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レギュラーコーヒー市場、1日の飲用杯数は増加傾向、家庭内需要を取り込み好調を継続

コロナ禍の外出自粛で、家庭内需要を取り込みレギュラーコーヒー市場が右肩上がりを続けている。2021年は多くのカテゴリーが前年の反動で前年割れとなるなか、レギュラーコーヒーは堅調に推移。家庭内で楽しむコーヒーが定着していることがうかがえる。

21年下期~22年上期も高水準で推移

 外食から内食へ需要がシフトしたことで家庭用レギュラーコーヒー市場は拡大を続けている。働く人にとって朝は忙しく、それまでインスタントコーヒーなどを飲んでいた人が在宅勤務により、時間に余裕ができたため、レギュラーコーヒーを飲むなどの行動変化がみられる。とくに器具を必要とせずレギュラーコーヒーの入口となっている簡易抽出型コーヒーが好調だ。各社では主力ブランドで簡易抽出型コーヒーを提案している。

 また、自分で豆を挽いて楽しむ人も増えており、ボリュームとしては小さいが豆製品が大きく伸ばしている。21年はコロナ特需の裏年にあたるため、多くのカテゴリーが前年割れとなるなか、レギュラーコーヒーは堅調に推移している。

2021年は多くのカテゴリーが前年の反動で前年割れとなるなか、レギュラーコーヒーは堅調に推移。家庭内で楽しむコーヒーが定着していることがうかがえる。(i-stock/kuppa_rock)

 KSP-POSデータによると、レギュラーコーヒーの期間通算(2021年8月~22年7月)の金額PIは、4590円で対前年同期比5.8%増。月別金額PIをみてもすべての月で前年を上回っている。行動制限が緩和されたことで伸長率は小さくなっているものの堅調な推移といえる。また、7月は猛暑の影響で同1.8%増と伸び率は低くなった。

 自宅で過ごす時間が長くなるなか、リラックスする時などにもコーヒーは活用されており、1日のなかの飲用杯数は増える傾向にある。全日本コーヒー協会によると、1人1週間あたりのコーヒーの飲用状況は、18年が10.62杯だったのに対し20年は11.53杯。そのうちレギュラーコーヒーは4.41杯で18年より0.72杯の増加となった。

 インスタントコーヒーやリキッドコーヒーも伸びているがレギュラーコーヒーの伸びが一番大きかった。

家庭で手軽に楽しめる カフェブランドに注目

 レギュラーコーヒーのなかでとくに伸長しているのがプレミアムタイプ。おうち時間を充実させるため、日常のなかでちょっと贅沢気分が味わえるプレミアム商品が好まれている。そのなかでも注目されているのがカフェチェーンや老舗喫茶店の名前を冠したカフェブランド。ネスレ日本の「スターバックス」や、伊藤園の「タリーズコーヒー」、味の素AGFの「森彦の時間」、UCC上島珈琲の「上島珈琲」、キーコーヒーの「イノダコーヒー」などが発売されている。ブランド認知が高いため、安心感があり、手に取りやすいのが特徴。家庭で手軽にカフェの味が楽しめることからさらに拡大しそうだ。

 カフェインレス商品も好調に推移。就寝前や妊婦などのカフェインを控えたい人だけでなく、在宅時間の増加で、カフェインの摂取量を気にする人が増えており、1日のなかで飲み分ける人もいるようだ。各社の技術革新によりカフェインレス商品の味わいが従来のコーヒーとほとんど変わらないことも新規ユーザーを取り込んでいる理由といえそうだ。カフェインレス商品をはじめ、こうした健康軸の商品は今後も広がりそうだ。

 円安や生豆の相場高などにより、コーヒー製品の値上げが行われている。今後も価格改定が予想されるが、生活に入り込んでいるコーヒーなので、今後も店頭では価値を訴求していくことが大切だ。