生活雑貨を中心に、国内外のこだわりをもった商品を販売するロフト(東京都渋谷区)が2022年10月1日(土)よりウェルビーイングな暮らしに向けた「ロフトグリーンプロジェクト」の一環で「ロフト」とSDGsマガジン『ソトコト』のコラボレーション企画である「ロフコト雑貨店」第2弾を渋谷ロフト、銀座ロフト、池袋ロフト、横浜ロフトの4店舗にて開催している(銀座、池袋、横浜は10月30日まで、渋谷は11月1日まで開催)。一部扱い商品は店舗により異なる。そこで今回は「お米」をテーマに様々な食品・雑貨を紹介する。こだわりの詰まった本企画の概要とコンセプトについて渋谷ロフト商品担当の高橋康裕氏に伺った。
雑貨に奥行きと深みを与えるロフト流「食」のセレクト
コロナ禍において、人々の生活様式やイベントの過ごし方に変化が起きている。外国人観光客によるインバウンド需要が多い渋谷ロフトでは、コロナ禍以前より日本のこだわりが感じられる良いものをセレクトし販売していた。また、以前は10月にロフト各店ではハロウィン関連の仮装などの需要が高かったが、コロナ禍によって「イエナカ」需要が高まり、家で心地よく快適に過ごすための商品が売れ始めた。
同時に、「良いものを見極めて買おうという指向も若者の中で高まったのではないか」と高橋氏は分析する。購買者の趣向が変化していく中、同社が打ち出したのが「ロフコト雑貨店」である。同社は数年前から雑貨のみならず、「食」という要素を加えることで「道具」をより引き立て、その使用シーンやストーリー性を感じられる提案を始めている。それをより具現化させ、テーマを持たせた企画が「ロフコト雑貨店」である。
第1弾は今年4月、渋谷ロフトと銀座ロフトの2店舗で「お茶」をテーマに開催した。第2弾となる今回は渋谷ロフト、銀座ロフト、池袋ロフト、横浜ロフトの4店舗に拡大し「お米」をテーマに開催。「地域の魅力を伝える」というサブテーマは第1弾から引き継ぎ、バイヤー経験者により組織されたプロジェクトチームが全国津々浦々から選りすぐった商品を並べた。
ローカルの美味しさ・珍しさ・面白さが表れた商品をセレクト
今回の企画では米菓やご飯のお供などの食品に加え土鍋や茶わんなど米にまつわる食品や道具を中心に展開している。個包装やSNSでも映えるパッケージはもちろん、自分へのご褒美や自信をもってプレゼントできるという点もセレクトの重要なポイントである。
「旅するおむすび屋さん」を2017年に立ち上げた菅本香菜さん(写真)が厳選したアイザワ水産(宮城県)の海苔や百姓庵(山口県)のミネラルバランスを整えてくれる塩などを販売する。
道具では、軽くて扱いやすい、和紙を使った「さらし」である武田晒工場(大阪府)の「さささ和晒」なども取り扱う。また、江戸時代から普段使いの器として親しまれてきた「くらわんか碗」や廣箸(奈良県)の樹齢60~100年の吉野杉を使った箸「よろしぃおあがり(「ごちそうさま」に対して使う関西地方の言葉)」も取り扱う。
ご飯のお供ではバンブーカット(東京都)の「ウメボシカルタ」や醤油の代わりに親しまれた万能調味料の煎り酒(いりざけ)を復刻した「よしなに、」も販売。熊本県の「(一社)国際ふりかけ協議会」が主催する「ふりかけグランプリ®」で受賞したさまざまな地方のふりかけも集めている。また、AKOMEYA TOKYO(東京都、写真)が今回ロフトに初出店し、期間限定でお米や炊き込みご飯の素、缶詰なども展開する。
米菓ではロフトが関東初出店となる家田製菓(愛知県)のポン菓子も販売する(写真)。
また、パティスリーポタジエ(東京都)の柿沢シェフが監修した高知県四万十の食材をふんだんに使用した野菜かりんとうも販売する。
1929年から90年以上の歴史をもつ美濃屋あられ(神奈川県)、人気の高い森白製菓(岐阜県)のあられやお菓子以外にも、米屋さんなど職人が仕事の時に巻く米袋をアップサイクルしたバッグやペンケース、お米由来の成分を使ったコスメも販売する。
「お酒を造っている背景や東日本大震災後の暮らしはこういう流れで進んでいて、色んな想いを抱えて作ってらっしゃるということ、福島や浪江町の魅力を消費者の方々に知ってもらう良いきっかけになると思いセレクトした」と高橋氏も語る鈴木酒造店(福島県・山形県)の日本酒である「磐城壽(いわきことぶき)」とスパークリング日本酒も販売する。同じ福島県でお酒をたしなむ道具として焼き物の大堀相馬焼も窯元をセレクトして徳利や片口、盃を販売する(写真)。
また、MURO神楽坂店(東京都)の究極の甘酒「A amasake」や東京23区で唯一の酒造である東京港醸造(東京都)の希少な「東京紅糀あまざけ」「東京あまざけ」も販売する。
その他、消しゴムハンコ作家兼イラストレーター「とみこはん」の食のモチーフなどのグッズ販売やワークショップ、日々の食事からの筋力強化やローリングストックとして防災時に不足しがちなたんぱく質源にもなる石井食品(千葉県)の「イシイの佰にぎり」も販売する。また金沢大地(石川県)の「米あめ」やジャム、熟成したえごまの削りカスなどを使ったぬか床も同時に展開する。
日本の魅力・ローカルの魅力をロフトらしく編集し伝え、共に育てる
今後もロフコト雑貨店は年に2度のペースで継続する予定である。また、今回の企画は渋谷店、銀座店をはじめ4店舗での限定開催であるが、今後は店舗を拡大する計画である。
「地方の魅力を伝えるというところで、東京では見られない珍しいものや小さな会社だが面白い活動をされている若手の方をご紹介するということも一つの使命として選んでいる」と高橋氏が言うように、今回セレクトされた商品一つ一つには特徴的な物語とこだわりが詰まっている。本企画で紹介された商品はECでも販売され、一部商品は会期が終わった後も継続的に店頭やECで取り扱われる。
「一回で終わるのではなく一緒に育てていくことも大切であるということが企画のベースにあります」と高橋氏が述べるように、同社は「食」と「ローカルの魅力」を今後も「こだわりの目利き」で発掘し、インキュベーターの役割をしながら、日本や世界にその魅力を発信し続けてくれるだろう。