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三井不動産が食の研究開発拠点「&mog Food Lab」を開設した理由

三井不動産(東京都/植田俊社長)は226日、東京都中央区に食の研究開発拠点「&mog Food Lab」を開設した。同社が推進する食のイノベーション創出プロジェクト「&mog」の一環として設立された同施設は、厨房施設・試食スペース・撮影スタジオを備え、食品メーカーやスタートアップに対し、商品開発に必要な環境を提供する。また、三井不動産では、東京・日本橋エリアにある飲食店とのコラボレーションの促進やパートナー企業とのマッチング支援を行う。

「&mog Food Lab」の設備と特徴

 三井不動産が展開する「&mog」は、東京・日本橋を拠点に、地元の飲食店やパートナー商社などと連携し、食の事業開発を支援するプロジェクトだ。

 その一環として、開発されたのが食の開発拠点「&mog Food Lab」。同施設は5階建てで、延床面積は約75坪。オフィスや会議室など、8つの部屋が配置されている。

 施設内には厨房設備、試食会スペース、撮影スタジオなどが完備されており、「試作→試食→撮影→試験販売」までの工程をシームレスに行える。厨房設備では、スチームコンベクションオーブンや急速冷凍機など飲食店が使うレベルの専門機材が導入されている。

 これらの設備は入居企業以外への時間貸しにも対応している。

 三井不動産日本橋街づくり推進部事業グループの柿野陽氏は同施設について「スタートアップや食品メーカーが抱える『設備投資の負担』や『市場テスト環境の不足』といった課題の解決ができる」と話す。

 すでに「&mog Food Lab」には3社が入居しており、そのうちの1社のCOLDRAW(東京都/磯部洋子・西川信太郎代表)は、独自の冷温減圧技術を活用したノンアルコール飲料を開発中だ。

 そのほか、日本橋でレストランを運営する食の会(東京都/長内あや愛社長)は伝統食材を生かしたメニューを開発、日替わりの中食サービスを運営するマチルダ(東京都/丸山由佳社長)は、季節ごとの献立や新メニューの試作やブラッシュアップの場として活用している。

 

食の開発拠点から街の活性化へ

 「&mog Food Lab」は、単なる実証実験の場ではなく、日本橋の街との連携を強化することで、より実践的な事業支援を目的としている。

 具体的には、三井不動産の商業施設や地域イベントを活用し、入居企業に対して商品販売やプロモーションの機会を提供する。たとえば、COLDRAWは三井不動産が主催する「SAKURA FES NIHONBASHI 2025」に出店し、自社開発商品の特別販売を予定している。

 また、日本橋の老舗飲食店やラグジュアリーホテルとのコラボレーションにより、新たな商品を生み出していくことをめざす。そのほか、食品メーカー、商社、飲食店などのパートナー企業との交流を促し、カンファレンスやイベントを通じて新たなビジネス機会を提供するとしている。

 こうしたネットワークを活用することで、入居企業は事業拡大が、三井不動産としては、プロジェクトを通じて生まれた商品が自社で運営する商業施設に導入されるといったメリットが期待できる。

 今後、三井不動産は「&mog Food Lab」の2拠点目・3拠点目の開設を視野に入れる。柿野氏は、「『&mog Food Lab』で生まれた新たな商品やサービスが街に実装されることで、街の価値がさらに高まっていくのではないか」と述べる。新たな商品やサービスの市場への展開を支援し、東京・日本橋を食の発信拠点へと成長させていく考えだ。

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