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10兆円を射程に、2020年度の国内ドラッグストア市場規模は8兆363億円!

日本チェーンドラッグストア協会(東京都)が取りまとめた『2020年度版業界推計 日本のドラッグストア実態調査(速報版)』によると、2020年度のドラッグストア(DgS)の全国売上高(推定値)は対前年度比4.6%増の8兆363億円だった。全国売上高(推定値)がとうとう8兆円を超えた。

istock/Wavebreakmedia

コロナ禍で「ホームケア」が大きく伸長

 日本チェーンドラッグストア協会は『2020年度版業界推計 日本のドラッグストア実態調査(速報版)』を取りまとめた。それによると、20年度のDgSの全国売上高(推定値)は対前年度比4.6%増の8兆363億円となった。15年度は1.1%増、16年度は5.9%増、17年度は5.5%増、18年度は6.2%増、19年度は5.7%増であり、16年度から5年連続で4%超の成長を続けている。

 『2020年度版業界推計 日本のドラッグストア実態調査(速報版)』の調査対象の企業数と店舗数は388社2万1284店舗。19年度調査と比べると、企業数は13社減、店舗数は653店舗増えている。『日本のドラッグストア実態調査』は2000年度からスタート。調査対象企業数が最多だったのは04年度の671社で、05年度以降は一貫して減少している。一方、店舗数は増え続けている。調査開始の00年度に1万1787店舗あった店舗数は、15年度には1万8000店舗を突破。18年度は2万店舗も突破し、20年度は2万1284店舗となった。1店舗当たり売上高は12年度から減少傾向が続いていたが、16年度からプラスに転じ、20年度は3億7757万円で過去最高を更新した。

 店舗面積については、有効回答176社1万9105店舗の集計では「150坪以上300坪未満」が全体の45.2%を占め、「60坪以上150坪未満」18.6%、「300坪以上」17.1%、「30坪未満」10.3%、「30坪以上60坪未満」8.8%と続く。

 商品別売上高構成比は、「調剤・ヘルスケア」が31.5%(2兆5338億円:対前年度比5.7%増)、「ビューティケア」が19.4%(1兆5603億円:同0.4%減)、「ホームケア」が21.7%(1兆7454億円:同7.9%増)、「フーズ・その他」が27.3%(2兆1963億円:同4.4%増)となっている。19年度との比較では、「調剤・ヘルスケア」が0.3ポイント増、「ビューティケア」が1.0ポイント減、「ホームケア」が0.7ポイント増、「フーズ・その他」が0.1ポイント増となった。コロナ禍で苦戦が続く「ビューティケア」カテゴリーが構成比を減らした一方で、「調剤・ヘルスケア」「ホームケア」「フーズ・その他」の構成比が高まった格好だ。

「20兆円も現実みを帯びてくる」

 日本チェーンドラッグストア協会は「2025年にドラッグストア業界を10兆円産業にする」ことを目標に掲げている。同協会の池野隆光会長は、2021年の年頭所感発表で、「DgSの新規出店ペースはまだまだ衰えない。今まで以上に食品スーパーの食料品やホームセンターの生活関連品などを取り込むようになるし、現在はほとんど手をつけていないネット販売にも積極的に取り組むようになる。そう考えれば、10兆円はおろか20兆円も現実みを帯びてくる」と話している。

 現在、ドラッグストア業界には追い風が吹いている。直近ではセルフメディケーション税制の期限延長と拡充が決まったほか、厚生労働省は「セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」を立ち上げた。スイッチOTC(医療用医薬品として用いられた成分が一般用医薬品〈OTC〉にスイッチされたもの)の促進に向けて環境整備も進んでいる。また、コロナ禍が終息すればインバウンド(訪日外国人観光客)需要も取り戻せるだろう。

 売上高10兆円は射程圏内に入ったといえる。