中元や歳暮などのフォーマルギフトが停滞するなか、家族や友人間で気軽に贈り合うカジュアルギフトは堅調に推移している。コロナ禍のコミュニケーションのひとつとして定着したようだ。2022年度は、食品の相次ぐ価格改定により、生活必需品のギフトに対するニーズが高まっている。
ビール・ハムソーギフトは苦戦が続く
ライフスタイルの変化などにより、儀礼的な要素の強いフォーマルギフトは縮小傾向にあるが、カジュアルギフトは堅調に推移している。とくにコロナ禍で人と気軽に会えなくなったことで、気持ちを伝える手段としてギフトが選ばれているようだ。また在宅時間の増加で自宅用に購入するケースも目立っている。
ダウントレンドの中元・歳暮市場だが、22年の中元期(6~8月)と、歳暮期(11~1月)は、カテゴリーによって差が生まれている。KSP-POSデータによると、ギフトの定番であるビールギフトは、中元期の6月の金額PIが1352円で対前年同期比3.7%減、7月は5128円で同5.9%減、8月は2694円で同5.8%減。歳暮期の11月は1496円で同4.3%減、12月は5016円で同6.9%減、1月は449円で同1%増。ビールギフトは22年も前年割れが続いている。
ビールギフト同様に苦戦が続いているのがハム・ソーセージギフト。中元期の6月の金額PIは793円で同4.9%増、7月は2026円で同2.4%減、8月は1113円で同2.6%減。歳暮期の11月は1619円で同8.7%減、12月は5691円で同9.2%減、1月は414円で同23.7%減。中元期、歳暮期ともに厳しい状況だが、とくに歳暮期は大きな落ち込みとなった。
生活に欠かせない食用油ギフトが好調に推移
相次ぐ食品の値上げにより、ギフトのなかでも生活必需品の価値が高まっており、とくに食用油ギフトが好調だ。中元期の6月の金額PIは451円で対前年同期比17.2%増、7月は1267円で同6.6%増、8月は1023円で同7.1%減。歳暮期の11月は732円で同6.6%増、12月は2174円で同9.5%増、1月は452円で同8.5%増と全体的に伸長した。食用油の価格が上がったことで、食用油は「もらってうれしい」ギフトとして選ばれたようだ。とくに需要が高まっているのが、こめ油。健康感や自然感に加え、おいしさでも評価されており、市場は右肩上がりだ。日清オイリオグループでは23年中元期に向けて、こめ油をアソートしたギフトを数多く品揃えしている。
同様に生活必需品である調味ギフトだが、全体的に伸び悩んだ。中元期の6月は106円で同17.9%減、7月は344円で同2.4%減、8月は440円で同16.4%減。歳暮期の11月は174円で同3.8%増、12月は577円で同16%減、1月は193円で同0.9%増となった。そのほか、醤油ギフトや日本茶ギフト、お茶漬・ふりかけギフトなども前年割れの月が目立つ。生活必需品のなかでも使用頻度の高い商品のニーズが高かったようだ。
コロナ禍では特別感やプレミアムなものなど、「ちょっといいもの」が求められたが、物価高騰によりマインドが変化し、食用油などの生活に欠かせない商品が好まれたようだ。仏事のニーズも戻ってきていることからギフト市場全体として回復傾向にあるといえる。