ヘアカラーのカテゴリーはこの数年ダウントレンドにあったが、コロナ禍以降自宅でカラーリングをする人が増えたことで白髪用は堅調に推移。また、若年層向けの黒髪用カラーリング剤ではアッシュ系やくすみカラーといったニュアンスカラーが人気を集めている。
ダウントレンドが続くが、22年に入り回復の兆しも
KSP-POSによると、白髪用カラーリング剤カテゴリーの2021年4月から22年3月の期間通算の金額PIは、前年比4.3%減の735.5円、数量PIは同4.6%減の1.05となった。
月別の金額PI推移をみると、ほとんどの月で前年割れが続いている。とくに4月は、例年入学式や入社式などの行事に合わせ髪を染めるユーザーが増えるため需要が高まるが、コロナ禍に入ってからは緊急事態宣言の影響もありそれらの行事が中止になったことで、今期も昨年に引き続き大きく落ち込んでいる。ただし、ワクチン接種が広まってきた22年に入ってからは前年並みの数値になっていることから、市場が緩やかに回復していくことが期待される。
ヘアカラーのマーケットは売上の8割以上を白髪用のカラーリング剤が占めているが、近年は美容院で白髪染めをする人が多く、セルフのカラーリング剤マーケットは微減傾向にあった。しかし20年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により美容院での感染を避けるといった理由から、自宅でカラートリートメントや白髪染めに挑戦するユーザーが増加。中でも泡タイプの白髪染めはこれまでセルフでカラーリングをしたことがない人でも手に取りやすいという利点があり、新規ユーザーの獲得にもつながっている。
ダリヤではにおいのない泡タイプの白髪染めとして人気の「サロン ド プロ 泡のヘアカラー」をリニューアル。新・浸透泡により染めやすくなった同ブランドを通じてエントリー層の利用を拡大させ、縮小する市販用白髪染め市場を活性化したいとしている。
派手過ぎないくすみカラーが人気
一方、黒髪用カラーリング剤カテゴリーの21年4月から22年3月の期間通算の金額PIは、前年比4.4%減の99.52円、数量PIは同5.9%減の0.16となった。月別の金額PI推移をみると黒髪用カラーリング剤は白髪用カラーリング剤に比べて変動が大きく、21年5・6月は前年を2ケタ減と大きく割り込んでいるが、8月から11月は前年を上回り、とくに10月は2ケタ増となっている。
黒髪用のカラーリング剤については近年、アッシュ系やくすみカラーといった色味が若年層に好まれている。
ダリヤでは黒髪用ヘアカラーリング剤「パルティ」ブランドからクリームタイプで染めるカラーリングクリーム「パルティ スモーキーティントカラー」を発売。乾いた髪に塗り10分待つだけという手軽さは、カラーリング初心者でも受け入れやすい。さらに「チャコールグレー」や「シーベットブルー」など派手過ぎないカラーバリエーションにより、社会人や学生など髪色に制限があるユーザーでも、ニュアンスのある風合いが楽しめる。
カラーリング剤は同じブランドでもコンセプト別でさまざまな剤形・色種の商品を出しており、自分に合った商品を選び出すことが難しいカテゴリーでもある。カラー見本をはじめ剤形別の特徴や正しい使い方、シーン別の訴求により、お客の購買意欲を高めていきたいところだ。