イオングループのイオンイーハート(中村弘治社長)は2018年1月16日、イオンモール幕張新都心の「おひつごはん四六時中」にボクシーズ(鳥居暁社長)の「Putmenu」を導入しサービスを開始した。「注文0分、会計0分」をキャッチフレーズにレストランをはじめ外食産業向けの「Putmenu」がフードコートで採用されるのはこれが初めてとなる。
「フードコート改革に生かせる仕組み」だと即断
イオングループの本社がある幕張新都心(千葉市美浜区)のイオンモール幕張新都心は、JR京葉線沿いに「グランドモール」「ペットモール」「アクティブモール」「ファミリーモール」と4つのモールを備える一大ショッピングモール。広大な駐車場を備えるとともに海浜幕張駅から有料シャトルバスを運行するなど利便性にも配慮し、飲食店ゾーンやフードコートを備えておりファミリーが1日楽しめるショッピングモールとなっている。
その中の「ファミリーモール」フードコートの「おひつごはん四六時中」で今回、イオンイーハートが「Putmenu」を導入しサービス開始した背景について、イオンイーハートの浅井俊之・ケータリング本部ケータリング事業改革マネージャーは、「Putmenuは、考えていたフードコート改革に十分活用できる仕掛けだと即断したから」と話す。それまで日本マイクロソフトも協力する一般社団法人オープン・フード・サービス・コンソーシアム(OFSC)の会合を通じて、フードコート改革を指向してきた 浅井氏は、フードコートの課題解決にはシステム化が必要だと考えており、そこにボクシーズの「Putmenu」がぴったりと一致した。
浅井氏は「Putmenu」で解決できるプロセスを特定し、「フードコートの課題はまず席を見つけること、それから注文でテーブルを離れなければならないこと」を挙げる。小さい子どもを連れたママにとっては、子どもが気になりテーブルを離れる回数はできるだけ少なくしたい。
「お客さまが不便と思っていることを端的に解決できる」
スマホにアプリをダウンロードして、スマホから注文しスマホで決済する“注文0分、会計0分”を謳う「Putmenu」ならば、少なくとも料理を注文するためにテーブルを離れる必要がない。「フードコートにはファミリーのお客さま、平日なら小さい子どもを連れたママのお客さまが多い。その様子をみてもっと容易に注文できるような仕組みが欲しかった」(浅井氏)。
そう感じたからこそ浅井氏の行動は早かった。「Putmenu」を知り、ボクシーズの鳥居社長を訪ねて説明を聞いたのが2017年10月で11月には自身の会社の中村社長に直談判。役員会でプレゼンテーションを行い、経営陣の了解を得て、すぐにサービス開始に向けて動き出している。「お客さまが不便と思っていることを端的に解決できて、しかもわかりやすい」と浅井氏は「Putmenu」に太鼓判を押す。「それに日本初ということをやってみたかった。やってみなければわからないし、やってみてダメなら方針を変更するだけ」と導入には自信を持っていたようだ。
AEON Financial Service Innovation2017で最優秀賞受賞
そういう浅井氏にはもうひとつの期待がある。「それは生産性の向上。1組のお客さまの会計に1分かかるとすると、1時間では60組しか対応できない。厨房の能力が1時間100組まで対応できるなら、その60組になるが、Putmenuを使えばレジを通さないお客さまの注文も受けられるので、受注可能上限が高まる。また、会計に人手がかからないなら、スタッフを別の作業に充当できる」ことを実現するための唯一のソリューションだと考えている。
また、料理を注文した後に渡す呼び出しベルも、無闇にたくさん用意するわけにはいかない。食事の来店者が持つスマホが呼び出しベルの代わりになるので、店側では呼び出しベルを準備する必要もなくなる。
「Putmenu」によるサービス開始を発表したことで、イオングループ内からの問い合わせが増えた。しかもイオンフィナンシャルサービス、イオンクレジットサービス、イオン銀行のイオングループの金融3社が主催するビジネスコンテスト「AEON Financial Service Innovation2017」でこのほど、「Putmenu」が最優秀賞を受賞した。「Putmenu」にとっては、マイクロソフトのスタートアップ支援プロジェクト「BizSpark Plus」への採択、東京都中小企業振興公社の評価事業採択、経済産業省「IoTを活用した新ビジネス創出推進事業での採用からMCPC award2017での「総理大臣賞」に続き高い評価を受けたことになる。
「当グループのフィナンシャル部門から最優秀賞を受けたことで、さらにグループ内で導入しようという動きが出て来るのではないか」と浅井氏は予想している。実際に話を聞きたいという依頼もあるそうだ。
ボクシーズの鳥居社長は、「今はイオンカードにもWAONにも対応できていない。これを機にイオンカードで決済という道が開かれました」とイオンのお客さまの利便性向上に目を向けている。
フードコートの店舗スタッフも高評価
現在、「子ども連れの家族が休日にPutmenuを使用するケースが多い。もっと利用を増やして、生産性向上にもつなげたい」(浅井氏)と、イオンモール幕張新都心のLINE@にも告知を載せるなどアピールを続けている。
意外とフードコート内の従業員からの関心も高いようで、TV取材が入ったことも手伝って「どんな仕組みなの?とか仕事が楽になるの?といったことをフードコート内の他店のスタッフが聞いてくる。やはりシステムを導入しているので、お客さまにもっと使ってもらいたい」とおひつごはん四六時中の宮本峰宏・イオンモール幕張新都心店長も注目の高さとともに「お客さまの利便性向上」に役立っていると話す。
浅井氏は「今後もPutmenuなどの様々なテクノロジーを活用した取り組みを進めていく」と語っている。