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“高野豆腐の定番”旭松食品「新あさひ豆腐」が30〜40代にこそ商機を見る理由

  日本の伝統食材である高野豆腐は、低糖質で、たんぱく質や鉄分、カルシウムなどの栄養素が豊富。若い世代からも健康食材として注目を集めている。創業以来、75年以上高野豆腐をつくり続けている旭松食品は、12月の最需要期に向けて、テレビCMの投下や動画の配信など、プロモーションを強化し、市場の底上げを図っていく。

この記事のキーポイント

  • 20代・30代は高野豆腐の月1回以上購入率が平均を上回っており、リピート購入回数も多くなっている。

  • 20代・30代は高野豆腐を「ダイエット食品の食材」「体づくりのトレーニング食」「お肉の代替・かさ増し用途」として活用する傾向が顕著になっている。

  • 「新あさひ豆腐」は特許製法により一般的な高野豆腐と比べて95%減塩を実現し、カリウムを約23倍に増やしている。

若年層に向けた新CMの投下で需要創出

  健康志向の高まりを背景に高野豆腐市場は堅調な拡大を続けており、金額ベースで前年対比5%増(インテージSRI購入金額2024年8月~2025年7月累計)となった。日本の伝統食材である高野豆腐は、高齢層の購入経験率は高いが、核家族化や物価上昇の影響により、従来の主要ユーザーである60~70代は減少傾向にある。

  その一方で、若年層の構成比こそ低いものの、リピート購入回数は多くなっている。旭松食品が実施した「2025年度こうや豆腐定点調査」によると、現ユーザー(1年以内購入者)の高野豆腐月1回以上購入率は41.3%であるのに対し、20代は50%、30代は45.9%と平均を上回った。

  利用シーンの違いも顕著で、高年齢層は「普段のおかず」として活用する一方、若年層は「ダイエット食品の食材」「体づくりのトレーニング食」としての利用が目立つ。30代では「お肉の代替・かさ増し用途」としての活用も多く、若年層ほど高野豆腐を健康食材としてとらえていることがわかった。

  こうした背景を踏まえ、旭松食品は高野豆腐需要が最も高まる12月に向けて、30~40代をターゲットとした新テレビCMを展開する。従来の「おばあちゃんの家で食べるもの」というイメージから「おいしく、自分の健康のために食べる食材」への刷新を図り、“おばあちゃんの味から、今の私へ”をテーマに、「高野豆腐を食べて健康になろう」というメッセージを発信する。

  CMには女優でタレントの堀くるみさんを起用し、定番の高野豆腐の含め煮等を訴求。電子レンジやチョッパーを活用すれば手軽に調理できるうえ、さまざまな料理に活用できることを提案する。合わせてCM特設サイトやYouTube動画のシリーズ展開も予定している。

高野豆腐本来の豊富な栄養素や簡単調理を訴求した新テレビCM。含め煮や唐揚げ、ドライカレーなどを訴求

 

湯戻し不要で簡単に調理ができ、ふっくらやわらかい食感の「新あさひ豆腐 10個入」と「新あさひ豆腐 6個ポリ/5個ポリ」

  大豆成分を抽出・濃縮した高野豆腐は、たんぱく質・鉄分・カルシウムなど栄養が豊富に含まれている。とくに注目されるのは、食物繊維に似た働きを持つ「レジスタントたんぱく質(レジスタントプロテイン)」で、たんぱく質のなかの約3割を占めている。食後の中性脂肪上昇を抑えるなど、さまざまな健康効果が期待されている。

 特許製法で減塩を実現「新あさひ豆腐」

  旭松食品の高野豆腐「新あさひ豆腐」は、やわらかくなめらかな食感で、だし含みのよさが特長。さらに、特許取得のカリウム製法により、一般的な高野豆腐と比べ95%の減塩と、塩分の排出を手助けするカリウムを一般的な高野豆腐と比べ約23倍に増やすことに成功した。

  加えて酸化が進みにくい高オレイン酸大豆への切り替えにより、つくりたてのおいしさを保ちつつ賞味期限を従来の約6カ月から1年へ延長を進めている。電子レンジ調理にも対応し、利便性を高めている。

  減塩の取り組みが評価され、厚生労働省・食環境戦略イニシアチブの減塩普及啓発資料に「新あさひ豆腐」が掲載された。同啓発資料は、商品の誕生ストーリーや企業の取り組みについてまとめられており、子供も読みやすい内容となっている。学校給食の分野でも栄養価の高さや使いやすさの面から推奨品となっている。高野豆腐を食生活に取り入れていくことで、食塩摂取量の減少にも貢献する。

  さらにこうした価値が評価され、「新あさひ粉豆腐」と「新あさひ豆腐 うす切り」は、一般社団法人 日本子育て支援協会主催「第6回 日本子育て支援大賞2025」を受賞した。高野豆腐を粉末状にした「新あさひ粉豆腐」は、離乳食や幼児食への活用に加え、小麦粉の代替として料理や菓子づくりにも活用できる。

  通常の1/60サイズの「新あさひ豆腐 うす切り」は、湯戻し不要で電子レンジ調理が可能で、時短調理に適している。野菜と炒めたり、味噌汁やスープにそのまま入れるなど、幅広く使える。こうした手軽さと減塩への取り組みが高く評価され、「子育て世帯の支援につながる」と評価された。

(左)お祝いの膳に添える「寿」焼印入りの「新あさひ豆腐」。焼津産かつお節エキスを使用した粉末調味料入り(年末限定・受注生産品) (右)ひとくちサイズにカットしたこうや豆腐にかつお節エキス使用の粉末調味料付の「小さな新あさひ豆腐 粉末調味料付」

 高野豆腐の最需要期は12月で、おせち料理としてはもちろん、家族が帰省した時のおもてなし料理の1品として広く活用されている。原料の大豆は、古来、邪気を払う象徴とされ、おせち料理に高野豆腐を入れるのは、あらゆる災難から守ってもらいたいという願いが込められている。

 テレビCMやSNSを活用し最需要期の売場をバックアップ

  旭松食品は、12月の高野豆腐の需要の最大化を図るために、店頭での仕掛けを行っている。24年は10月下旬から高野豆腐の最大の消費地である関西を中心にテレビCMを投下し、店頭露出を図ることで需要を喚起。25年も同様に関西圏でテレビCMを展開し、関西以外ではYouTubeショート動画やCM素材を店頭サイネージでの活用を計画している。

最需要期の売場陳列例

  また「高野豆腐の日」(11月3日)や、「いいかんぶつの日」(11月20日)、「和食の日」(11月24日)に合わせ、大阪ガスクッキングスクールとのコラボレッスン(料理教室)を実施し、食べ方などの啓発活動を行っていく。早めに店頭で高野豆腐のプロモーションを展開し、長期的に高野豆腐のイメージを刷り込み、12月の最需要期に売上の最大化を図る。

  さらに、体づくりに役立つ高野豆腐そのものの魅力はもちろん、原料や製法にこだわり、長年愛され続けている「新あさひ豆腐」のおいしさの秘密を紹介するブランドイトを25年5月に開設。WEB上での検索性を高めつつ、昔の製造方法や品質面などが大きく変わり、より使いやすくなっていること、ものづくりへのこだわりなどをまとめたことで、食材に興味を持った方がより深く理解できるよう最新情報を充実させた。

  旭松食品は、伝統食材としての魅力に加え、健康・時短・利便性といった新しい価値提案を通じ、さらなる市場拡大を図っていく考えだ。

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