ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長)傘下のカスミ(茨城県)は近年、レジレス・無人店舗の開発やスマートフォンを使ったスキャン・決済システム、デジタルサイネージの店内導入など、デジタル技術を活用した新しい買物体験の創造に注力している。同社の山本社長に、マーケティングの現状や今後の戦略について聞いた。
3密つくらない新たな販促チラシの中身を大きく刷新
──新型コロナウイルス感染拡大による影響が長期化しています。販促戦略に何か変更はありましたか。
山本 いちばん頭を悩ませたのは、木曜日と日曜日午前中に実施していた「店内商品10%割引」の扱いです。当社の販促施策の中で大きな目玉の1つでもあったのですが、お客さまが特定の曜日・時間帯に集中することで“密”を生み出してしまう懸念がありました。社内でどうするか議論した結果、同じ曜日・時間帯に1品でも購入したお客さまに対し、1週間有効の10%クーポンを配布することにしました。
また、6月から60歳以上のお客さまを対象に月曜日と火曜日が5%引きとなる「シニアクーポン」を発行したほか、各自治体で発行している子育て支援カードを提示することで土曜と日曜が5%オフとなる施策も始めました。開始から約3カ月でシニアクーポンはおよそ30万人、子育てカードによる割引は8万人程度の方に利用いただいています。なお、これらの割引は前述の10%オフクーポンと併用できるようにしています。
これらの取り組みは3密を回避するためということもあるのですが、そもそも「集客」という企業側の都合でお客さまを特定のタイミングで“集める”というスタイルは、これからの時代にはそぐわないとも思っています。
──食品スーパー(SM)業界では、コロナ禍で一定の売上が確保できるためにチラシ販促を取りやめるという動きも見られました。
山本 当社でも
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