メニュー

だし市場、21年度も堅調に推移 さまざまな形状の商品で需要に対応

コロナ禍による家庭内調理機会の増加で、和食の基本調味料であるだしは伸長し、その裏年にあたる21年度も堅調に推移している。手軽で経済的な粉末・顆粒タイプだけでなく、だしパックや液体など、それぞれのニーズに対応した商品が登場し、市場を盛り上げている。

第4のだしとして、あごだしが市場に定着

 KSP-POSデータによると、風味調味料(粉末・顆粒だし、固形、だしパック)の期間通算(2021年6月~22年5月)の金額PIは2962円で対前年同期比2.4%減。月別金額PIを見ると、みそ汁や煮物などに使用されることが多いため、夏場はやや下がり、冬場に高まる傾向にある。

手軽で経済的な粉末・顆粒タイプだけでなく、だしパックや液体など、それぞれのニーズに対応した商品が登場し、市場を盛り上げている。(i-stock/kazoka30)

 コロナ禍の家庭内調理が増えたことでだしの需要は高まり、裏年にあたる21年度も堅調に推移している。だしの使用率8割近くを占めるのがみそ汁で、30~40代の子育て世代が栄養バランスのよい具だくさんみそ汁を取り入れはじめたことに加え、医師が考案した「長生きみそ汁」が話題となったことでシニア層の食卓登場頻度が高まり、だしの使用率もアップしたようだ。

 だし市場で約7割のシェアを占めるのが粉末・顆粒タイプ。経済的で手軽に使用できるのが特徴だ。粉末・顆粒タイプ市場をリードするのが味の素の「ほんだし」。同社ではさまざまな取り組みで使用率アップを図っているが、需要が落ちる夏場に向けて「冷やしみそ汁」を提案。失われがちな塩分・水分をおいしく補給することができるので夏に最適だ。

 また、理研ビタミンでは、食塩・化学調味料無添加の和風だし「素材力だし」シリーズに〈焼きあごだし〉をラインアップ。長崎県産焼きあごの粉末を使い、香ばしい香りと旨みにこだわった。発売から好調な売れ行きとなっている。あごだしは、鰹節、昆布、いりこに次ぐだしとして注目されており、一過性のブームではなく、市場にしっかり定着しつつある。

 だし市場で勢いがあるのが、鰹やこんぶ、あごなどを粉末にして不織布でパックにしただしパック。粉末・顆粒タイプよりも割高だが、お湯で煮だすだけで風味豊かなだしが取れるという手軽さから使用率が高まってきている。また、パックから粉末を取り出せば、炒飯や炒め物などにも使用できる。

液体だしにポーションタイプが登場 いつでも開けたての風味

 だし市場の中でボリュームはまだ小さいものの、需要を拡大しているのが液体だし。期間通算の金額PIは、92円で対前年同期比2.8%増。前年の反動で前年割れの月もあるが、全体的に堅調だ。液体だしは、溶かす手間がなく、味なじみがよく、かける、あえるなど、さまざまな使い方ができる。電子レンジ調理も可能で、冷たい料理にも使えるメリットがある。液体だしの「濃い味だし 鰹節」を展開しているにんべんでは、この春にポーションタイプの液体だし「ぎゅ~っとポーションだし」〈かつおこんぶだし〉〈いりこかつおだし〉の2品を新発売。にんべんの強みであるだしの旨みが詰まった使い切りの液体だしだ。ポーションタイプなので、面倒な計量が不要で、いつでも開けたての風味が楽しめる。また、常温保存が可能だ。好評につき、今年9月には新しいフレーバー2品を発売する予定だ。

 粉末・顆粒、だしパック、液体など、さまざまな形状の商品が発売されており、ユーザーは用途などで使い分けを行っている。だしで塩分量が控えられることから、健康志向の高まりを受けて、今後さらに需要が高まりそうだ。