メニュー

ヤマトホールディングス×ドドル、ニューノーマル時代の新たなEC商品受け取りサービスを発表

MDエディション

ヤマトホールディングス(以下、ヤマトHD)とヤマト運輸、および英国・Doddle ParcelServices Ltd(以下、ドドル社)は業務提携を行い11月より新たなEC商品の受け取りサービスをスタート。8月からは、受け取り店舗の募集も行っている。EC利用者および受け取り店である小売業目線に立った新サービスとして各方面から注目されている。

英・米・豪で高い実績を持つドドル社との提携

2社のロゴ

 2020年1月、中長期のグランドデザインである「YAMATO NEXT100」を発表、ECエコシステムの構築に取り組んでいるヤマトHD。同社はその取り組みの一環として6月にEC事業者向けの新配送商品「EAZY」の発売を開始した。ライフスタイルの変化に伴い増加するEC利用者に向け、さらなる利便性の向上を提案している。

 一方、14年に英国で創業したドドル社は、EC購入商品の受け取り・返品システムのグローバルリーダーとして、イギリス、アメリカ、オーストラリアの各国で、物流や郵便、EC事業者向けに専用プラットフォームを提供。EC購入商品と一般ユーザーをつなぐラストワンマイルの最適化を実現している。オーナーのロイド・ドーフマン氏は両替サービスのトラベレックスの創業者としても知られる資産家で、欧州をはじめ、中東、アジアにも事業を拡げ、同業態のグローバルニッチをめざしている。

 現在、ドドル社のテクノロジーはAustralia Post( オーストラリア郵便公社)やUnited States Postal Service(アメリカ合衆国郵便公社)といった郵便・物流事業者をはじめ、アマゾン、eBay 、マークス&スペンサーなど世界有数のリテール事業者のEコマースシステムにも導入され、EC購入品の配送と返品をサポートしている。

 ヤマトHDは近年グローバルの最先端テクノロジーをモニタリングするためアメリカ シリコンバレーに拠点を置いている。そこで新進のベンチャーであるドドル社の取り組みに着目。英国での導入実績やノウハウ、受け取り場所である小売業目線での取り組み等を高く評価し、日本でのサービス提供に向けて昨年11月より協議を進め、20年3月に合意。8月の業務提携発表を経て11月にサービスローンチを行う。

受け取り店という新たなタッチポイント

英国・スーパーマーケットモリソンズでのドドル社の「Click &Collectシステム」のサービス提供のイメージ

 ヤマトHDとドドル社の両社は11月よりヤマト運輸の「EAZY」導入事業者または特定EC事業者の受け取り拠点として参画する小売店舗に対し、ドドル社の「Click & Collectシステム」の提供をスタートする。

 ECの利用者は通勤・通学帰りなど生活動線上にある食品スーパーやドラッグストアなどの店舗がEC商品の受け取り拠点となることで、配達時間にしばられることなく、生活スタイルに合わせた荷物の受け取りが可能。商品注文後にモバイルフォンに送信される二次元バーコードを店舗で提示するだけで、スムーズに荷物を受け取ることができる。

 一方、導入店舗側のメリットも大きい。EC利用者から提示される二次元バーコードを専用端末で読み取るだけで、本人確認や配達情報の登録が完了するため伝票記入などの煩雑な処理が軽減されるほか、EC商品の受け取り拠点となることで、荷物を受け取りに来た利用者のついで買いや、新規顧客の集客効果も期待できる。また、受け取りサービスを利用する顧客に向けたクーポンを発行する販促施策も今後可能で、新たなタッチポイントを構築できる。

 両社では受け取りサービスから一歩進んだ取り組みとして、返品サービスの実装も視野に入れている。日本は他国と比較し、EC購入の返品率が非常に低いことで知られる。返品率が低い理由はさまざまだが、受け取りサービスの導入店舗でEC購入品の返品が可能になれば、日本国内の返品率も格段に上がり、サイズ等の問題で伸び悩むファッションアイテムのEC化の再活性化につながると期待されている。

 コロナ禍の影響により国内でもEC利用は爆発的に伸びている。現在、日本ではほとんどの荷物が自宅に届けられているが、およそ2割が初回配送時に受け取れず再配達するといった問題を抱えている。今後、両社では「ECエコシステム」構築に向けた連携を進め、EC事業者、EC利用者、物流事業者、受け取り店舗にとって、より付加価値の高いサービスの提供を実施していきたいとしている。