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アークス横山清社長が、「10年後3分の1のスーパーがなくなる」と考える理由とは

流通相関図大

北海道を本拠とするアークスは、M&A(合併・買収)によってその事業エリアを東北、北関東にまで拡大させてきた。また、「新日本スーパーマーケット(SM)同盟」を結成し、事業エリア外のリージョナルチェーンとも協業するなど、以前から他社との取り組みを積極的に進めている。SM業界の現状と今後について、横山清社長に聞いた。

価格競争は「コスト競争」

──SMを取り巻く現在の事業環境をどのようにとらえていますか。

横山清(よこやま・きよし)
●1935年、北海道芦別市生まれ。
60年、北海道大学水産学部卒業、野原産業入社。61年、ダイマルスーパーに出向。
85年、同社代表取締役社長。89年、丸友産業と合併しラルズ代表取締役社長。
2002年アークス代表取締役社長、07年ラルズ代表取締役会長兼CEO(いずれも現任)

横山 1990年代から30年にわたり停滞する日本経済のもとで潜在していたさまざまな課題が、コロナ禍を機に顕在化してきました。SMはこれまで消費者の欲求やニーズに必ずしも十分応えきれていなかった側面があります。また、よい商品をきちんと売り、よいサービスを提供しさえすれば、企業規模の大小や企業間の力関係を超えられるというわけでもありません。

 2022年2月以降はウクライナ情勢がさらに追い打ちをかけ、長年続いたデフレから一転してインフレが高止まり、値上げがいよいよ避けられない一方、消費者の生活防衛意識は強まるでしょう。いかなる企業もこのような影響を免れることはできません。価格競争はますます激化し、淘汰が進む可能性はあります。価格競争は「コスト競争」でもあります。いかにコストを下げ、コスト面での競争に勝てるかがポイントとなります。小売業はもとより、メーカーや卸も含めて、これまでのやり方をそのまま踏襲するだけの企業は生き残れません。

──今後、SMの企業再編は活発になるでしょうか。

横山 60年以上SM業界に携わってきた私の視点では、スピードや規模拡大の程度こそ異なるものの、SMは本質的にはそれほど変化しておらず、同じようなことが周期的に繰り返されていると感じます。たとえば、ネットスーパーは、かつて地域の八百屋などで行われていた御用聞きをオンライン化したものともいえます。また、1960年代に長崎屋(東京都/赤城真一郎社長)がSMで初めて上場して以降、株式上場によって資金を調達し、事業規模の拡大を図るSMも相変わらず現れています。

 競争が激しく、他業態と比べて相対的に利益率が低いというSMの事業特性を踏まえると、今後、M&Aやこれに類似する動きは増えるでしょう。ドラッグストアなど異業態の参入が活発となり、食品流通の垣根はますます低くなっています。SM業界内だけでなく、異業態も巻き込んだ変化が多くみられるようになるでしょう。

──このような事業環境のもとでアークスはどうやって生き残っていきますか。

横山 アークスは

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