松屋(東京都/古屋毅彦社長)は、メールマガジン会員(回答数約1500名)を対象に行ったアンケート結果を「2026年お正月の過ごし方・おせちに関する意識調査」として発表した。物価高騰が続く中でも、約8割の消費者がおせちの購入を予定しており、消費者が正月を自宅や実家で過ごす傾向と、タイパ・コスパを重視する消費動向の根強さが明らかになった。

おせちの購入意向は増加、決め手は「タイパ」と「豪華さ」
26年の元日について、回答者の約9割が「自宅や実家、親戚宅で過ごす」と回答しており、家族や親族が集まって新年を祝う傾向が引き続き強いことがわかる。25年と比較しても、自宅や親戚宅で過ごす割合は微増しており、海外旅行や国内旅行を選択する割合は減少している。物価高騰や円安などによる旅行費用の値上がりが作用しているようだ。
また、ここ数年、「家事の負担を減らしながらも特別感は味わいたい」という意識が高まっており、おせちへの需要を底上げしている。実際、おせちの購入意向は25年の72.4%から、26年は77.5%へと増加。主な購入理由としては、以下のような声が多く挙がった。
- 「手間や時間を省けるから」(70.8%)
- 「見た目が華やかだから」(35.5%)
- 「料亭やホテル、地域の豪華なおせちが食べられるから」(33.5%)
この結果から、年末年始は「家事を最小限にして、ゆっくり過ごしたい」というタイムパフォーマンス(タイパ)志向や、価格に見合う満足感を求めるコストパフォーマンス(コスパ)重視の姿勢が、消費行動に大きく影響していることがうかがえる。
ハレの日には”奮発”する「メリハリ消費」のあらわれ
今回のアンケートから、物価高が続く中でも「おせちに関しては節約しない」という意識が消費者の間に存在することがわかった。
実際に、全体の約7割(67.5%)の回答者が「おせち購入時に節約を意識しない」と回答している。その中でも「普段は節約しているが、おせちは奮発したい」と答えた人は10.4%に上り、ハレの日には惜しまず出費をするという「メリハリ消費」の傾向が読み取れる。
おせちの選定ポイントを見ても、「味」(71.2%)や「好きなものが入っている」(49.3%)といった基本的な要素に加えて、「品数やボリューム」(31.6%)、「高級感・豪華さ」(28.8%)といった見た目の華やかさや特別感も重要視されている。
このような傾向にある一方で、来年のおせちにかける平均予算は2万2049円で、前年(2万3990円)よりも約1900円減少している。物価高による節約志向と「メリハリ消費」の微妙なバランス関係が見て取れる。
また、おせちと一緒に用意されるグルメとしては以下のような品目が多く挙げられている。
- 「(年越し)そば」(44.4%)
- 「すき焼きなどの肉料理」(37.9%)
- 「寿司や蟹などの海鮮」(34.6%)
- 「ワインや日本酒などのお酒」(33.9%)
- 「スイーツ」(27.3%)
松屋銀座の開店100周年を記念したおせちを発売
松屋はこうした消費動向を分析したうえで、「2026 松屋のおせち」を販売する。
26年の年末年始は最大で9連休となることから、自宅で家族や親しい人と過ごす層の増加も予測される。そうしたニーズに応えることに加えて、「松屋銀座」(東京都中央区)の開店100周年を記念した特別仕様のおせちを多数展開する。
たとえば、贅沢な食材をふんだんに使用した「銀座みかわや」(10万8000円、以下税込)や「三笠会館」(8万6400円)を販売。また、100種類の料理を詰め込んだ「和洋100品目おせち三段重」(3万7800円)など、ハレの日にふさわしい豪華なラインナップを揃える。
一方で、支出はできるだけ抑えたいというニーズに対しては、「特選・海鮮おせち三段重」(3万円)や「和洋折衷二段重」(2万520円)を、前年の値段を据え置いて提供する。
100万円の最高級おせちを販売
100周年を記念したおせちのほかにも、松屋史上最高価格となる100万円の最高級おせちの「染付青草花文特製おせち料理三段重 染付青草文銘々皿5 枚セット」を販売する。350年以上の歴史を持つ有田焼の名門窯元「辻精磁社」(佐賀県西松浦郡)と、日本料理店「青草窠(せいそうか)」(東京都港区)がコラボレーションした。伝統的な吉祥模様「四君子」と四季をテーマにあしらった特製重箱に、日本古来の調味料や全国から厳選した高級食材を詰め込んだ。
当初は外商顧客限定での販売を予定してたが、「匠の技と想いをより多くの方に届けたい」との思いから、1名限定で一般販売も行う。