リクルート(東京都)は8月27日、コロナ禍での外食店のデリバリーとテイクアウトの利用に関する消費者調査の結果を公表した。調査によると、コロナ禍以前に利用したことがない店を利用した消費者が3割以上で、うち「コロナ禍終息後は店内でも食べたいと思った」という声が7割に上る結果となった(2021年7月「ホットペッパーグルメ外食総研」が実施したネット調査。対象は20歳~69歳の男女で、有効回答数は10,007件)。
コロナ禍前は利用したことがなかった外食店のデリバリー、テイクアウトを利用した人は32.5%
調査によると、コロナ前(2020年3月以前)には利用したことがなかった店からデリバリーまたはテイクアウトをした人は32.5%に上った。店内で食事をしたことがある店からデリバリー・テイクアウトした人は、ほぼ同数の35.4%だった。コロナ前には利用したことがなかった店からのデリバリー・テイクアウトには、次の3つのパターンがある(複数回答)。
- 利用したいと思っていたが、実際には利用したことがなかった店から(14.1%)
- 知ってはいたがそれまで利用しようとは思わなかった店から(17.6%)
- それまでは知らなかった店から(13.6%)
回答者約1万人の中の3,200人ほどが利用したことがない店を利用し、知らなかった店を利用した人も1,300人ほどいたことになる。この結果からは、利用したことがない店からデリバリー・テイクアウトをすることに、消費者の抵抗感が低いということがうかがえる。
性別・年代別では、「利用したことがなかった」外食店からのデリバリー・テイクアウトを利用したのは20代、30 代女性が多かった。一方、利用したことがある外食店からデリバリー・テイクアウトした人は35.4%で、定期的に利用していた店からが16.6%、定期的ではないが利用したことがある店からが23.9%だった。いずれにも当てはまらない、つまりコロナ禍でも外食店からデリバリー・テイクアウトなどを利用していないと答えた人は44.2%だった。
「知らなかった」外食店からデリバリー・テイクアウトをした人の72.5%が「店内飲食でも利用したいと思った」と回答
さらに、「知らなかった」店からデリバリー・テイクアウトを利用した人で、その後「店内でも利用したいと思った」人は72.5%におよんだ。すでに「実際に利用した」人も17.4%いた。「定期的に利用していた」店からデリバリー・テイクアウトをした人で、その後「店内飲食での利用意向が高まった」人は59.6%。すでに「実際に利用した」人も14.5%いた
性別・年代別では「店内飲食でも利用したいと思った」人の78%を20~40 代の男性が占めた。すでに「実際に利用した」人の割合が高いのは20 代男性で 28.2%となっている。
外食店のデリバリーやテイクアウトへの取り組みは、新規顧客獲得にもリピーターの利用促進にも有効と言えそうだ。
デリバリー・テイクアウトの「メニュー」が店内利用の意向を刺激する
利用したことがなかった店からデリバリー・テイクアウトした後「店内飲食でも利用したいと思った」理由は、「調理法や味つけがよかった」(58.8%)、「価格がお手頃だった」(54.3%)の他に、「他にも食べてみたいメニューがある」(42.8%)、「お店で出来立てのメニューを食べたい」(33.7%)が多かった。デリバリーのメニュー表を見て選ぶうちに、いろいろと食べてみたい料理が目についたということだろう。
性別・年代別では、30代、40 代女性で「調理法や味つけがよかった」が高く、30 代以上の女性で「お店で出来立てのメニューを食べたい」も高かった。女性は「味」や「出来立て」に重点を置く傾向が垣間見える。
一方、「店内飲食でも利用したいとは思わなかった」理由としては、「割高だった」(35.8%)、「コロナ禍のうちは店内飲食を避けたい」(32.2%)、「店内飲食するなら他にもっと行きたいお店がある」(28.3%)などがあった。
今回の調査で、外食店がデリバリー・テイクアウトに力を入れることが、コロナ終息後の新規顧客の呼び込みやリピート利用の喚起につながることが示されたのは意義深い。
調査結果の詳細はこちら