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パスタ&パスタソース、保存性・簡便性の高さが支持されコロナ禍で需要を大きく拡大=カテゴリーフォーカス

MDエディション

保存性と簡便性の高さに加え、味のバリエーションが豊富で、世代を問わず好まれているパスタ。とくにコロナ禍においては大きく需要を拡大したカテゴリーのひとつだ。パスタ&パスタソース市場の最新の動向をレポートする。

パスタの需要は3月から急上昇

i-stock/semenovp

 日本パスタ協会によると、2019年のパスタの国内供給量は28万5225トンで対前年比4.6%増。国内生産量は13万9569トンで同3.6%増、輸入量は14万6189トンで同5.6%増となった。昨年2月の日欧EPA(経済連携協定)の発効によりイタリア産の輸入量が伸びたことが予想される。

 KSP-POSデータのスパゲティの期間通算(19年8月~20年7月)の金額PIは、2617円で対前年同期比21.5%増。1月までは前年並みで推移していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大で、ユーザーのまとめ買いが急増し、3月は同59.1%増、4月は同84.5%増、5月は同40.6%増と大きく伸ばした。

 パスタは引き続き、結束タイプ、早ゆでタイプが好調。結束タイプは1食分がわかりやすいこと、早ゆでタイプは調理の時短ニーズにマッチしていることから支持されている。

 一方、マカロニの期間通算の金額PIは、517円で同9.2%増。マカロニもロングパスタ同様に3月頃から需要が高まりはじめ、4月は同50.7%増、5月は同26.7%増と大きく伸長した。ショートパスタはサラダやグラタンでの使用がメーンとなっており、食べ方が広がれば、さらに需要拡大につながる。

 そこで日本製粉では昨秋、主食として使ってもらうためにプレミアムブランドの「REGARO(レガーロ)」からショートパスタ3種類を発売。また、この秋は日清フーズの「青の洞窟」シリーズから肉厚で食べ応えのあるショートパスタ3種類がラインアップされた。パスタの本場イタリアではショートパスタの種類が豊富なことから、日本でもバリエーションが広がれば、ショートパスタ市場も拡大することは間違いない。

パスタソースの需要は二極化がさらに進む

 粉末・ペーストのパスタソースの期間通算の金額PIは、1048円で対前年同期比18.2%増となった。パスタの需要と同様に2月から金額PIは急上昇しており、3月は同47.2%増、4月は同68.6%増と大幅に伸長した。

 パスタソースは、家庭内の内食化やゆでたパスタに加えるだけの手軽さから、「あえるタイプ」が市場を牽引。ミートソースやカルボナーラなどの定番メニューのほか、和風メニューなど品揃えが充実しており、キユーピーでは、香りを楽しむ大人向けの「香るタイプ」などもラインアップしている。

 一方、レトルトソースの期間通算の金額PIは1756円で同23.2%増。3月は同59.6%増、4月は同89.3%増、5月は同44.4%増となった。家庭でもちょっと贅沢に外食気分を味わいたい、というニーズが高まり、日清フーズの「青の洞窟」など、プレミアムな個食タイプが人気となっている。今後は、時短・簡便と本格的・豪華などのニーズの二極化がさらに進むことが予想されている。

日清フーズ、優雅な食卓を演出する「青の洞窟」ブランド=注目メーカーマーケティング

今年で発売25周年を迎えた「青の洞窟」ブランド。この秋は、食べ応えのある食感が楽しめるショートパスタやパスタと一緒に楽しめるディップソースなどを発売し、贅沢な気分が味わえる食卓を提案。「青の洞窟」の世界観をさらに深めていく。

こだわり食感のショートパスタ3品をラインアップ

 本格的なイタリアンが家庭で手軽に味わえる「青の洞窟」シリーズ。1995年の発売以来、ロイヤルユーザーを育成し、毎年順調な拡大を続けてきた。

 今年の秋は、こだわりの食感のショートパスタを新発売。ショートパスタはサラダやグラタンなどのメニューが主流であったが、パスタメニューとしての食べ方を広げるために、形状を追求した3種類をラインアップ。大きめのサイズにすることで、食べ応えがあり見た目も華やかな仕上がりになる〈フジッリ〉と、肉厚で食べ応えのある食感の〈ペンネ〉〈リガトーニ〉の3種類。ロングパスタをショートパスタに変えるだけで、いつものパスタメニューが違った味わいに仕上がる。パスタ需要が高まっている今だからこそ、新しいショートパスタの食べ方を定着させていく。

 さらに新しい食べ方提案の一環として、「ペンネのオーブン焼き」を発売。濃厚な2種類のソースをゆでたペンネと合わせてオーブンで焼くだけの簡単調理のセット商品。オーブン料理は簡単なのに豪華に仕上がるため、ハレの日などに最適だ。

 また、同社が「パスタのある食卓に関する不満点」を聞いたところ副菜のマンネリ化や準備の手間に対する意見や、食卓トータルでの栄養バランスに対する意見が寄せられた。そこで、この秋は野菜を楽しむディップソースの品揃えを強化。3種類のチーズと生クリームを配合し、濃厚でコク深い味に仕上げた〈チーズディップ〉を新発売し、アンチョビソースと生クリームを配合し、まろやかでコク深い味に仕上げた〈バーニャカウダ〉をリニューアル。生野菜や温野菜、バゲットなどとの相性抜群だ。パスタの副菜として、栄養バランスがよく華やかな食卓を提案する。

 引き続き「青の洞窟」ブランドサイトやSNSを通じて、アレンジメニューやイベント、キャンペーン情報を発信し、ユーザーとのコミュニケーションを図っていく考えだ。

独自の価値が評価され長年支持を獲得

 在宅勤務や休校などで、昼食の需要が高まっている。なかでも手軽においしく食べられるパスタが昼食として選ばれているようだ。そこで同社では2001年発売のロングセラーブランド「マ・マー ケチャッピーナポリタン」をこの秋、パッケージをリニューアル。シズル感を高め、野菜のイラストを刷新し、店頭での視認性を高めた。

 同商品は、玉ねぎ・ピーマン・にんじんの具材入りなのでパスタと絡めるだけで手軽に味付けができる。使いたい分だけ使えるのでお弁当など少量だけ調理したい時に便利だ。また、ナポリタンだけでなく、オムライスやハンバーグ、チキンライスの味付けなど、さまざまな料理にアレンジできる。こうした他のパスタソースにはない独自の価値が多くのユーザーから支持されている理由だ。

 家で過ごす時間が増え、主婦の家事負担も大きくなり、時短調理ニーズがますます高まっていることから、手軽に簡単につくれる「ケチャッピーナポリタン」を訴求し、さらなるファンの育成を図っていく。