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レシートは語る第10回 マミーマートの「生鮮市場TOP」 安さだけではない支持される理由

 mitoriz(東京都/木名瀬博社長)は、全国に約40万人の協力モニターを擁し、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(ポイント・オブ・バイ:以下、POBデータ)」を有している。月間1000万枚のレシートを収集し、リアル消費者購買データベースとしては国内最大級の規模となる(提携サイト含める)。

 このPOBデータと協力モニター(以下、POB会員)へのアンケート調査を活用すれば、消費者から見た小売りチェーンの実態を明らかにすることができる。本連載では毎回、業界で関心の高いテーマを設定して独自調査を実施し、その結果をレポートする。

 値上げラッシュにより消費者の節約志向が高まっている。こうしたなか、注目を集めているのが、埼玉・千葉を中心に店舗展開するマミーマート(埼玉県/岩崎裕文社長)の「生鮮市場TOP」だ。「行くのが楽しくなる食の専門店」をコンセプトとし、日配品や加工食品ではEDLP(エブリデー・ロープライス)で地域最安値を訴求、生鮮食品では価格だけでなく鮮度や品質にもこだわるフォーマットとして展開している。マミーマートは同フォーマットが好調だとして標準フォーマット「マミーマート」からの転換を進めてる。

 そこで連載第10回の今回は、「生鮮市場TOP」にクローズアップ。その利用動向を、同社の「マミーマート」のほか有力SMと比較、分析する。

「ベルク」「西友」よりも
「安さ」の評価際立つ

図表1

 図表1は消費者アンケートで、比較対象とした6チェーンの利用者に「メーン利用するチェーンを支持する理由」をたずねた結果をまとめたものだ。(調査期間:2023年5月26日~6月13日、対象:埼玉県在住者)。

 メーン利用者が最も多かったのは「ヤオコー」で150人、次に「ベルク」(148人)、「イオン」(86人)、「西友」(49人)、「生鮮市場TOP」(40人)、「マミーマート」(32人)の順となった。ここで留意点として、「マミーマート」「生鮮市場TOP」はローカルチェーンであり、どうしても回答者数が限定的になってしまう点を踏まえて、結果を見ていただきたい。

 「メーン利用するチェーンを支持する理由」についての回答結果は、生鮮市場TOPは「安さ(77.5%)」が6チェーンのなかで最も高い。安さに定評のある「ベルク(51.4%)」や「西友(38.8%)」よりも評価の高さが際立つ。

ヤオコーに次いで
生鮮の鮮度も高評価

 「生鮮食品の鮮度がよい」も、「ヤオコー(46.7%)」に次いで「生鮮市場TOP(45.0%)」が総計より10.3ポイントほど高い。モニターのコメントを見ると「店名に“生鮮”とあるように、新鮮なものが多いと思います」「お肉の品質がよく、値段も安いし種類も豊富」「魚の品質が良い」などの声が見られた。

 さらに、満足度を聞くアンケート結果でも、生鮮市場TOPのメーン利用ユーザーの9割が、「商品の価格(安さ)」「商品の品質・品揃え」ともに「とても満足している・やや満足している」と回答した。

 「看板に偽りなしのイメージがあり、お気に入りの店になっています」「全体的に生鮮品が新鮮、その他パン類やお菓子など全体的に他店より安い」などのコメントがあり、なかなか両立するのが難しい「価格」「品質・品揃え」の双方で支持を得ていると思われる

一方で不満の声も…

 一方、コメントでは課題点も挙げられている。「ポイント制度を作ってほしい」「現金かクレジットカードしか使えないので、ちょっと面倒」「ポイントサービスや電子マネーやQR決済が使えないので、その点を柔軟対応してほしい」などの要望がみられた。

 消費者アンケートでたずねた「ポイントやお得なサービスがあるから(17.5%)」は6チェーン間で見ても他社と開きがある。支払方法が限定されることから、「決済方法の豊富さ(キャッシュレス化)」の満足度も、今回の調査結果のなかでは最も低かった(43.8%)。

圧倒的に高い
生鮮食品の購入率

図表2

 次に、POB会員が投稿した購入レシートから、購入商品のカテゴリー構成比を分析した(図表2)。

 多くのチェーンは、「加工食品」の割合が高いなか、生鮮市場TOPは、「生鮮食品」(40.2%)が最も高く、かつ、6チェーンの中で比較しても抜きん出ている。また、「日用品/その他」は生鮮食品TOPが最も低いことから、使われ方に明らかな違いが見て取れる。

生鮮の1人当たり
購入点数が上昇!

 最後に、レシート情報からチェーン毎に生鮮食品の購入状況を比較した。(図表3

 その結果、「生鮮市場TOP」のレシート1枚平均の購入数量は2023年5月で3.0個と、「ベルク(3.4個)」に次いで高い。2022年6月から2023年5月間の差異をみると、購入点数を減らすチェーンもある中、「西友」とともに+0.2個上昇している。

 「安い、新鮮、美味しい。」「他のスーパーに比べると品揃えもいいし、安い」「特売日を気にしなくても全体的に他店より安いので助かっている」とあるように、品質やコストパフォーマンスの評価の高さが分析結果にもあらわれたと言える。

 マミーマートは、これまで同じ埼玉県を地盤とするヤオコーやベルクといったチェーンと比較されてきた。それらの競合他社とは違う独自の価値を打ち出すために、「生鮮市場TOP」や、さらにディスカウント食を強めた新業態「マミープラス」の展開を広げている。

 そうしたなか本調査結果から「生鮮市場TOP」は、「立地」や「品揃え」「ポイントやオトクなサービス」などを理由に利用される他チェーンと異なる価値を提供し、差別化に成功していると言えそうだ。

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