首都圏都市部を中心に店舗展開するコモディイイダは、価格や品揃え、メニュー提案など、購買を“ワンプッシュ”することにつながる、店頭からの提案や仕掛けを重視。今期もコロナ禍でさまざまな影響を受けるなかで、鍋やブロック肉の訴求など、成果につながる取り組みを展開している。
まとめ買い増加で客単価は大幅に向上
コモディイイダの豚肉カテゴリーの構成は国産55%、輸入品は日本ハムが供給するアメリカ産「とうもろこし豚」を中心に45 %程度。「とうもろこし豚」は、肉質の締まりがよく、消費者からの味への評価も高いという。
新型コロナウイルスの影響で、家庭で過ごす時間が多くなったことから、2月頃から豚肉の需要が高まり、5月くらいまでは大幅に昨対を上回って推移した。
コモディイイダ商品部精肉バイヤーの浅香譲二氏は、「2 月はうるう年で1 日多いこともあり、売上は非常に好調でした。とくに輸入品が大きく伸びています。お客さまの来店頻度は下がっていますが、まとめ買いが多く客単価が大幅に上がったのがこの時期の特徴でした。大容量品への需要も高く、引き続き強化していく方針です」という。
4月以降は供給が厳しくなると見て、冷凍肉などの手当ても行ったが、サプライヤーとの連携もうまくいき、結果的に大きな影響はなかったという。ただ、急激に売上が伸びた一時期、店頭での欠品を防止するため、売れ筋にアイテムを絞った加工作業の調整を店舗ごとに実施した。「当社は精肉の加工はすべて店舗で行っています。その点で店頭の状況を確認しなからフレキシブルに対応することができるため、問題は生じませんでした」(浅香氏)という。
また9月以降はGo To Eat (ゴートゥーイート)キャンペーンの政策誘導によって外食回帰現象も起こっているというが、今のところ豚肉需要は堅調。今後の動向に注目しているという。
味への評価が定着してきた輸入豚のウエイト拡大へ
同社精肉部門では常に購買を“ワンプッシュ”することにつながる、店頭からの提案や仕掛けを重視している。
「今期はおすすめの鍋用調味料とクロス展開した鍋訴求が効果をあげ、鍋用商品全体で前期から1.8倍の売上成長を記録しています。また肩ロースのブロック肉や薄切り肉などを強化してきた結果、売上を伸ばしています。定期的な取り組みとしてはアメリカ産バラ肉を100g99円で提供し、“いつきても安い”という価格訴求も実施しています。コロナの影響か、レンジアップ商品も好調でしたが、味付け肉についてもメニュー提案をしっかりしていくことが重要だと考えています」(浅香氏)
また今後については、これまでも実施してきた大容量の“メガパック”商品も重点商品としている。
浅香氏は「“メガパック”は確実に需要が高まっており、これまでより容量をさらに増やしたパックも徐々に拡大中です。こうした商品を揃えるためにも、今後は『とうもろこし豚』をはじめとする輸入豚に力を入れ、さらに割合を高めていきたい。味の評価が高まっており、作業性にも優れています。すべて店内加工を行うため、やはり人手もかかり、スキルアップを図るうえで課題もあるため、規格の安定性や作業性は非常に重視しています」と語る。