コロナ禍に加え、原材料の高騰など、さまざまな外的要因にさらされ日々変化する消費者の購買行動。今回は2021年10月から22年3月までの金額増減率の高かった商品を各カテゴリーからピックアップ。ヒットの要因と背景にある消費のトレンドを探る。
家でも外食品質を楽しみたい客層から支持
KSP-POSの中から金額構成比1%以上の商品を対象(CGC商品および対象期間の前年10月までに出現のない商品は除外)とし、2021年10月から22年3月までの金額増減率を調査したところ、主なカテゴリーのトップ商品は上記の図表に示す結果となった。
新型コロナウイルスの流行以降、消費者のライフスタイルは大きく変わり、外食から内食への動きが加速。ワクチン接種も進み外出自粛が少しずつ解消されてきた現在も、その傾向は続いている。
自宅で過ごす時間が増えたことで、調理にかける時間や家族で食事を摂る機会も増加。そこから、ひと手間加えた高い品質の味わいを求めるユーザーも増えている。
「ヤマサ ぱぱっとちゃんと これ!うま! ! つゆ」はめんつゆでも白だしでもない、だしのうま味・甘みのきいた洋食にも合う濃縮つゆとして展開。さまざまなメニューへの汎用性の高さが売上の伸長につながっている。ボリュームパックの「プリマ ホワイトロースハム」も、毎日さまざまな料理に使いたいというニーズに対応する商品として人気を集める。
「宮のたれ」は「ステーキ宮」で実際に使われているたれを商品化したもので、肉料理の味を引き立てる本格的な味わいが受けているようだ。
健康志向や大容量、簡便など変化する消費者ニーズをとらえる
手間をかけた料理をつくりたいというニーズに応える商品が伸長した一方、テレワークの推進をはじめとした在宅時間の増加に伴い、調理時間の短縮や簡便性へのニーズも急速に高まった。
なかでも「ニチハム 中華名菜 中華丼」や「伊藤ハム ビーフシチューパイ」などのチルド商品、日清食品「日清 ハヤシメシ デミグラス タテ」といったセット米飯、「テーブルマーク ごっつ旨い たこ焼」のような冷凍食品は、レンジ調理で手軽に楽しめることから、在宅時のランチ需要も取り込み好調に推移している。
健康訴求もコロナ禍以降、注目されるキーワードの一つ。「アマノ 減塩いつものおみそ汁 10食バラエティ」、「ケロッグ オールブランブランリッチ」「日清オイリオ こめ油」といった商品群に加え、「マルコメダイズラボ 大豆のお肉レトルトミンチ」のようなプラントミートも伸長している。
「デルモンテ トマトケチャップ」や「桃屋 きざみにんにくお徳用」など、買物回数の減少、まとめ買いへのシフトから、大容量品の伸長も目立った。今後も外的な環境変化を踏まえながら消費者の商品選択基準を注視していくことが求められている。