紅茶ドリンク市場が厳しい状況のなか、2022年も「キリン 午後の紅茶」ブランドは好調をキープ。なかでも夏場の需要が高まっている〈レモンティー〉が売上拡大に貢献している。キリンビバレッジでは今年の夏に向けて「アイスティー」提案を強化し、カテゴリー全体の拡大につなげていく。
ほんのり甘く報酬感のある紅茶が
夏の飲料需要を押し上げる
22年4月~9月で伸長したのが「キリン 午後の紅茶 レモンティー」。レモンティーと相性がよく、フルーティーな香りが特長のヌワラエリア茶葉を15%使用し、さわやかな酸味が楽しめるレモンティーだ。夏場はスポーツドリンクや水、お茶などの止渇飲料が中心となるが、コロナ以降は嗜好のニーズに変化がみられ、飲料にも甘さや報酬感を求める傾向がある。そのためレモンのさわやかさがありながら、甘みも楽しめるレモンティーのニーズが高まったようだ。
それに加え、茶葉本来のさわやかな香りや豊かな旨み、クセのないすっきりとした後味で食事にも合わせやすい「おいしい無糖」シリーズの好調もあり、22年度はブランド全体で対前年度比3%増となった。
ヌン活や紅茶フレーバーがトレンド
ホテルやカフェなどで提供されるアフタヌーンティーのサービスを楽しむ活動を近年、「ヌン活」と呼び、女性を中心にブームになっている。コーヒーショップでもティーラテが人気で、お菓子やアイスクリームでも紅茶フレーバーが続々投入され、紅茶の香りがする香水が登場するなど、「紅茶」をキーワードにした商品が話題だ。
これまでなんとなく遠い存在であった「紅茶」が、生活に溶け込み、身近な存在になりつつあるようだ。
夏はアイスティー! 多面的にコミュニケーションを展開
清涼飲料市場のなかで紅茶ドリンクのシェアは約5%とまだまだ低いのが現状だ。しかも夏場は止渇飲料が中心となる実態がある。そこでキリンビバレッジでは紅茶カテゴリーを拡大するため、この夏はアイスティー提案を強化する。同社ではアイスティーを、甘さや報酬感など嗜好のニーズの変化を捉えた、新たな夏の選択肢として、新しいポジションを確立していく。暑い夏に喉の渇きを癒すだけでなく、「さわやかな甘みのあるアイスティー」という選択肢を広げることで、新規ユーザー獲得に加え、コモディティ化が進む清涼飲料市場を盛り上げていく目的もある。
夏頃からテレビCM をはじめ、店頭、デジタル広告など多面的な広告展開を予定しており、「午後の紅茶」が仕掛ける「夏のアイスティー」の話題の最大化を図る。日本では紅茶の飲用機会はまだまだ少なく、さらなる拡大の余地が残されている。同社では「午後の紅茶」ブランドの底上げはもちろんだが、この夏は「アイスティー提案で夏場の需要を拡大し、紅茶カテゴリー全体を活性化していきたい」(マーケティング部ブランド担当主務ブランドマネージャー・田代美帆氏)としている。