サッポロビールの「濃いめのレモンサワー」は2022年、「本気の濃い」をコンセプトに掲げ、おうち酒場ライフをより楽しめるブランドとしてコミュニケーションを強化。ラインアップ拡充と共に商品リニューアルも実施し、「濃いめ」の独自価値を提案することで市場の活性化に貢献する。
酸味と果汁感にこだわった進化系レモンサワー
ビール、ハイボールに続く、食中酒の定番として確固たるポジションを築いてきた「レモンサワー」。飲食店での提供はもちろん、酒類メーカー各社から様々なRTD(Ready to Drink)のレモンサワーが発売され、売場を彩っている。
サッポロビールでは2019年10月、レモンの酸味がしっかりと味わえる居酒屋の手搾りレモンサワーのような「進化系レモンサワー」をコンセプトにしたRTS(Ready to Serve)商品「濃いめのレモンサワーの素」を発売。同品はレモン果皮由来成分も含むシチリア産の手摘みレモン果汁を使用。同品は炭酸水で割るだけで本格的な居酒屋風のレモンサワーが楽しめると多くのファンを獲得し、20年には計画比5倍という爆発的な売上を記録した。
新型コロナウイルスの影響から外飲みから家飲みへの動きが加速した20年以降、同社はより手軽においしいレモンサワーを楽しんでほしいとRTDの開発に着手。氷を入れたグラスに「濃いめのレモンサワーの素」と炭酸水を1:2で割り、氷と馴染んだ飲み頃の味を目指してアルコール度数7%に設定し、21年3月2日、RTD「サッポロ濃いめのレモンサワー」を発売した。
「サッポロ濃いめのレモンサワー」はシチリア産手摘みレモン果汁とレモン漬け込み酒を一部使用することで、しっかりとした酸味と濃厚なレモンの香りが楽しめるRTD。メーンターゲットは30代から40代の仲の良く元気な夫婦で、夕食時に夫婦で気軽におうち居酒屋気分を楽しんでもらうことをイメージしたという。アイテムは350ml缶の他、500ml缶、350ml×6缶パックもラインアップしている。
ブランド担当であるマーケティング本部ビール&RTD事業部アシスタントマネージャーの曲悠真氏は、レモンサワーブームと「サッポロ濃いめのレモンサワー」の立ち位置について、「これまでのレモン系RTDはあくまでも各ブランドの1フレーバーに過ぎませんでしたが、レモンサワーRTDの登場によりビール類や高アルコール系RTDからもユーザーが流入し、単なるブームではなく『レモンサワー』という1つのカテゴリーとして定着したと考えます。当社の『サッポロ濃いめのレモンサワー』は、レモンの酸味とおいしさがしっかりと味わえるRTDという独自の価値を打ち出すことで、他社商品との差別化を図っています」と語る。
仲の良い夫婦をターゲットとするコミュニケーションでは、テレビCMで短編コメディドラマ「オー!マイキー」のフーコン夫妻を、WEB CMではジャングルポケット・斉藤慎二さん・瀬戸サオリさん夫妻をキャラクターに起用。WEB CMでは居酒屋で出てくるような濃いめにひと工夫したおつまみ=「濃いつま」とともに夫婦で「サッポロ 濃いめのレモンサワー」を楽しむことを提案するとともに、ブランドサイトでは濃いめのおつまみレシピ動画を公開して訴求した。
店頭用としてCMと連動した販促ツールも多数用意し、発売のタイミングでは首都圏の他、ベッドタウンや地方都市の交通広告にも力を入れ、2021年3月1日から4月4日の期間ではディスプレイコンテストも実施することで、店頭露出を最大化した。
これらの施策が奏功し「サッポロ濃いめのレモンサワー」は同社のRTDブランド史上最速となる、発売から4日で累計販売数量1,500万本を突破。5月には年間販売計画の上方修正を行い、10月には上方修正後の販売計画数量である380万ケース(250ml×24本換算)を達成。「ダイヤモンド・チェーンストア」2021年12月1日号掲載の「2021年春・夏新商品ヒットランキング」では、「サッポロ濃いめのレモンサワー缶500ml」がスピリッツ部門のNo.1商品に選出された。
同社では好調の要因として、レモンの風味がしっかり味わえる味覚設計や気軽に楽しめるリーズナブルな価値戦略、夫婦をターゲットとしたおうち居酒屋提案、RTSの「濃いめのレモンサワーの素」と連動した施策を展開した点などを挙げている。RTDの好調に加えてRTSの「濃いめのレモンサワーの素」も好調に推移しており、特に業務用1.8Lペットはヘビーユーザーから支持されているという。
「濃いめ」に5%タイプ登場 新ブランドの立ち上げも予定
コロナ禍以降、家飲み需要の増加に伴い各社はレモンサワーRTD商品を相次いで発売しており、さっぱり系からリッチなものまで味のバリエーションも増えている。しかしながらRTD商品が乱立したことで売場は「レモンサワー戦国時代」ともいえる状況になっており、曲氏は2022年を「レモンサワーブランド集中化の年」とみている。
サッポロビールでは22年も引き続き「サッポロ濃いめのレモンサワー」のマーケティングに注力。ヘビーユーザーのほか、夫婦でシェアして楽しむ世帯も多いことから特に伸長している500ml缶に注力し、さらに商品のリニューアルやラインアップの拡充も行う。
新商品となるのが3月1日発売の「サッポロ濃いめのレモンサワー濃いまま5度」。ブランドの独自価値であるしっかりとすっぱい濃いめのレモン味はそのままに、アルコールを5%に設計することで酒の味わいを抑え、甘さ控えめの爽やかな飲み口を実現した。目を引く黄色のパッケージは、既存の7度タイプと並べることで視認性が増し、ストロング系RTDや既存の7%タイプではアルコール分が強すぎると感じるユーザーに同品を訴求していく。
既存の「サッポロ濃いめのレモンサワー」も味覚をリニューアル。最大の特徴であるレモンの濃さをさらに引き立たせ、おいしく進化した。また500ml缶の好調を受け、500ml缶の6缶パックも全国で新発売し、伸長するレモンサワー市場のさらなる活性化に貢献する。また、RTS「濃いめのレモンサワーの素」500mlも、レモンの味の濃さはそのままに、レモン果汁と果皮の香りを向上させ、余韻をより長く感じられる味わいへとリニューアルしている。
曲氏はRTSとRTDの関係性について、アーケードゲームと家庭用ゲームの関係に似ていると話す。「ゲームセンターで遊んで楽しかった経験のあるゲームが家庭用に移植されるとファンが購入するように、居酒屋で美味しいレモンサワーを楽しんだユーザーは、家でも同じ味わいを楽しみたいとRTDのレモンサワー缶を購入されていると考えられます。22年は飲食店向け、常温売場向けにRTS、冷蔵ショーケースにてRTDを訴求し、飲食店での『濃いめのレモンサワー』飲用体験が家庭用のRTD、RTSにつながるようなマーケティング施策を積極的に仕掛けていきます」
コミュニケーションでは「オー!マイキー」のフーコン夫妻に加えてジャングルポケットの斉藤慎二さん・瀬戸サオリさん夫妻をテレビCMにも起用し、オリジナルレシピのから揚げとの食マッチングを提案していく。中でも500mlを「夫婦円満缶」と命名し、インスタントウィンキャンペーン等を仕掛けていく予定だ。
2022年の販売計画は、「濃いめのレモンサワー」ブランドRTD製品合計で700万ケース(250ml×24本換算/2022年中に発売される限定商品を含む)を見込む。今期も「濃いめのレモンサワー」「男梅サワー」のマーケティング活動に重点的に取り組む考えだ。さらに同社では、RTDの新ブランドの発売も予定しており、RTD事業にますます注力していく。
居酒屋で楽しめる“濃いめの”手搾りレモンサワーのような本格感をコンセプトに開発された「サッポロ 濃いめのレモンサワー」ブランド。新商品としてALC5%タイプの「サッポロ濃いめのレモンサワー濃いまま5度」も投入し、RTS「濃いめのレモンサワーの素」とともに楽しく豊かな「おうち居酒屋」ライフを提供していく。