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大きく伸長する注目カテゴリー「チーズ」、栄養素など健康訴求で新規ユーザー増加

2021年のチーズ市場は、コロナ特需の裏年にあたるため、3月以降は前年割れが続いている。ただ、調理用途チーズ、直食系チーズともに需要は確実にアップしているといえそう。各社では引き続き、主力ブランドを強化し、市場の活性化を図っている。

21年度上期は前年割れだが、8月以降はプラスに転じる

 農林水産省の「チーズの需給表」によると、2020年度のチーズの国内総消費量は36万744トンで前年度比0.2%増と6年連続で過去最高を更新した。ここ数年は家飲みや内食志向により堅調に推移しており、20年はコロナ禍の外出自粛や在宅勤務などで、調理用途のチーズが大きく伸長。また、おやつやおつまみとして食べられている直食系のチーズも好調に推移している。

ここ数年は家飲みや内食志向により堅調に推移しており、20年はコロナ禍の外出自粛や在宅勤務などで、調理用途のチーズが大きく伸長。また、おやつやおつまみとして食べられている直食系のチーズも好調に推移している。 i-stock/Magone

 KSP-POSのプロセスチーズの期間通算(2020年10月~21年9月)の金額PIは、8503円で対前年同期比0.8%減。2月までは前年を上回って推移しているが、3月~7月まで前年割れとなった。これはコロナ特需の裏年にあたるため。ただ、8月以降はプラスに転じており、9月は同4.2%増となった。10月に緊急事態宣言は解除されたが、内食生活や家飲みは続くことが予想され、各社ではおつまみチーズのラインアップを強化している。

 雪印メグミルクでは、今年9月にロングセラーの「6Pチーズ」シリーズからおつまみ需要に応えて、ブラックペッパーとホワイトペッパー2種類のペッパーを配合した刺激的な味わいの「6Pチーズ ペッパー入り」を発売した。また、「ベビーチーズ」のおつまみシリーズから「ガーリック ベビーチーズ」を新発売。すりおろしにんにくの風味にオニオンフレーバーを合わせたキレのある味わいだ。

 森永乳業では、「クラフト 切れてるチーズ」シリーズから、香ばしいスモークの風味が食欲をそそる、お酒のおつまみにぴったりな〈スモーク風味〉を数量限定で発売した。

カマンベールやモッツァレラなど食べ方が広がり好調

 KSP-POSのナチュラルチーズの期間通算の金額PIは、7347円で対前年同期比0.9%減。プロセスチーズ同様に2月までは前年を上回って推移しているが、3月からは前年割れが続いている。とくに前年の反動で4、5月は2ケタ減となった。

 ナチュラルチーズで好調なのが、カマンベール。認知症の予防につながる可能性があるという健康効果が浸透したことや、そのまま食べる以外に料理への活用が普及したことで大きく伸長している。明治では朝食でもカマンベールチーズを食べてもらうために、「いい朝カマン!」をテーマに毎日の習慣化を図っている。雪印メグミルクでは、電子レンジで簡単につくれる「カマンフォンデュ」を提案し、需要拡大をめざしている。

 一方、もっちりした食感が特徴のモッツァレは、昨年秋に明治が「明治北海道十勝」ブランドで参入し、新たな需要を掘り起こして市場は活性化。今年8月には全国展開し、WEB動画などで食べ方提案を訴求している。森永乳業では、ハレの日のアレンジカプレーゼの提案のほか、加熱した時にもちもち食感になる特性を訴求した料理提案にも力を入れている。

 また、昨年はお菓子づくりに使われ、大きく伸長したクリームチーズはその反動で今年上期は前年を下回ったが、19年対比では2ケタ増と好調に推移している。新規ユーザーの多くが流出しているものの、2~3割は継続購入につながっているといえそうだ。