各地のまん延防止等重点措置が解除されてから4月以降、多くの食品小売企業では売上が前年割れとなる月が続いている。こうしたなか青果は、前年が相場安によって不調だったため、適切な対策さえ打てれば前年並みの売上を確保できる部門である。これから迎える夏・秋に取り組みたい、具体策について述べる。
前年不振だった商品を重点的に売り込む
新型コロナウイルスの発生後、ここ2年間は“コロナバブル”によって、食品小売各社は近年経験したことのない好業績を残した。しかし、2022年度は適切な販売戦略を立てられなければ厳しい年となるだろう。各地のまん延防止等重点措置が解除されて以降、人の動きが増えたことで内食需要は前年より低下。部門別では、とくに精肉、鮮魚、加工食品の売上が落ち込み、それらに青果、日配が続く。辛うじて前年実績を超えているのは総菜くらいだ。
こうしたなか青果部門については、前年は相場安だったために売上不振に終わった。そのため今年度は、対策さえ講じれば、前年並みの売上確保が可能である。
青果は、価格や出回り時期、品揃え、売場が変わると、売上高が変動する、まさに“生きた”商材と言える。過去のデータから課題とその原因を明確にして対策を打ちPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回すことが重要だ。
青果部門の野菜と果実の一般的な売上高構成比は7対3ほどだ。特徴として、野菜は安くなると販売数は伸びるが、売上高としては上がりにくくなる。果実は価格が上がると消費者は購入を一気に控えてしまうため、販売数が増えず売上高が低下する。
前年の夏・秋の青果部門を振り返ると、台風上陸の影響が少なく、野菜の生育は順調で相場安となった。玉ネギだけは主産地である北海道の干ばつによる不作で価格が高騰し、販売実績が前年の2倍以上となったが、全体売上高を底上げするまでには至らなかった。一方、果実は春の異常気象による着果不良のため、主力果樹は軒並生産量が減って単価高となり、値ごろを訴求できなかったことで、結果的にこちらも売上高が低迷気味だった(図表❶)。前年は野菜安かつ果実高という、売上高が上がりにくい典型的な状況となったため青果部門は不調に終わったかたちだ。しかし今年は前年と比較してその逆の現象が生じる可能性が考えられるため、野菜、果実ともにとくに前年に売上不振だった商品の販売を強化し、売上高の確保につなげたい。
具体的には、野菜は主力商品を拡販するとともに、前年異常値だった玉ネギの代替となる売上をつくれるような対策を打つ。果実は、今年の相場は例年並みの予想のため、前年に値ごろから外れて不振だった商品を着実に販売したい。
盆商戦は出入口周辺でダイナミックな売場を
夏・秋シーズンの成功のカギとなるのが盆商戦だ。今年は多くの人が故郷に帰省することが予想されるため、
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