春夏期に向け各社から新商品やリニューアル品が発表されるなか、本誌が注目した新商品・リニューアル品をピックアップ。簡便・時短、環境配慮など生活を豊かにする「付加価値型商品」、コロナ禍以降消費者ニーズが高い「健康・機能性」、フレーバーの多彩さが決め手の「味・風味の新奇性」の3つの切り口で注目のアイテムを紹介する。
トレンド❶ 付加価値型商品
コロナ禍以降、外出自粛や在宅勤務の浸透によって家で過ごす時間は長くなっており、巣ごもり消費やおうち時間の充実につながる付加価値型商品の需要は依然として高い。昨今では調理の簡便・時短から一歩進んだタイパ(タイムパフォーマンス)を訴求する商品や、環境配慮の観点からSDGs を意識したパッケージの商品も増えている。
J- オイルミルズの「スマートグリーンパック®」は、プラスチック廃棄物やCO2排出量の削減に取り組む一環として、紙パックを採用した家庭用食用油シリーズ。油がたれにくく、用途に応じて注ぐ量を変えられるダブル構造のキャップを採用しており、環境面だけでなく利便性の高さでも支持されている。
永谷園の「パキット」は、折ったパスタをパッケージに入れ電子レンジで温めるだけで、“パスタの茹で” と“ソースの温め”が一度にできる画期的なパスタソース。「1人分のパスタを茹でるのが面倒」といった声から誕生したタイパに優れた商品で、電子レンジを使用したパスタの新しい調理方法を提案する。味種もボロネーゼ、カルボナーラ、ペペロンチーノの3品をそろえ、在宅のランチ需要にも最適だ。
日清製粉ウェルナの「マ・マー 早ゆでスパゲティ FineFast 2/3サイズ」は通常の3分の2の長さにすることで小鍋での調理が可能となった簡便性の高いスパゲティ。今春、環境に配慮した紙とプラスチックの複合素材パッケージにリニューアルし、プラスチック使用量を削減している。
サッポロビールの「サッポロ ニッポンのシン・レモンサワー」は「ポッカレモン」で知られるポッカサッポロフード&ビバレッジの「レモンマイスター」と協働開発した商品。オリジナルのセミクリア果汁とレモンピューレを使用することで、ジューシーでレモン果汁以上にさわやかなおいしさを実現している。
トレンド❷ 健康・機能性
コロナ禍以降、生活者の健康意識が高まったことで健康・機能性を訴求する商品の需要が拡大。感染症の影響が徐々に収まってきた現在もその傾向は続いており、糖質オフや高たんぱくといった切り口の商品、中高年に刺さるヘルスクレームの機能性表示食品は店頭でも増加傾向にある。
明星食品の「明星ロカボNOODLESおいしさプラス」は、「おいしさ」「PFCバランス」「高たんぱく」に着目したカップ麺。ノンフライの3層麺の難消化性でんぷんの配合比率を見直すことで、つるっとした食感を実現。「こってり醤油」「濃厚鶏白湯」「ピリ辛酸辣湯」の3 種展開で、「おいしさ」と「健康価値」が両立した商品として注目されている。
日清オイリオグループの「日清MCT オイル」は、BMI が高めの方のウエスト周囲径の減少、体脂肪や内臓脂肪を減らすことが報告されている中鎖脂肪酸(オクタン酸、デカン酸)を含む機能性表示食品。今期は日清MCTオイルを使った、機能性表示食品のマヨネーズタイプ調味料「日清MCT マヨネーズソース」も発売し、MCT オイルをより手軽に摂取することができる。
健康志向チョコレート市場を創出してきた明治は、“フラクトオリゴ糖がビフィズス菌を増やして腸内フローラを整え、お通じが気になる方のおなかの調子を良好に保つ”ことを表示した機能性表示食品として、2月28日に「オリゴスマート」ブランドの5 品をリニューアル発売。これまで腸活によい食材といえば、納豆やキムチ、オートミールなどが中心だったが、スイーツでも腸活ができることを訴求していく考えだ。
日本コカ・コーラは、キリンホールディングスの「プラズマ乳酸菌」を配合した「コカ・コーラ社 プラズマ乳酸菌 免疫ケアシリーズ」を北海道・北陸・長野エリアの地域限定で発売。「アクエリアス」や「い・ろ・は・す」など慣れ親しんだブランドから展開することで人々の前向きな日常生活をサポートする。
トレンド❸ 味・風味の新奇性
コロナ禍以降、自宅で過ごす時間が増えたことで、「外食品質のちょっといいものが食べたい」、「調理が手軽でおいしいものを選びたい」といったニーズが高まっている。
キンレイの「お水がいらない」ラーメンシリーズは、お鍋で温めるだけで専門店のような味を手軽に楽しめる冷凍麺。ご当地3 大ラーメンの「札幌味噌ラーメン」「博多豚骨ラーメン」に続き今春は「喜多方ラーメン坂内」を新発売した。
東海漬物のキムチブランド「こくうま」シリーズは、12 年ぶりの新商品となる「カクテキこくうま」を発売。また、期間限定品として焼き肉のたれベースの味わいに大豆たんぱくを入れることで食べ応えをアップした「きゅうりのキューちゃん焼肉味」を発売し、若年層に向けて訴求する。
日本ハム冷凍食品の「シェフの厨房」は、夕食時の主菜にもなる本格派の冷凍肉惣菜シリーズ。中でも「低温調理製法デミグラスハンバーグ」と「同 和風おろしハンバーグ」は電子レンジで温めるだけで低温調理製法ならではの素材の美味しさや肉のジューシーさが手軽に楽しめる。
だしの可能性を追求し日本のだしとさまざまな食材とのコラボレーションを提案するにんべんのメニュー専用調味料「だしが世界を旨くする料理の素」シリーズは、新商品として「ふんわり卵キャベツ塩炒め」「豚バラキャベツ味噌炒め」を追加。春が旬のキャベツに定番食材とだしを合わせることで、主菜がつくれることを訴求する。
簡便性や汎用性、健康・機能性などさまざまな切り口で既存商品との差別化を図る新商品。定番棚だけでなくエンドやクロスMDで露出を増やし消費者とのタッチポイントを増やしていきたいところだ。