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スーパーの売場を激変!「フルカラー段ボール」見た目だけじゃない確かな力

箱詰めポテトチップス
「スーパーベルクス東大宮店」での通常の段ボールとデジパケの売場を比較

包装資材業界大手のレンゴーは、デジタル印刷によるフルカラー段ボール「デジパケ」の活用を推進。首都圏で食品スーパーを展開するサンベルクス(東京都/鈴木秀夫社長)の協力の下、「デジパケ」と通常の段ボールを使用した際の売上を比較する検証実験を行った。

デジタル印刷が可能にした
新たなプロモーションツール

 段ボール箱や板紙、フィルム・ラベルや包装関連機械の製造・販売事業等を展開するレンゴー。同社が提供する「デジパケ」は、デジタル印刷により、フルカラー印刷が可能な新しい段ボールだ。

 「デジパケ」最大の特長は、シズル感のある食品や人物、細かなフォントなど、さまざまな表現を可能にする圧倒的な印刷再現力にある。同社では日本国内初となるプレプリントのデジタル印刷機を2019年に導入。印版を使用せず、段ボールライナやコートボールなどの巻き取り原紙へ直接印刷することで、美しいプリントと多様なデザインバリエーションを実現する。

 さらにデジタルデータでの印刷のため、季節感や味種の違いによるデザイン変更など、複数のバリエーションが同時に印刷可能となっている点も特長だ。1ケースごとにシリアルナンバーや二次元バーコードを変更して印刷することもできるため、ケース売り商品やプロモーション施策にも対応しやすい。

 スーパーマーケットをはじめ小売店では、エンドや催事コーナーで展開する商品群について段ボール陳列を行う店舗も多いが、通常の段ボールの場合、華やかさに欠けるためPOPやポスターなど、別途販促ツールを用意することが求められる。しかし、カラー段ボールの「デジパケ」であれば、そのまま売場に積み上げるだけで売場が華やぎ、伝えたい情報をダイナミックに発信することが可能。店頭での視認性も高く、箱のまま陳列するだけで展開率100%のプロモーションツールとして活用できる点は、メーカー・小売店双方にとって大きな魅力となっている。

通常の段ボールとの
売上比較で効果を検証

 美粧性の高いフルカラー印刷が魅力の「デジパケ」は、食品や日用品の梱包をはじめ、EC向けの配送ケースなどさまざまなカテゴリーで採用されているが、これまで通常の段ボールと比較し、どの程度売上に貢献できるのかという具体的なデータを持ち合わせていなかった。

 そこでレンゴーは「デジパケ陳列による売上効果検証・実証実験」を計画。2024年後半に企画し、25年2月に実施した。

 今回、実証実験を行うのは、東京都、千葉県、埼玉県の1都2県に食品スーパー「スーパーベルクス」を展開するサンベルクス。同社は商品知識が豊富な社員を多く有し、青果、鮮魚、精肉、総菜など、それぞれの部門の強みを生かした「専門性追求型スーパーマーケット」を目指すことで、他社にはない個性を発揮している。

 実験店には商圏・売上規模が近しい杉戸店、東大宮店をチョイス。2月1日から2月7日の前半は「通常段ボール」、2月15日から21日の1週間は「デジパケ」による売場を展開し、期間中の売上金額と点数PI値をそれぞれ測定し、効果を比較検証する。

 展開する商品カテゴリーについてはさまざまな意見が出たが、今回は知名度の高いカルビー「ポテトチップスうすしお味」「ポテトチップスのりしお」の60gを選定。段ボール箱の外装は、商品パッケージを活かしボリューム陳列をすることで来店客にインパクトを与えるデザインを用意した。

菓子や飲料など衝動買いの
多いカテゴリーにチャンス

 ではここから実証実験の結果を見ていく。【図表】のように店頭展開を通常の段ボールから「デジパケ」に変更したことで、売上金額ベースで期間比15.8%増、点数PI値で15.5%増を達成。フレーバー別でみるといずれも「ポテトチップスうすしお味」の数値が高かった。中でも東大宮店は「デジパケ」陳列の効果が大きく、売上金額ベースで期間比28.1%増、点数ベースで27.1%増、点数PIで23.4%増とすべての項目で期間比2ケタ増の大幅伸張となっている。

 サンベルクスの店舗は土日の集客が強い店が多く、通常の段ボール展開の場合、土日の売上と比較し平日は落ち込む傾向にあったが、「デジパケ」を展開した週は平日でも数字が大きく下がることはなく安定した売上を確保した。

デジパケは来店客が立ち止まる
機会が増え、購買に繋がる

 実証実験に参画したサンベルクスのグロサリー商品部ビール・RTD兼菓子担当バイヤーの森一成氏は、「菓子は目的買いではなく衝動買いの要素が大きいカテゴリーだが、カラー印刷された「デジパケ」の段ボールはワクワク感も演出しやすく、来店客の興味を引きやすい。視認性も高いため、結果として来店客が立ち止まる機会が増え、購買に繋がった」と分析。通常、段ボールのケース陳列は商品本体のパッケージよりも表面積の大きな段ボール箱の茶色部分が目立ってしまうが、表面に商品パッケージが印刷された「デジパケ」であればそういった点もカバーできる点が大きい、と話す。

サンベルクスグロサリー商品部ビール・RTD兼菓子担当バイヤー森一成氏

 実験を行った店舗担当者からは「段ボールが華やかで売場の迫力が出しやすい」「通常の段ボールは同一メーカーの場合、デザインが似通っている為、一目でどの商品と分かる「デジパケ」は店頭スタッフとしてもありがたい」「フレーバーの見分けがつきやすい」といった声が挙がった。また来店客からも売場の見栄えの良さや陳列時の迫力についてポジティブな反応があったという。

 「今回はスナック菓子で展開したが、飲料やカップ麺など段ボールでの積み売りをしやすい他カテゴリーも効果が期待できる」と森氏。レジ前や催事コーナーでの販促は、セール期間の前半は在庫があるためボリューム感を演出しやすいが、後半になると商品のボリューム感がなくなり実績が下がる傾向にある。しかし「デジパケ」は段ボールの外装に商品のパッケージがプリントされている為、商品が減った状態でも最後までボリューム感が維持され、在庫リスク軽減にも貢献できるだろう。

 レンゴーでは今回の実験結果を受け、今後も「デジパケ」の活用による小売業とメーカーとの取り組みを強化していきたいと話している。

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