SDGsへの関心が高まるなか、明治ではカカオ産地と消費者をつなぎ、サステナブルな循環を創出する取り組みを行っている。それを体現しているのが「明治 ザ・チョコレート」だ。そうした活動をより多くの人に伝えるとともに、産地別のカカオの香味の特長をより体感しやすくするため、今秋、チョコレートの形状とパッケージをリニューアル。新たなファンづくりを図る。
2006年より支援活動スタート、「メイジ・カカオ・サポート」
いまやSDGsの認知度は大きく向上し、それに伴い、環境や人、社会に配慮したエシカル消費も進んでいる。そもそもSDGsとは、2030年までに持続可能でよりよい世界をめざす国際目標であり、2015年9月の国連サミットで採択された。これに先駆けて、チョコレートの主原料であるカカオ豆の生産地の持続可能性に取り組んできたのが明治だ。
「近年、カカオ豆の需要拡大により、世界的に生産が追い付かなくなるのではないかと危惧されています。また、産地では児童労働や森林破壊といった社会課題に直面しているところもあります。そこで当社では、チョコレートを製造販売するメーカーの責務として、カカオ産地で起きている課題に向き合い、持続可能なカカオ豆生産の実現に貢献するため、2006年に当社独自の支援活動として『メイジ・カカオ・サポート』を開始しました」と話すのは、マーケティング部グローバル カカオグループの日吉良平氏。
具体的には、同社の研究員がカカオ産地に直接足を運び、現地の農家が抱えるさまざまな課題に合わせた支援を行っている。たとえば、栽培方法や病害虫の管理方法に関する勉強会の開催、カカオ豆の発酵法などの技術指導に加え、井戸の整備や学校備品などの寄贈を通じた教育支援などだ。
「ひらけ、カカオ」 サステナブルな未来のために
2006年の開始以来、カカオ産地に寄り添った「メイジ・カカオ・サポート」の活動は現在9カ国に及ぶ。16年間にわたる支援活動を通じて明らかになったのは、カカオ豆の栽培に関する技術支援はもちろんのこと、カカオ農家が日々働くための生活環境の支援自体が必要ということだ。
そこで明治では、カカオ農家が将来にわたって自立した生活を続けられるように、農家支援を実施した地域で生産されたカカオ豆を「明治サステナブルカカオ豆」と名付け、その調達比率を2026年度までに100%に引き上げることを宣言。「ひらけ、カカオ」のスローガンのもと、社会と地球の健康を実現するために、サステナブルカカオの未来を切り拓く、新しいアクションに挑戦していく。
「たとえば、チョコレートの主原料となるカカオ豆はカカオポッドと呼ばれるカカオの実のわずか10%程度で、残りの90%程度は有効活用できていません。そこで私たちは、これまで使われていなかった部分をすべて活用し、チョコレートという形態にとどまらず、さまざまな商品やソリューションをパートナーとともに開発していくことをスタートさせました。そうすることで、カカオの新たな価値創造やサステナブルな社会づくりに貢献していきたいと考えています」(日吉氏)
サステナブル化に貢献する「 明治 ザ・チョコレート」
こうした明治の取り組みを体現しているのが「明治 ザ・チョコレート」だ。2016年に誕生した同ブランドは、単一産地(国)のカカオ豆のみを使い、産地ごとに異なるカカオの香味を愉しめるチョコレートとして、一般市場でのプレミアムカテゴリーという独自のポジションを築き、ファンを増やしてきた。言い換えれば、チョコレートの嗜好価値向上に貢献してきた商品といえる。そんな同ブランドの原料には、「明治サステナブルカカオ豆」が使用されている。
ナッティな香りのベネズエラ産カカオ豆を使用した「明治 ザ・チョコレート ベネズエラカカオ70%」、フルーティーな香りのブラジル産カカオ豆を使用した「同ブラジルカカオ70%」、フローラルな香りのペルー産カカオ豆を使用した「同 ペルーカカオ70%」、スパイシーな香りのドミニカ共和国産のカカオ豆を使用した「同 ドミニカ共和国カカオ70%」の全4種類だ。さらに、これらの売上の一部はカカオ農家の生産性や収益面でのサポートに役立てられている。
「当社がカカオ農家を支援し、適切な価格で継続購入することで、持続可能なカカオ生産に貢献しています。また、そのカカオ豆を使ってつくりあげたチョコレートを日本のお客さまに身近な場所で、手頃な価格で提供することで、カカオ産地と消費者をつなぎ、カカオに関わるすべての人が幸せになれる循環を創出する取り組みを行っています」(日吉氏)
つまり、「明治 ザ・チョコレート」はカカオ産業のサステナブル化に貢献するチョコレートでもある。
理解と共感を促すために形状とパッケージを刷新
「カカオ産業のサステナブル化に貢献」と「チョコレートの嗜好価値向上に貢献」。この二つが「明治 ザ・チョコレート」のめざすところだ。その思いを伝えていくために、今秋、チョコレートの形状とパッケージを大幅刷新した。
形状は、カカオの香味を最大限に引き出す薄さに設計し、香り立ちが際立つ表面加工を施した。また、満足感と連食性を考慮し、1 枚当たりの重量を16.7gから3.5gに変更。さらに、見た目の美しさとユーザビリティを追求し、日本古来の美の基準といわれる大和比を採用したひとくちサイズのチョコレートに仕上げた。
パッケージは、カカオ産地の循環をイメージさせるデザインを採用することで、産地と消費者のサステナブルなつながりを訴求している。
「今回のリニューアルによって、香味を最大限に愉しめ、生活シーンに浸透するベストサイズになりました。『明治ザ・チョコレート』の喫食者が増えれば、サステナブルな循環がより多く回り、カカオ産地の課題解決につながります。そうなれば、持続可能なカカオの産業に変革することができるでしょう」(日吉氏)
海外ではすでにサステナブルコーナーが充実しており、チョコレート売場全体の8割をサステナブル関連の商品が占める売場もある。SDGsへの関心がますます高まるなか、「明治 ザ・チョコレート」を通じたサステナブルな取り組みを、より多くの人に理解し、共感してもらうために、明治では店頭やプロモーションでの訴求も強化していく考えだ。