メニュー

トライアルら出店でスーパーマーケット超激戦区に、宮城県利府エリアの勝者は?

人口減少による市場縮小が加速する一方の東北地方で、食品小売業による競争がにわかに熱を帯びている場所がある。宮城県仙台市近郊に位置する利府町だ。ベッドタウンとして宅地開発が進み、若いファミリー層を中心に人口の流入が今後も見込める有望マーケットである。同地でのシェア奪取を企図し、近年、全国チェーンから有力ローカルまで複数の食品スーパー(SM)が出店を続けている。そんな利府エリアを訪れ、主要店舗を中心に競争の最前線を考察した。

調査日:2024年9月6日、文中の価格はトライアルのみ税込・そのほかは税抜

エリア概況

半径約1㎞圏内にSM7店舗が集積!

 利府町は宮城県中部、仙台市中心部から直線距離で北東へ約10㎞離れた場所に位置する。23年12月末時点の利府町の人口は約3万6000人。もともと農業や工業が盛んだったほか、運動公園や新幹線の車両センターといった大規模施設が点在するエリアだった。

 町の様相が徐々に変わり始めたのは、2000年に「イオン利府ショッピングセンター」が開業して以降のことだ。同施設はその後増床を行い、21年に東北最大級(イオンモール全体でも第3位)の規模を誇る「イオンモール新利府」としてリニューアル。周辺地域も商業集積としての発展が進んでいった。

 それと同時に、「仙台」駅からはJR線でおよそ20分、クルマでも30分ほどとアクセスが良好だったことから、戸建てを中心とした宅地開発も進行。仙台市内よりも相場が手頃なこともあり、近年は若いファミリー層を中心に人口の流入が進んでいる。

 東北では希少ともいえる肥沃なマーケットを、食品小売が見逃すはずもない。今回調査対象とした、JR東北本線「利府」駅から半径わずか約1㎞の範囲でも7店舗のSMが営業しており、食品を扱うドラッグストアやディスカウントストアを含めると、その数は10店舗を超える。

 ここ数年ですでに過当競争の状態にあったところに、24年6月に「デイリーポート新鮮館利府店」、同年7月に「スーパーセンター(SuC)トライアル利府店」が相次いで開業。2店舗が新たに参戦したことで、利府エリアの競争環境はより熾烈化している。

店舗概要
所在地 宮城県宮城郡利府町森郷字新太子堂217-13
営業時間 24時間(医薬品9:00~21:00)
店舗面積 約4300㎡
駐車台数 240台
開業年月 2024年7月

 そこで今回はこれら2店舗に加え、これらと至近距離で直接競合しているとみられる、「ウジエスーパー利府店」「みやぎ生協利府店」「ザ・ビッグ新利府店」の計5店舗を対象に、各店舗でのMD(商品政策)の調査や価格比較などを実施。そのうえで、激化する一方の競争の行方を考察してみた。

 5店舗の位置関係を整理しておくと、いずれも利府町内を東西に貫く県道8号線沿いまたは近接した場所にある。最も東に位置するのが「SuCトライアル利府店」、そこから西へ400mほど離れて「デイリーポート新鮮館利府店」、さらに400m西へ行くと「ウジエスーパー利府店」、同店から直線距離で500m西に「みやぎ生協利府店」、そこから南へ約400m離れた「イオンモール新利府」の北館1 階に「ザ・ビッグ新利府店」がある。

売場解説

●SuCトライアル利府店
SuCならではの利便性と独自商品で広域から集客

 まずは5店舗の中で最も新しい「SuCトライアル利府店」から、売場づくりやMDを詳しく見ていこう。

 同店の

・・・この記事は有料会員向けです。
続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。