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食用油市場、内食需要の高まりを受け3月~8月に大きく伸長 ごま油は驚異的な伸びを記録

サラダ油イメージ
i-stock/jchizhe

コロナ禍での内食需要の高まりを追い風に、好調が続いている食用油市場。オリーブオイルやごま油に続き、こめ油やアマニ油、えごま油などのプレミアムオイルの存在感も高まり、市場はさらなる成長を遂げている。

食卓登場頻度アップでごま油が驚異的な伸び

 昨年、過去最高の1500億円の大台を突破した食用油市場。新型コロナウイルス感染症拡大で内食需要が高まり、今期も伸長が続いている。

 K S P – P O Sの食用油の期間通算(2019年10月~20年9月)の金額PIは、9498円で対前年同期比4.2%増。2月までは前年割れとなった月もあるが、3月から前年を大きく超えて推移。3月は同10.9%増、4月は同16.7%増、5月は同13.6%増となった。高付加価値タイプへの移行が進み、前年割れが続いていたサラダ油・てんぷら油も堅調で、3月から前年を上回って推移した。

 全体的に需要が高まっているなか、とくに伸びが目立ったのが、ごま油。3月は同24.6%増、4月は同53%増、5月は同47.2%増と驚異的な伸びとなった。休校により子供が家で食事する機会が増えたことで、子供の好きなごま油を使う餃子や炒飯、焼そばなどのメニューの食卓登場頻度がアップしたことが予想される。独特の香りと味わいのごま油は保有率が高く、家庭で欠かせない油となっている。

 一方、オリーブオイルも好調で、4月は同25.2%増、5月は同15.8%増と大きく伸長した。健康感やメニューの広がりでオリーブオイル市場は堅調に推移しており、家庭用食用油の最大のカテゴリーに成長している。調理用途だけでなく、ふだんのメニューに「ひとかけ」する提案で、年々、需要を伸ばしている。オリーブオイルの購入率は3割程度とここ数年はほぼ変わっていないので、まだまだ拡大する余地が残されているといえそうだ。

 また、こめ油は米ぬか由来の栄養成分とおいしさが評価され、安定成長が続いている。軽くて香ばしく、カラッと仕上がるのが特徴で、揚げ物や炒め物など調理用途として使われ、汎用油からのシフトが加速している。

健康感の高まりでえごま油やアマニ油が台頭

 内食化や健康志向の高まりで、存在感が高まっているのがえごま油とアマニ油だ。体内のさまざまな機能をサポートしてくれるオメガ3(n-3系脂肪酸)が多く含まれているのが特徴。TVの情報番組で取り上げられたことをきっかけに認知が広がっている。

 昨年秋にJ-オイルミルズがえごま油に本格参入し、この秋にはえごま油とアマニ油を「オメガ3」シリーズとしてリニューアルし、開封後も鮮度をキープする「鮮度キープボトル」を採用した。また、加熱に強いコーン油とブレンドした加熱調理に最適な「アマニブレンド油」と「えごまブレンド油」をラインアップ。手軽に使えるブレンド油を提案することで、新規ユーザーを獲得する。店頭では「オメガ3」として提案し、視認性を高めていく。

 日清オイリオグループでは、この秋に「日清有機えごま油」を鮮度のオイルシリーズと、トライアルしやすい小容量50g瓶の2品を新発売した。

 えごま油とアマニ油の認知は広がっているものの購入率はまだまだ低いため、ブレンド油や小容量タイプなど、トライアルしやすい商品を品揃えすることで、需要拡大を図りたいところだ。