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酒税改正でどうなるビール?新ジャンル増税でイオンPB、鮮やかな妙手とは

10月の酒税改正で、ビール類では新ジャンル(第3のビール)の税率が上がり、発泡酒と並びます。最終的に発泡酒と新ジャンルの価格差がどうなるかはまだ見えませんが、新ジャンルの割合が高いスーパーの売場には一大事となるはずです。影響はNBにとどまらず、ほとんどが新ジャンルで商品化している小売のPBにも及びます。家庭用の新ジャンル市場にどんな変化が起こるのか? 先行きを垣間見せてくれるのは、先手を打ったイオングループのPBかもしれません。

発泡酒に生まれ変わったイオングループのPB「バーリアルグラン」

最安値の新ジャンルから、
新ジャンル価格の発泡酒にスイッチ

 イオンは3月の時点で、新ジャンルとして商品化していた「バーリアル」を、発泡酒の「バーリアルグラン」に刷新しました。本体価格は350ml缶で30円の上昇ですから、思い切った決断です。

 さらに驚いたことに、このバーリアルグランが発売3ヶ月で5000万本を突破、販売ペースが旧バーリアルの2倍だというのです。味わいの評価が高く、価値と価格のバランスが支持されていると聞きました。それはそうなのでしょうけど、しかし、売価が4割近くも上がって、売れ行きが2倍になるなんて・・・・。「おいしくなった」くらいで、そんなことが起こり得るのかと思いました。これがインフレの世界かと、個人的には衝撃でした。

 とはいえ、何か納得のいく説明はないものかと探していると、イオンリテールの店頭価格は、バーリアルグランと新ジャンルのNBが同価格ではないですか! 新ジャンルと同じ値段で買える発泡酒。これは価格優位性を発揮しそうです。

 新ジャンルの最安値だったバーリアルから、新ジャンル価格で買える発泡酒のバーリアルグランへ。このポジションチェンジが躍進につながったと仮定すれば、鮮やかな一手ではないでしょうか。まして10月以降、NB新ジャンルは値上げ確定ですから、税率が動かない発泡酒の魅力は一段と高まるはずです。

プレミアム生ビールの価格はスタンダードに揃える

NBスタンダードビールと並べて展開する「プレミアム生ビール」

 バーリアルグランと同様の価格設定を、PBビールでも行っています。7月発売の「プレミアム生ビール」は、旧商品の「プレミアムビール」を刷新したもので、本体価格は350ml缶で20円上がり188円になりました。原材料の設計を変えており、原材料価格も上昇している環境での価格上昇は致し方ないところです。意図として興味深いのは、これがイオンリテールにおけるNBスタンダードビールの店頭価格に揃えられていることです。

 税区分上の「ビール」カテゴリーは、いわゆるスタンダードビールとプレミアムビールに分かれます。今から20年近く前に「ザ・プレミアム・モルツ」が仕掛け、以前から存在した「エビス」と共に確立していったプレミアムカテゴリーですが、明確な定義はありません。税率も一緒です。ただ、スタンダードビールよりも高価で高品質というイメージは確かにあります。

 そのプレミアムビールを商品名としたイオンのPBビールが、スタンダードビールと同じ価格というポジショニングで、旧商品を上回る販売計画を立てています。

 思い返せば、新ジャンルが誕生して市場を形成していった時期は、プレミアムビールが台頭したタイミングと重なります。ほぼ20年の時を経て、2つのカテゴリーは異なる岐路に立っています。現時点で販売数量を比べれば、価格の低い新ジャンルの方が遥かに巨大です。この一大市場が10月以降、大げさにいえばカテゴリーの存亡をかけた環境に置かれます。まして新ジャンルには試練がもう一段、控えています。3年後の26年に再び税率が上がり、ビール・発泡酒・新ジャンルの税率は一本化されます。これは発泡酒にとっても危機で、ビールにとっては躍進のチャンスです。税率が一本化されても売価が横並びになることはないでしょうが、価格差はどうしたって縮まります。

 スーパーマーケットのビール売場は10月以降、どのように変わっていくのでしょうか。変化は急激ではないかもしれませんが、ニーズの流動性は高まるでしょう。3年のスパンでは現状とはかなり異なる売場になっていくように思います。

 なかでも新ジャンルはどうなるのか? 全体の行く末は分かりません。ただ、少なくともイオングループのPBからは、すでに新ジャンルは消えました。