の単機能化により、思わぬ収穫もあった。訴求ポイントが明確になり、以前に増して顧客の購買意欲をかき立てる商品がおのずと増えていったのだ。競合他社の脱100円の潮流に動じることなく100円という売価を貫いた結果、「使いやすさ」に徹底的にフォーカスした商品づくりが進むようになったというわけである。

顧客の地味なストレスにフォーカスした商品開発

 こうしたなか、セリアは続々とヒット商品を生み出し、SNSをにぎわせている。セリア商品部部長の大野公久氏は「商品の単機能化を追求したうえで、顧客が感じている生活のストレスを軽減できる商品設計を推進したことが奏功した」と話す。

 たとえば、大きくヒットしたのは

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