コロナ禍における巣ごもり需要により2021年も引き続きアイスクリーム市場は堅調に推移した。とくにストック用として購入されているファミリーアイスや、大人の女性をターゲットにした素材にこだわったプレミアムアイスが好調だ。
プレミアムアイスは2ケタ増、癒しのデザートとして定着
KSP-POSデータによると、アイスクリームの期間通算(2021年5月~22年4月)の金額PIは、2万3242円で対前年同期比0.1%減。アイスクリームは天候に大きく左右されるカテゴリーで、21年は西日本を中心に例年より大幅に早い梅雨入りにより、5月は同13.3%減で、8月は異常と思える低温により、同11.3%減と2ケタ減となった。
その反面、10月は例年より暖かだったことから、同12.4%増と大きく伸長した。アイスクリームの最盛期の8月に低温だったことは市場に大打撃となったが、5月と8月以外は堅調で、年間を通して安定した需要となっている。
とくに好調なのが、プレミアムアイスで、期間通算の金額PIは3162円で同11.1%増。月別金額PIでは7月や9月など2ケタ増の月も多くなっている。アイスクリームは癒しのデザートとしてのニーズも高く、なかでも「ちょっといいもの」を求める層が増えたことで、原料や製法、食感にこだわったプレミアムアイスが好調だ。
よつ葉乳業では、100%北海道産乳原料を使用したプレミアムアイスの「北海道アイスクリーム」シリーズを素材が濃厚に感じられる味わいにリニューアル。フレーバーには新たに「抹茶」と、ドルチェシリーズの「ローストピスタチオ&ラズベリー」をラインアップした。
ロッテでは、アイスにマッチした素材の組み合わせが楽しめる「レディーボーデンミニカップCOMBINATION」シリーズから加賀棒ほうじ茶と北海道産小豆を使用した〈ほうじ茶あずき〉と、マスカルポーネとチェダーチーズの2種類を使用し、バタークッキーを混ぜ込んだ〈クッキーinチーズケーキ〉を発売した。くつろぎタイムや自分へのご褒美などに提案する。
アイスの最需要期に向け、各社から新製品が続々
ファミリーアイスの期間通算の金額PIは9853円で対前年同期比1.9%減。ファミリーアイスは通常のパーソナルアイスでは量が多いという女性やシニアにも支持され、夕食後やお風呂上りなどの「ちょっと食べたい」ニーズに対応して安定した需要となっている。ファミリーアイスではロッテの「レディーボーデン」や井村屋の「BOXあずきバー」シリーズが好調だ。
アイスクリームの最需要期に向けて各社から次々と新製品が発売されている。井村屋では、しっとりとしたチーズケーキの上に、濃厚な食感のチーズアイス、香ばしいチーズソースを重ね合わせた「チーズテリーヌアイス」を発売した。森永乳業では、「MOWPRIME(モウプライム)」シリーズから人気フレーバーの〈クッキー&クリーム〉を新発売。北海道産のマスカルポーネチーズを使用したコク深いバニラアイスとビターで香ばしいココアクッキーをトッピングした。
フタバ食品は「サクレ」シリーズのパイン味を発売。甘酸っぱい果汁とたっぷり入った果肉が特徴だ。明治では「明治ブルガリアフローズンヨーグルトデザート」の販路を6月から拡大して発売。アイスならではの濃厚なコクとヨーグルトのさわやかな味わいを両立させた。
気温に左右されやすいアイスクリームだが、年間を通して消費されるデザートとしての地位を確立している。