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内食化率の高まりで好調をキープする食用油市場、オリーブオイルが市場を牽引する

従来の炒める・揚げるなどの加熱調理に加え、健康やおいしさの面からオイルをかけて楽しむスタイルが定着し、市場拡大が続いている食用油市場。2020年も内食化率が高まっていることから需要が増加し、市場は継続して好調をキープしている。

2020年4月~12月までの食用油市場は、金額ベースで対前年同期比9.6%増、容量ベースで同11%増。市場を牽引しているのが、最大カテゴリーのオリーブオイルだ。MarianVejcik/i-stock

家庭での利用が増えたごま油、こめ油が市場を牽引

 2020年4月~12月までの食用油市場は、金額ベースで対前年同期比9.6%増、容量ベースで同11%増。このペースでいけば、通期で1600億円の大台に乗る可能性が高い。

 市場を牽引しているのが、最大カテゴリーのオリーブオイル。金額ベースで同3.4%増、容量ベースで同10.2%増となった。容量のほうが大きな伸びとなったのは、安価な輸入品が増えたことで、店頭価格が下がったことが一因だ。オリーブオイルは中高年層のヘビーユーザーを中心に拡大を続けてきたが、購入世帯率はあまり増加していないと推測されており、新たなユーザー獲得のためにもオリーブオイルの価値を継続して訴求していく必要がある。

 ごま油も好調で、金額ベースで同28.5%増、容量ベースで同26%増と大きく伸長した。外食が制限されたことで、つくる機会が増えた炒め物や中華など、簡単でご飯に合う、ごま油使用メニューの増加が需要増に繋がった。このままのペースで伸長するとオリーブオイル、キャノーラと同等の市場規模になるのも時間の問題だ。

 こめ油もここ数年、大きく成長しているカテゴリーのひとつで、金額ベースで同32.5%増、容量ベースで同35.6%増と大きく伸長した。軽くて香ばしい風味と、カラッと仕上がるのが特長で、ビタミンEや植物ステロールなどの栄養素も含んでいる。サラダ油やキャノーラ油からの置き換えが進んでいる。

 また、キャノーラ油は金額ベースで同11.2%増、容量ベースで同9.5%増。内食化が進んだことから、家庭での調理機会が増え、とくに揚げ物の回数が増えたことで、キャノーラ油の需要が高まったようだ。

アマニ油・えごま油は前年の反動で前年割れ

 サプリメントのように、毎日摂取するプレミアムオイルは、金額ベースで同8%減、容量ベースで同7.4%減となった。金額ベースの主な内訳は、しそ・えごま油が同23.9%減、アマニ油が同2.7%減、MCTオイルが同83.8%増。アマニ油とえごま油のマイナス要因は、一昨年に大きく伸長したことによる反動だ。アマニ油はえごま油に比べ、習慣化が定着していることから大きなマイナスにはなっていない。

 日清オイリオグループでは昨年秋に「日清有機えごま油」を新発売。限定農園で有機栽培された良質なえごまのみを使用したえごま油を発売し、市場の活性化を図っている。

 また、市場のボリュームとしてはまだ大きくないが、堅調に拡大しているのがMCTオイル。消化吸収がよく、エネルギーになりやすい中鎖脂肪酸は、スポーツをする人や健康や美容に気づかう人から支持されている。

 今年3月から4月にかけて原料の高騰を受け、大手3社が食用油の価格引き上げを発表した。食用油1㎏あたり20円以上の値上げで、20年4月以来、1年ぶりの値上げとなる。価格値上げにより需要が落ちないようにするため、引き続き、食用油の健康性や料理に使うことによるおいしさを訴求していく必要がありそうだ。

日清オイリオグループ、食用油市場の継続的な拡大に向け「健康性」「おいしさ」を具現化する新商品を投入

内食化率の高まりにより、食用油市場は好調を続けている。食用油の持つ「健康性」や「おいしさ」などのポジティブなイメージをより定着させるために、日清オイリオグループでは新商品の投入とプロモーションを継続して行っていく。

調味料感覚で使える風味油「日清やみつきオイル」

 食用油をそのままかけて料理を楽しむ食習慣が広がり、食用油の持つ「健康性」や「おいしさ」などのポジティブなイメージが定着しつつある。食用油市場を継続的に拡大していくために日清オイリオグループでは、これらのイメージを牽引する「かけるオイル」の取り組みをさらに強化する。

 この春は、新たな油のおいしさを楽しんでもらうために、「日清やみつきオイル」を新発売。みんなが思わず「やみつく風味」が楽しめるオイルで、炒めものや焼きものはもちろん、料理の仕上げや味付け、かけたり、つけたり、調味料感覚で使える風味オイルだ。液だれしにくい容器で、卓上使いにも適している。最後まで使い切れるように100gに設定した。

 ラインアップは、にんにくやスパイス、香味野菜のうまみと香りをごま油に閉じ込めた「ごま油にんにく」と、バター風味と後を引くガーリックの風味がブレンドされた「ガーリックバター風味」の2種類。食べた人の98%が「おいしい」と答えており、9割以上の人がリピート購入につながるクセになるオイルだ。

 いろいろな料理で楽しめることを伝えるために、おすすめ料理を載せた全10種類のパッケージを展開する。この春からは、男性層、若年層に支持されているバーチャルタレントのキズナアイを起用し、SNSでの露出や店頭販促物との連動を行い、ファン獲得を図っていく。

具体的な健康訴求で市場全体を活性化

 クッキングオイルでは、アマニ油30%配合の「日清アマニ油プラス600g」をリニューアル。α-リノレン酸含有で血圧が高めの方に適した機能を持つ機能性表示食品だ。また、こめ油ベースの「日清こめ油プラス600g」をリニューアル。コレステロールの体内への吸収を抑える植物ステロールを豊富に含んでいるので、コレステロールを下げるのが特徴の特定保健用食品だ。健康性を具体的に訴求することで、気づきを与え、市場全体を活性化していく。

 一方、昨年秋に発売した「日清有機えごま油」が好調なことから、この春は大容量タイプの320gをラインアップ。限定農園で有機栽培された良質なえごまのみを使用したえごま油で、栽培から充填まで、すべての工程で有機JAS認証を取得している。

 えごま油をもっと手軽に使いたいというユーザーの声に応えて「日清有機えごま油」を使用したドレッシングを新発売。素材のおいしさと具材感がしっかり感じられる、ちょっと贅沢なドレッシングに仕上げた。有機醤油のうまみと玉ねぎの甘みをしっかり感じる「和風」と、香ばしいごまの香りと食感が楽しめる濃厚な「胡麻」の2種類を展開する。

 販促としては、内食メニューのマンネリ化という課題に対し、売場での提案に力を入れていく。また、3月からはカゴメとのコラボレーションで、「春のパスタフェア」を強化するほか、5月には明治のモッツァレラチーズとコラボした、おつまみや簡単ごはんを提案する。同社では継続的な市場拡大に向けて、さまざまな取り組みを行っていく考えだ。